2019年4月から2020年3月にかけて国内のパラスポーツ界では、東京2020パラリンピックへ向けた新たな動きがあちこちで見られ、大会後のレガシーにつながる変化の兆しが感じられた。動き始めたムーブメントは延期となった本番へと確かにつながっていくはず。この1年間でどんな出来事があったか、振り返ってみよう。

<春>

■陸上競技の世界一決定戦、次なる舞台は日本!

2019年にドバイで行われた年世界パラ陸上競技選手権大会。次の開催都市は神戸
photo by Getty Images Sport

2年に1度開催される「第10回世界パラ陸上競技選手権大会」が兵庫県神戸市のユニバー記念競技場で開催されることが4月、発表された。同大会の日本開催は初。当初は2021年9月を予定していたが、東京パラリンピック延期を受けて新たな日程が調整される見込み。パラリンピックに次ぐ規模の本大会には、国内で東京パラリンピック後の盛り上がり継続の効果も期待される。また、オリンピアンの室伏広治氏とパラリンピアンの山本篤選手が大会をPRするアンバサダーを務める。

■車いすバスケットボール日本一決定戦に健常者プレーヤーも出場!

伊丹スーパーフェニックスには三浦玄選手ら健常者プレーヤー4人が所属
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2019年5月10日~12日にかけて熱戦が繰り広げられた車いすバスケットボールの天皇杯。競技人口増加と競技力向上を期して2018年7月に健常者プレーヤーの登録が可能になったことを受け、この国内最高峰の舞台でも健常者が初めてプレーした。出場8チーム中5チームに健常者が登録、優勝は健常者登録のなかった宮城MAXだった。この取り組みには障がい者の出場機会の減少を危惧する声もあり、賛否両論あったが、新たな可能性を示した。

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■プロバスケットボールBリーグチームの傘下に車いすチーム加入!

福岡に拠点を構える車いすバスケットボールチームがプロバスケットボールBリーグ2部の「ライジングゼファーフクオカ」傘下に入り、「ライジングゼファーフクオカWheelchair」として8月1日付で発足。プロリーグの前座で車いすバスケットが行われることはあったが、Bリーグのチームが車いすバスケットボールチームを保有した事例はこれまでになく、スポンサー営業の協力による競技環境の向上などが期待される。新たな成功事例のモデルとなり、全国に広まるか。

■オリパラ共用のナショナルトレセン拡充棟がオープン

パラリンピックでメダルを目指す選手たちの虎の穴になっているナショナルトレセン・イースト
photo by Haruo Wanibe

トップレベルの競技者のためのトレーニング施設「味の素ナショナルトレーニングセンター(※)」内に「屋内トレーニングセンター・イースト」が新設され、9月にオープンした。オリンピック競技・パラリンピック競技一体となった強化拠点で、パラアスリートも利用しやすいようにユニバーサルデザインが採用されている。不足しているとされるパラアスリートの貴重な練習拠点となっており、競技力向上とパラリンピックのメダル増への貢献に期待がかかる。

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■車いすラグビー、パラスポーツ国内最多動員

3万5700人が観戦した車いすラグビーワールドチャレンジ2019
photo by X-1

10月16日~20日、車いすラグビーの強豪8ヵ国が集結した「車いすラグビーワールドチャレンジ2019」が東京体育館で開催。大会期間中、多数の小中学生を含む3万5700人が観戦。主催者によると、これはパラスポーツで国内最高の動員数となる。空前の盛り上がりを見せたラグビーワールドカップ開催期間中に行われたこと、日本代表が優勝候補であったことなどが起因しているとみられる。大会はアメリカが優勝、日本は3位だった。

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■東京パラ観戦チケット申込数、パラリンピック史上過去最多を記録!

観戦チケット抽選の発表イベントに登壇した卓球の岩渕幸洋(左から2人目)と重本沙絵(同4人目)
photo by Asuka Senaga 10月18日、東京パラリンピックチケットの第1次抽選申し込み数がパラリンピック史上最多になったと、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が発表した。申し込み受付人数は約39万人で、これまでの最高動員を記録したロンドン2012パラリンピックの3倍以上。このうち約16万人が当選し、約60万枚が販売された。なお、2020年1月に第2次販売、2月に抽選発表なども行われた。大会の延期に伴い、先行窓口販売などはいったん見合わされるが、改めて詳細が決まり次第、東京2020公式ウェブサイトなどにて発表される見込みだ。 <冬>

■世界初のパラリンピックミュージアム、東京でオープンへ

2月、国際パラリンピック委員会(IPC)が、東京パラリンピック開催に合わせてパラリンピックミュージアムをオープンすると発表した。延期による詳細は未定だが、実現すれば世界初。東京・日本橋のコレド室町テラスにて、パラリンピックムーブメントの歴史や、パラリンピックがインクルーシブな社会推進のけん引役として世界トップクラスのスポーツイベントに成長する過程を紹介。また、パラリンピック実施競技をはじめとした障がい者スポーツや伝説のパラアスリートの物語なども展示予定。

■国内最高峰のパラスポーツ競技大会、観客席有料化へ

2020ジャパンパラ陸上競技大会は新国立競技場で開催予定だった
photo by Haruo Wanibe

日本障がい者スポーツ協会が競技力向上のために1991年より開催している「ジャパンパラ(旧:ジャパンパラリンピック)競技大会」。東京パラリンピックを前に、パラスポーツ発展における課題の一つである観戦チケット有料化に踏み切ることに。しかし、初めての実施になるはずだった2020年3月の車いすラグビー競技大会は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため中止となった。なお、ジャパンパラ以外ではブラインドサッカーや車いすバスケットボールが国内の有料化の先駆けといわれ、競技の価値を高めようとする新たな流れを作った。ジャパンパラは再開後、その流れを根付かせられるか。

ここで紹介した以外にもパラスポーツの変化はいろいろなところに見られるはず。2019年度はマスメディアで取りあげられるパラリンピックやパラアスリートの話題が増え、WEB上でもその関心度が2倍超に高まった。2021年に延期された東京パラリンピックを機に、更なる発展を遂げられるか。国内のパラスポーツシーンは新たなステージに突入している。

※味の素ナショナルトレーニングセンターは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、国から発令された緊急事態宣言等を踏まえ、5月6日(水)まで施設の営業を中止しています。

味の素ナショナルトレーニングセンター「屋内トレーニングセンター・イースト」
https://www.jpnsport.go.jp/ntc/shisetu/tabid/151/Default.aspx

text by TEAM A
key visual by Getty Images Sport