ニールセン デジタルは4月21日、動画コンテンツと動画広告の利用動向調査「ニールセン・ビデオコンテンツ アンド アド レポート 2020(Nielsen Video Contents & Ads Report 2020)」をもとに動画コンテンツの利用状況と意識を分析し、その結果を発表した。

  • 有料インターネット動画サービス別 認知 増加率2018年対2020年

    有料インターネット動画サービス別 認知 増加率2018年対2020年

それによると、有料動画サービスを利用しているのは、インターネット利用者のうちの30%だということがわかった。

日本の有料動画サービス市場においては「Amazon Prime Video」、「Netflix」、「Hulu」の3社が上位を占め、これらは近年、グローバル市場と同様に日本でも優位なポジションを獲得。中でも「Amazon Prime Video」の利用率が最も高く、「Netflix」と「Hulu」が後に続いているという。

これら上位の有料動画サービスの多くは、半数以上の人がサービス名を認知していた一方で、各ブランドが提供するコンテンツを含む内容の認知は半数以下にとどまっているということだ。

「Amazon Prime Video」と「Netflix」は、サービス認知の増加率も最も高く、両サービスの増加率は二桁となったという。有料動画サービスは自社のブランド名だけでなく、提供するコンテンツ、料金形態、利用できるデバイスなど消費者のサービスに対しての理解を高めることで、利用者数の拡大が期待できるのではないかとニールセンは見ている。

また、「Amazon Prime Video」と「Netflix」は日本独自のコンテンツが充実し、それらの利用をより促進するマーケティング活動やSNSを通して話題を呼んだことなどが、利用者の増加に影響しているのではないかとニールセンは推測する。消費者の各サービスに対するイメージでは、当初「Amazon Prime Video」は「海外のコンテンツが充実」していることが上位を占めたが、昨年と比べると若年層においては「日本のコンテンツが充実」しているイメージに大きな増加が見られたという。消費者が明確に見たいコンテンツが決まっていない場合、自社サービスに対するイメージは消費者の選択肢を左右する大きなポイントのひとつになるのではないかと同社は見ている。

  • 各サービスに対してのイメージ

    各サービスに対してのイメージ

なお、同社のアナリスト・コヴァリョヴァ・ソフィヤ氏は、次のように述べている。「多くの情報が氾濫しているなかで認知度を高めることは、競争が激しい有料動画市場では特に困難です。利用が拡大している有料動画市場では、コンテンツが消費者のニーズにマッチしていることはもちろん、消費者との効果的なコミュニケーションが成功の鍵となります。有料動画サービスを提供する各社は視聴者を楽しませるコンテンツを提供するだけでなく、マーケティング活動や消費者とのコミュニケーションを通して、ブランドイメージを形成することで、自社サービスが想起される機会を増やす必要があります。そして最終的に情報があふれる環境の中でどれだけ自社サービスが想起され、選択されるかが利用率増加につながるのではないでしょうか」。