今年は確定申告の必要なし、と思っていた人も要チェック! 意外と見落としてしまう、所得控除の対象になり税金を取り戻せるケースを分かりやすく紹介します。

◆「確定申告でお金を取り戻す」とは? 事情がある人は税金が安くなる
そもそも、確定申告で「お金を取り戻す」とは、「同じ収入の人でもそれぞれの事情があるでしょうから、事情がある人は所得税を安くします」という制度を利用することです。

その事情とは、

1. 妻の合計所得金額が38万円以下
2. お年寄りと暮らしていて面倒を見ている
3. 入院、出産、歯の治療で、医療費が高額になった
4. 生命保険、個人年金保険、地震保険に加入している
5. ふるさと納税をした

等々です。

これらの事情を加味して、所得から引くことを所得控除(しょとくこうじょ)と言い、それぞれ○○控除という名前がついています。上の事情はそれぞれ、

1. 配偶者控除(納税者の所得が1000万円以下)
2. 扶養控除(老人扶養控除)
3. 医療費控除
4. 生命保険料控除
5. 寄附金控除

という名前の控除になります。

これらの控除を確定申告すると、割引された分の所得税が、「事前にもらった所得税は、もらいすぎなのでお返しします」と、還付金(かんぷきん)となって戻ってくるという仕組みになっているのです。

会社員なら会社の年末調整で控除されているものもありますが、医療費控除や寄附金控除、適用1年目の住宅ローン控除、年末調整の時に申告し忘れたものは、自分で確定申告することになります。

※ふるさと納税については、平成27年4月から始まった「ふるさと納税ワンストップ特例制度」により、条件を満たせば確定申告不要で節税メリットを受けられるようになりました。

◆個人年金保険、地震保険も税金が戻ってくる!?
「生命保険料控除」と名前がついていますが、生協や各都道府県にある共済、郵便局のかんぽも対象です。

また、個人年金保険も対象になります。生命保険と、介護・医療保険、個人年金保険はそれぞれ最高4万円、合わせて最高12万円が所得控除の対象となります(平成24年1月以降の保険契約の場合)。

また、家や家財にかける地震保険も「地震保険料控除」として、最高5万円が所得控除の対象になります。

確定申告でこれらの保険料控除をする場合は、年末に保険会社から送られてくる証明書の内容を確認しましょう。なくした人は保険会社に問い合わて再発行してもらいましょう。

会社員でも、年末調整の時に生命保険料控除や地震保険料控除の用紙を出し忘れた、という人は、確定申告をすることで税金を取り戻せます。

所得税率10%(課税所得195~330万円)で、生命保険と地震保険と合わせて17万円の保険料控除ができる場合、1万7000円の税金が戻ってきます。

◆泥棒に入られた場合も税金が戻ってくる!?
台風や地震などの災害や盗難にあって住宅や家財に損害を受けた時は、雑損控除の対象になります。

雑損控除の計算をするには、まず差引損失額を出します。

差引損失額=損害金額+災害関連支出の金額-保険金などで補てんされる金額

次に、2つのうちいずれか多いほうの金額が控除額となります。

・差引損失額-総所得金額×10%
・差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円

◆金歯は? 子どもの歯科矯正費は?
歯科の治療費も、医療費控除の対象となります。保険がきかない治療もありますが、治療のために必要ならば医療費控除の対象となります。

金歯も医療費控除の対象になりますが、「目立ちたいから前歯を金歯にした」という理由では、医療費控除の対象になりません。矯正は、発達段階の子どもの成長を阻害しないようにするためのものなら対象になります。

◆薬局で買った花粉症の薬は?
市販の風邪薬、胃腸薬なども医療費控除の対象になります。もちろん花粉症の薬もOK。しかし、うがい藥や花粉症対策マスク、ティッシュは対象になりません。

基本的に医療費控除については、治療のための薬は対象となるのですが、予防のためのものは対象とならないのです。薬局やドラッグストアのレシートは、確定申告まで捨てずにとっておくといいでしょう。

また、2017年1月から特定の医薬品を購入すると、その購入額が1万2000円を超える時は、超える額(上限8万8000円)を総所得金額から差し引く「セルフメディケーション税制」が開始しています。領収書が必要なので確定申告までとっておきましょう。

◆マッサージ代は?
鍼灸、マッサージ指圧も治療であれば医療費控除の対象になります。しかし、「体調を整える」などの健康維持目的だと対象にはなりません。

◆健康診断の費用は?
健康診断や人間ドックの費用は、医療費控除の対象になりませんが、その検査で病気が見つかり治療した場合は健康診断の費用も対象になります。

◆病院に行く交通費は?
病院に行くための交通費も医療費控除の対象になります。ただし、マイカーで行く場合のガソリン代や駐車料金、里帰り出産のための新幹線代や飛行機代などは対象になりません。

◆「生計を一にする人」全員をチェック!
所得控除の対象になる要件によくでてくるのが、「生計を一にする(せいけいをいつにする)配偶者やその他の親族のために支払った」などといった文章です。

この「生活を一にする」とは、一緒に暮らしていなくても生活費、医療費などの仕送りをしている家族ならOK。次のようなケースも対象になります。

・下宿をしている大学生の子ども
・生活費を仕送りしている両親
・一緒に暮らしている親族

さて、申告し忘れているものは、ありませんでしたか?

