デロイト トーマツ グループは3月30日、世界38カ国の企業における調達責任者を対象に、調達領域に関する課題・現状認識等を調査しまとめた「Global CPO Survey 2019」の日本版を発刊した。

同調査は、デロイト グローバルが2011年以降、調達領域における重要な課題やビジネス機会に関するベンチマークとして発信しているもの。

今年度の調査では、調達領域のあらゆる局面で市場の複雑性が高まる中、ビジネスリーダーの6割強が過去12カ月間の間に「リスクが増加している」と感じていると回答している。具体的なリスクについては、「景気低迷」や「貿易戦争」など外部環境に起因するリスクに高い懸念を示している一方、自組織内の課題に起因するリスクを挙げる割合も高かった。

  • 調達関連リスク要因の増加

    調達関連リスク要因の増加

また、今後1年間における組織の優先事項については、ビジネスリーダーの93%が「コスト削減」と「リスク管理」を優先するとして全体のトップに挙げ、次いで「デジタルビジネスモデルの導入/拡大」が87%と高い結果になった。

「リスク管理」や「デジタルビジネスモデルの導入」に高い優先度が置かれる一方で、それらに対応するテクノロジーを導入した企業の多くは満足していないことも明らかになった。特に「サプライチェーンのリスク/コンプライアンス」関連のテクノロジーに対する不満度は高くなっている。

  • デジタルテクノロジー導入に対する不満

    デジタルテクノロジー導入に対する不満

調達部門でデジタルテクノロジーを有効活用する上での主な障壁は何かという質問には、「データの品質」が57%と最多となり、ほかにもITリソースや予算の不足、アプリケーション間の統合における障壁などが挙がるなど、社内のデジタル環境の整備に課題が見られる。

今回の調査から、企業の社内外における様々なリスク要因が増加しており、調達の役割が変化しこれまで以上に複雑になっていることが明らかになった。

デロイト トーマツ グループは、デジタル技術を戦略実現に資する有効施策とするためには、明確なデジタル戦略を策定する必要があり、幅広い領域でのソリューション検討を進めていくことが鍵だとしている。今後はあふれる情報を適切にコントロールしつつ、内部連携を強化した上で、デジタルトランスフォーメーションへのステップを構想することが重要だとしている。