赤西仁が語るデビューから現在まで「暗闇の中をアドレナリンでくぐり抜けてきた」

2010年にソロ活動をスタートさせた赤西仁が活動10周年を迎え、初のベストアルバム『OUR BEST』をリリースする。

コンセプトが異なる「YOUR BEST」と「MY BEST」の2枚組32曲入りで、前者はファンクラブの会員によるリクエストで構成、後者は赤西の好みが反映された選曲になっている。1stアルバム『#JUSTJIN』(2013年)から5thアルバム『THANK YOU』(2019年)まで、ファンとともに歩んできた軌跡を凝縮したかのような内容に。2014年に立ち上げた自身のレーベル”Go Good Records”からリリースした作品に加え、初期の「ムラサキ」「Eternal」といった独立前の楽曲も新たにレコーディングをして収録される。 これまでの赤西とこれからの赤西が投影された本作。今回、Zoomによる本人とのオンライン取材が実現。以下インタビューをお届けする。

ー2010年以前、それこそKAT-TUNで活動を始めてしばらく経った頃から「いつかはソロアーティストで挑戦してみたい」という気持ちはあったんですか?

最初は右も左も分からないままやってたんですけど、次第に仲間や周りにいる人たちからいろんな影響を受けて、自分の好みに気づいていった感じですね。自分の好きな音楽というものが見え始めたというか。

ーそれはどういったものだったんですか?

2000年代の音楽ですかね。2000年から2010年まで、その間に自分はクラブに行き始めて好みの音楽が変わってきたというのもあるんですけど、当時の音楽をあらためて聴くとやっぱりよく出来てるなと思います。今はわりと一周してる感じがしていて、何がトレンドなのか、みんな模索してると思うんですよね。それもあって最近またよく聴いてますね。2パックとかスヌープ・ドッグとか、懐かしい感じのやつ。

―2010年にアメリカでソロライブをやりますよね。シカゴ、サンフランシスコ、ヒューストン、ニューヨークで。この時は「俺のやりたいことはこれかもしれない」とか感じました?

新しい体験をさせてもらって、こういうことが自分でもできるなら、やらないともったいないという気持ちでした。単純にそれだけ。深い意味もなくて。

―2011年3月に「Eternal」で正式にソロデビューします。

クラブがきっかけで音楽制作に興味を持ち始めた後、自分で0から100まで制作の過程に関わらせてもらった曲で、これは出さないともったないというところで急遽リリースって流れになったのかな。ソロをやりたいですっていうより、自分が興味を持つことだったり、やってることに紐付いてソロ活動が増えていったっていうのが正しいかもしれない。



ーなるほど。音楽制作を始めた頃って、赤西さんのクリエイティブを助けてくれる仲間って誰かいました?

名前を言ったところで皆さんが知ってる方ではないんですけど、いましたよ。「一緒に曲を作ろうぜ」って。飲み仲間でもあったんですけど、そいつと曲を作るのが楽しくて。ライター兼ダンサーの黒人の友達で。最近はあまりやってないですけど、独立後までずっと一緒に曲作っていて。


2011年にはジェイソン・デルーロとのコラボ曲がiTunes Storeダンスチャート1位に

ー2011年にはジェイソン・デルーロとコラボした「TEST DRIVE featuring JASON DERULO」がiTunes Storeダンスチャート1位を獲得。2012年の1stアルバム『JAPONICANA』は日米同時発売。華々しいデビューですよね。

いま聞いたらそうですね(笑)。思い返してみれば、「ああ、凄いなぁ」と思うんですけど、その時はまだその凄さをちゃんと分かってなかったのかもしれないです。



―その頃、僕は赤西さんに初めてインタビューしたのですが、「iTunesのダンスチャートで1位になったのって、本当に凄いことなんですよ!」って力説されてましたよ。

分かってたのか。

―喜びを噛み締めてる感じはありました。

よかった、よかった(笑)。別にどうでもいいや、って感じじゃなくて。俺だったらしかねないから。

―(笑)海外のファンとファンミしたり、デビュー作を日米同時リリースしたり、そういう環境にいると日本だけじゃなくて海外を視野に入れて活動したいという気持ちになるのも自然な気がしますね。

さっき話した黒人の友達やアメリカにいる仲間と交流していくうちに、自分の視野が広がって見えなかったものがすごくハッキリと見え始めて。いろいろやりたいと思いました。音楽だけじゃなくて、映画も出てみたいとか。

―ソロの表現者・赤西仁として、自意識が芽生えた感じ?

