内定選手への影響は? 会場確保は? 延期が決まった「東京五輪」現状と課題
声優としても活躍中の鈴村健一(月~木曜)と俳優の山崎樹範(金曜)、フリーアナウンサーのハードキャッスル エリザベスがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。4月3日(金)放送の「リポビタンD TREND NET」のコーナーでは、スポーツライターの小林信也さんに、「延期が決まった東京オリンピック……その現状と課題」について伺いました。


※写真はイメージです


新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、延期が決定した「東京オリンピック・パラリンピック」。大会組織委員会は、3月30日(月)の記者会見で「オリンピックは2021年7月23日(木)に開幕(日程期間:17日間)」「パラリンピックは2021年8月24日(月)に開幕(日程期間:13日間)」に決定したと発表しました。

◆全会場、確保できるか?
山崎:東京2020大会の延期が決まってから“1週間以内のスピード決着”ということで、さまざまな意見が飛び交っています。来年7月に開催するうえで、運営側の現状の問題点は?

小林:1番の問題点は「すべての会場が確保できるか?」。スポーツイベントに使っている会場は大丈夫だと思うのですが、スポーツ以外の展示会などで使っている施設は、プレスセンターなど、さまざまな場所として使われます。そこを確保できるかどうか。

ちなみに、組織委員会の入っているオフィスは、今年9月には使えなくなる……というニュースも出てきています。このようなところにも費用がかかるし、展示会に使っている施設を来年のオリンピックに明け渡すとなると、予算以上の経済損失があるとも報じられています。

◆内定選手への影響は?
山崎:次に、今回の延期によって考えられる、これからの課題について伺いたいと思います。各競技別で懸念されることがあると思います。すでに出場が内定している選手については、どのような状況になりそうですか?

小林さん:競技によって違いがありますが、1年もあったらトップ選手は入れ替わりますよね。卓球やマラソンのように、いち早く出場が決定した選手に「来年も出てもらいますよ」と発表した競技もありますが、まだ最終段階の競技や、“やっぱり柔道は全階級で金メダルを獲りたいから、一度は決めたけど、来年の段階での最強選手を選びたい……”というような混乱があるのでは……という懸念もあります。

山崎:サッカーは年齢制限がありますよね。そのあたりの対応については、どうなると思いますか?

小林さん:(男子サッカー競技の参加資格に則り)「23歳以下」のままか、1年延期で「24歳以下」になるのかは、国際連盟が決めると思います。しかし、「23歳以下」という年齢制限のままでは、出場できなくなる選手も出てきますので、チームを作り直さなければならない。なので、年齢制限を1年アップして「24歳以下」になるのではと思います。

山崎:競技によっては、そのときの世界ランキングで決めているものもありますよね? それはどうなりますか?

小林さん:そうなんです。例えば、ゴルフ、テニス、バドミントンなどは、オリンピックの出場条件を「〇月時点で世界ランキングの上位」という決め方をしています。バドミントンは4月末、ゴルフは6月ですので、来年の夏開催となると、この期間を先延ばしにするのではないかと言われています。

山崎:選考レースが続いていくと?

小林さん:そうですね。ただ、今は大会の予定が立たない状況ですから、選手にとっては非常にイラ立ちも多いと思います。

◆“オリンピックの意義”
山崎:最後に、今回の延期を受けて、小林さんが思うことがありましたら、ぜひ教えてください。

小林:延期、日程決定は、すべて(安倍)総理大臣のリードです。つまり、政治的な事情や思惑で決まって、スポーツ界の意思がほとんど反映されていない。スポーツ人として、僕はすごく残念です。1年延期ということになれば、スポーツ関係者だけでなく、いろんな人の犠牲や協力も必要です。そこに対して、問いかけもないんです。そのあたりが、“これでできるのかな……?”というところです。

もう1つは、今、あらゆる人たちが、自分たちが毎日おこなってきたことを我慢して、活動を停止している方がほとんどだと思います。お店を休業したり、営業していてもお客さんが来ない……など、そういう状況です。

僕もスポーツで育ってきて、スポーツマンとして、どういう判断をすべきなのかって、すごく考えています。出場する選手たちは、“来年はオリンピックを開催するよ”って言われたら、絶対に休んでいられないですよね。今はオリンピック選手といえども、活動を少し休んで、新型コロナウイルス感染拡大防止に協力するのが、本当は正しいのではと思います。

それなのに、オリンピック関係者は来年の日程を決めて、選手たちに動くように刺激してしまっている。本当は、安心して休む環境を作ってくれることじゃなかったのかなって。その点に関して、僕は毎日、自問自答している感じですね。

山崎:“オリンピックの意義”というのも問われますしね。

小林:新型コロナウイルスを前に、“スポーツは万能じゃない。スポーツなんかしている場合じゃない”と、わかった訳です。世界一を決めることも大事だけれども、今後は、一人ひとりがスポーツで健康になることも大事だというふうに、シフトしていかなければいけないなと思います。

山崎:各競技が乗り越えなくてはいけないことがありますが、そもそも、オリンピックは平和の祭典。新記録やメダルの数ではない。改めてオリンピックの意味を考えるタイミングなのかもしれないですね。

<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:鈴村健一(月~木曜)、山崎樹範(金曜)、ハードキャッスル エリザベス
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/