2020年6月14~19日に米国ハワイ州ホノルルで開催される予定の半導体に関する国際学会「2020 Symposia on VLSI Technology and Circuits(VLSIシンポジウム)」(主催:VLSIシンポジウム実行委員会、後援:IEEEおよび応用物理学会)は、世界的に拡大する新型コロナウイルス問題を踏まえ、従来の現地開催形式をすべて取りやめ、「オンライン会議」として開催することを決定した。

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    VLSIシンポジウムWebサイトにおけるオンライン開催に関する告知

主催者は「2020年はホノルルでの会議ではなくなるため、対面による活発な議論を再現することは不可能であるが、VLSIシンポジウム 2020のオンライン会議を2020年のもっとも興味深いエキサイティングな会議にするために懸命に取り組んでいる」との声明を発表した。

ただし、詳細な実施形式は現在検討中であり、4月末にWebサイトに掲載するとしている。40年の歴史を誇るVLSIシンポジウムにとって、ホテルなどの会場を使って開催しないのは今回が初めてであるという。

VLSIシンポジウムは週の前半に開催される「VLSI Technology Symposium(VLSI技術シンポジウム)」と後半に開催される「VLSI Circuits Symposium(VLSI回路シンポジウム)」の2つの国際学会で構成され、1981年にVLSI Technology Symposiumとして発足し、1987年からVLSI Circuits Symposiumが併催させるようになった。毎年、京都とホノルルで交互に開催されており、世界のトップデバイス技術者、回路およびシステム設計者が、マイクロエレクトロニクス技術に関する最先端の研究を発表する場として知られてきた。

第40回の記念大会となる今年の統一テーマは「ユビキタスインテリジェンスのためのVLSIの次の40年」で、高度なVLSI技術、革新的な回路・システム設計、およびそれらが可能にするアプリケーション(機械学習、IoT、人工知能、ウェアラブル/埋め込み型バイオ・医学機器、ビッグデータ、クラウド/エッジコンピューティング、バーチャルリアリティ(VR)/拡張現実(AR)、ロボット工学、自律走行車など)についての議論が繰り広げられることになっている。なお、発表論文の募集は、ニュースレター(一般締め切り後に募集した速報論文)をふくめてすでに終了している。

IEEEにとっては、4月下旬に米国テキサス州で開催される予定だった「IRPS(International Symposium on Reliability Physics)」もオンライン会議して行うことにしている。こちらは、オープニングセッションの基調講演だけスタジオから生中継するとしているが、それ以外のすべての一般講演とポスターセッションの発表は、オープニングセッションの終了後、5月30日までオンデマンドでの視聴が可能になる予定であり、今回のVLSIシンポジウムは、こうした先行して開催される会議内容を踏まえたものになると予想される。