そうかもしれないですね。

―当時所属していた事務所の後輩たちに新たな道を切り拓いていければ……みたいな考えとかはありましたか。

いや、何も考えてなかったです(笑)。自分が今できること、やれることをやってみたいっていうことでしかなかったですね。

―考えてなかったけど、やりたいことは明確にあったわけですよね?

ゴールはなかったですけど、目の前にやりたいことがあった。行き先は何も見えないけど一歩進んでみてどうなるかみたいな。気持ち的には、暗闇の中をライトも点けずに爆走してました(笑)。

―(笑)大事故せずに10年間来れましたね。

自分で気づいてないだけで、たぶん両手とかもげてるかもしれない。アドレナリンで切り抜けた感じですね。

・赤西仁、独立6年目に向けた展望を語る「手始めにプロデュースでもしようかなと」



「昔の曲をあらためて聴くとシンプルに”若いな”って思います(笑)」

ー今回のベストアルバムは独立前の曲も新たに録り直してるんですよね。昔の曲を歌い直してみてどうでしたか?

昔の曲をあらためて聴くとシンプルに”若いな”って思います(笑)。その若さはその時にしか出せないものだし、それはそれでいいんですけどね。今回、そんなオリジナルになるべく忠実にやろうと思いつつ、その一方でアレンジもトラックも替えたのでレコーディングは難しかったです。ただ、サウンドは良質なものになっているので、今の自分にしか出せないノリが出てるんじゃないかなと。



ーファンが求める赤西の魅力が「YOUR BEST」に詰まっているとしたら、「MY BEST」は等身大の姿が投影されている印象で、それがすごく面白かったです。

なんとなく予想はついてたんですけど、「Well Be Alrigh」とか「But I Miss You」とか、「この曲がこんな上位に入ってくるんだ」っていう発見がありました。結果的に「YOUR BEST」は日本語曲が多めで「MY  BEST」は英語曲が多めになったんですけど、英語曲の「Aphrodisiac」は本当は「YOUR BEST」に入る予定だったんですよ。アンケートでもかなり上位に入っていたので。でもバランスを見て「MY BEST」に収録しました。

―日本語歌詞の繊細な歌いまわしとヴォーカリゼーションで聴かせる曲が多い「YOUR BEST」。英語歌詞の洗練されたトラックの曲が多い「MY BEST」。この10年間、赤西仁が作り上げてきたアーバン・ポップの世界が楽しめる一枚だなと思いました。

ありがとうございます。

ーベストアルバムの初回限定盤Bには昨年フィルムコンサートで上映されたドキュメンタリーシネマ『JIN AKANISHI 5th Anniversary Our Years Film』が収録されますが、あの中で赤西さんは「自分がもはやアーティストなのかどうか分からないけど……」って話してましたよね。曲作りの現場、ライブの照明への指示出し、振り入れの様子とか、アーティストでありながらプロデューサー的なこともガンガンやっていて驚きました。



音楽って生活の一部じゃないですか。無くなったら世界が終わるだろうぐらいの存在だと思うんです。それくらい当たり前のこととして自分の身近にあって活動してるということと、あとはライブですかね。ライブが好きなんですよ。自分で曲やライブを制作することが好きなのかもしれない。音楽を通して歌詞で伝えたいことって、毎回あるわけではなくて。今は自分がカッコいいと思うものを作って、ファンの人たちが自慢できるような作品を生み出したいです。僕の音楽を聴いてることで、ファンの人たちにもいい影響を与えられたらいいなって。

・赤西仁の最新アーティスト写真



芸能界的な世界との距離感

―独立して自分のレーベルで5年も活動してますし、理想のDIYアーティストとも言えますよね。ベストアルバムには「ALONE」という新曲も入ってますけど、赤西さんって「独り」のイメージが僕の中では強くて。いわゆる芸能界的な世界とは距離を置きつつ、自分の世界を追求してきた。それって意識的にやってることなんですか?