次は高額の医療費がかかった場合、いくら戻るのかについて解説します。実は高額の医療費を払っても、還付金が戻ってくるケースと戻ってこないケースがあるのです!

◆高額の医療費! 申告できるのはいくら?
医療費控除での申告額は、1年間にかかった医療費の合計ではなくこの式で出します。

医療費控除額=(医療費控除の対象となる医療費-保険金等で補てんされた金額)-10万円(※)

(※)所得200万円未満の人は、所得の5%

まず、1年間に支払った「生計を一にする人」全員の医療費の領収書やレシートを集め、交通費をレポート用紙などに書き出します。これが、控除の対象になる医療費の合計です。

次に「補てんされたお金」を引きます。「補てんされたお金」とは、入院などで保険会社から支払われた保険金、出産育児一時金、高額療養費などです。

高額療養費とは、1カ月の医療費の自己負担分が8万100円を超えたら(70歳未満、標準報酬月額28~50万円の方)、自己負担分を超えた額が払い戻されるというものです。

年間の医療費が10万円を超えたとしても、保険会社から入院給付金が支払われていたり、出産育児一時金の42万円が支払われていたり、高額療養費制度の払い戻しがあった場合は、これらを医療費から引くので、申告額は少なくなります。

「補てんされてるんだから、所得税を返さなくてもいいでしょ」ということですね。具体例を使って計算してみましょう。

◆帝王切開で妻が出産、夫は虫垂炎で入院した場合の医療費控除
出産費用……50万円
夫の入院費 ……11万円
その他医療費……7万円
合計……68万円

年間68万円も医療費控除の対象になる医療費がありました。

でも、妻は帝王切開で出産したため、加入していた保険会社から入院給付金と手術給付金を10万円受け取り、健康保険から出産育児一時金42万円と高額療養費の払い戻しも7万円ありました。夫も、高額療養費の払い戻しが2万円ありました。

補てんされたお金は、対象とされる医療費ごとに計算を行います。支払った医療費の金額を上回る部分の補金の額は、他の医療費の金額からは差し引きません。

妻:50万円-(10万円+42万円+7万円)=▲9万円

妻は50万円かかりましたが、補てんされたお金が合計59万円あったので、医療費控除の対象にはなりません。

夫:11万円-2万円=9万円

医療費控除の対象になるのは、夫の9万円と、その他の医療費7万円を足して、16万円です。医療費控除の式に当てはめると、

16万円-10万円=6万円

6万円が医療費控除額になります。税率10%の人が申告すれば、戻ってくるお金は6000円です。

◆歯の治療をした家族の医療費控除
歯科自費診療……30万円
歯科保険診療……1万円
その他の医療費……1万円
合計……32万円

年間の医療費は32万円で先の夫婦の約半額ですが、補てんされたものが何もありません。

医療費控除の式に当てはめると

(32万円-0円)-10万円=22万円

22万円が医療費控除額になります。税率10%の人が申告すれば、戻ってくるお金は2万2000円です。

◆還付申告のチャンスは5年間!
確定申告の期間は翌年の2月16日から3月15日(原則)までですが、還付申告(お金をもどしてもらう申告)は翌年1月1日から5年間です。

うっかり申告し忘れていたり、この記事を読んで申告できるものを思い出した人は、5年前までさかのぼれます。

ただし、これは会社員など確定申告をしていない人に限ります。自営業者など毎年確定申告している人は、払いすぎた税金を返してもらう更正の請求は確定申告期限から1年もしくは5年以内なので、要注意です。

また、確定申告ではマイナンバーの確認書類が必要となっていますので、必ず提示するように注意が必要です。

いかがでしたか? 会社員はまず自分の源泉徴収票を見てみましょう。控除の欄が空欄で少しでも当てはまるものがあれば、確定申告にトライです!

※記事内の税額はあくまで概算、復興特別所得税は考慮せず。また、控除の対象となる条件は必ず税務署などで確認してください。

文=山口 京子(マネーガイド)