意識的にもそうですし、流れ的にもそうかな。TVの音楽番組のオファーももし来たら考えちゃいますね。TVって編集に口が出せないから好きじゃないんです。今は全部自分でクリエイティブに口出せるものしかやってなくて。その話ができないと難しいかもしれない。

―ああ。

無意識的にそうしてるだけかもしれないですけどね。今ふと思ったので。

―自分の目の届く範囲のことをやりたいというか。

でも、それがやっぱり世の中に出ていくところにつながっていくだろうし、だからこそ自分がわかる範囲でなるべく物事を進めていきたいかなって。

―そういう意味ではソロデビューしたタイミングや独立したタイミングもよかったですよね。今はYouTubeもあるしTwitterもあるし、サブスクリプションもある。自分から発信できる環境があるわけで。

そうですね。いろいろと運がいいと思います。独立するタイミングもあの時がベストだったかもしれない。あのタイミングより早かったり遅かったりしたらまた形は違っていただろうし。時代の流れや経済の動きとか、なんとなくアンテナは張ってる方だと思うんです。5年前はみんな信じなかったけど、こういう状況になることを予想してたんですよ。何年か前から、芸能界のあり方とかも変わっていくだろうって。だから独立したっていうのもあるんですけど。二番煎じになるより一番最初にやりたかったっていうのはありましたね。

―ちなみに、2010年代を象徴するアーティストの一人と言えばビリー・アイリッシュですけど、赤西さんはビリー好きですか?

ビリー・アイリッシュはファンというわけじゃないですけど、あの曲(「bad guy」)はいいと思いますし、彼女の在り方が好きですね。というのは、彼女はもともとジャスティン・ビーバーの熱狂的ファン、言ったらオタクじゃないですか。オタクの人が自分の才能で有名になって、ジャスティン・ビーバーとコラボするっていう、その世界が素晴らしいなと思うんです。



―たしかに。

素敵ですよね。日本でもこういうのがあったらいいのに、とか。あ、別に俺のファンにプレッシャーを与えてるわけではなくて(笑)。

―(笑)わからないですよ。もう10年やってきてるわけですし、赤西さんのファンの中からポップスターになる人が出てくる可能性もゼロではない。

そうそう。それは自分の新しい夢の一つかもしれない。


錦戸亮や山田孝之との友情

―ドキュメンタリーの中で「時代の流れに合わせて活動していきたい。誰かをプロデュースできるような存在になりたい」と話してましたけど、プロデュースの構想はあるんですか?

あります! 頭の中では着々と構想してます。まだ形にはなってないんですけど、近いうちにやらないとちょっと遅くなっちゃうので、考えてます。あと、YouTubeで番組やろうと思ってるんですよね(取材時は公開前)。あんまり面白くないので『NO GOOD TV』っていうんですけど(笑)。今こういうご時世なので、みんなの暇つぶしになればいいなって。だから再生回数がどうのとかは考えてないので、もしかしたらある程度溜まったら古いものから消すかもしれない。どうなるかは進めてみてから判断ですね。そういうのが多いです。あいつ(錦戸亮)とやるのは。



―JINTAKAでは山田孝之さんとコラボしましたけど、10周年を経て錦戸亮さんという新しい仲間も見つかって今すごく楽しいんじゃないですか。



もちろん、彼だけじゃなくて(山田)孝之ともまた面白いことができれば。とにかく楽しいことがやれればいいので、これまではそういうことが一緒にできる友達が孝之ぐらいしかいなかったので、企画第二弾ですね! ただ、これも限界を感じたら解散すると思います(笑)。

ーソロ活動も楽しみにしてます!

今回、40曲近く並べて自分の曲を聴いて客観的に見れたので、実はもう次のアルバムに取り掛かっていて。錦戸とのアルバムもやってるんですけど、同時にソロのアルバムに少しずつ手を付けていて、いい感じにまた進化したものが出来そうな予感がしてるので、そういう意味ではいい節目の作品になったと思います。


<INFORMATION>


『OUR BEST』
赤西仁
Go Good Records
4月22日発売




初回限定盤Aジャケ写


初回限定盤A付属映像ディスク
・Good Time  Music Video
・Mi Amor  Music Video
・Let Me Talk To U  Music Video
・Choo Choo SHITAIN  Music Video
・Summer Kinda Love  Music Video
・Fill Me Up  Music Video
・Yesterday  Music Video
・Feelin  Music Video
・THANK YOU  Music Vide
・OohLaLa  Music Video
・Thoughts  Music Video
・Baby  Music Video


初回限定盤Bジャケ写


初回限定盤B付属映像ディスク
・「JIN AKANISHI 5th Anniversary Our Years Film」
・別に大して面白くないけどコンサートのMC集