エリック・クラプトンが愛用してきたギターの系譜

エリック・クラプトンの偉大なるキャリアを、彼の代名詞であるギターとともに振り返る。2013年刊行の『Six-String Stories』を一部抜粋した、ローリングストーン誌による同年の記事をプレイバック。

エリック・クラプトンはジェネシス・プロダクションズと手を携えて、自身の広範囲なキャリアを、使用するギターという視点で新たに見つめ直しつつ、年代順に記録することにした。『Six-String Stories』と題されたこの新著には、クラプトン所有のコレクションの中から選出された300近い楽器の写真とその背景を掲載している。そして、クラプトン自身が自分の言葉で使用ギターの変遷にまつわるストーリーを語る。この書籍は2000冊の数量限定版で、背表紙には彼が使っているギブソンES-335と同じ鮮紅色のレザーが施され、ページはゴールドの縁取りがされる予定だ。この書籍の収益はクロスローズ・センターに寄付されることになっている。

※以下、「」内はすべてエリック・クラプトンの発言

At Home

© Barrie Wentzell / www.ClaptonBook.com

「このギターは自宅で曲を作ったり、演奏したりするときに使っていた。自宅でエレクトリックをプレイすることはほどんとないよ」


Feedback

© Barrie Wentzell / www.ClaptonBook.com

「初期の頃、自分へのイメージにバイアスがかかっていると感じていた。このテレキャスターは最初から他よりも使いやすいギターだった。テレキャスの見た目も気に入っていたが、このギターを弾きこなすのはけっこう大変だったね。一般的にテレキャスはフィードバックのコントロールに苦労するんだよ」

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エリック・クラプトンが愛用してきたギターの系譜(全15点)


Playability

© Dan Cuny / www.ClaptonBook.com

「OMのプレイヤビリティには限界があると言われるが、それは本当じゃない。私以外にそんなことは気にしないとは思うのだが、怠け者の私だからこそギターに関してはうるさい。選ばれたギターは私の要求に応えないといけないわけだ。OMは弦の長さが長めなので、ベンドが楽にできるし、音の鳴りも多めなんだ」


Brownie

・フェンダー・ストラトキャスター「ブラウニー」の写真

1956年製フェンダー・ストラトキャスター「ブラウニー」は1970年代にクラプトンがメインで使用していたギターだ。このブラウニーは、デレク・アンド・ザ・ドミノスのアルバム『いとしのレイラ』の収録曲の多くで使用され、このアルバムの見開きジャケットとクラプトンの初ソロ・アルバムのジャケットにも登場している。

「ブラウニーは私のプレイにそれ相応の影響を与えた。ストラトのサスティンは短いから、ベンドも大変だし、ベンドしたままホールドするのも、ビブラートするのも大変だ。だから弾く音符の数が増えるんだよ」


Dire Straits

© Genesis Publications Ltd / www.ClaptonBook.com

「マーク・ノップラーのリハーサルを何度か見て、彼のサウンドに感銘したことがきっかけでフェンダー・デュアル・ショーマンのアンプを使うようになった。あの音色を出しているのがギターじゃなくてノップラーが使っているアンプだと気付いて、実際にノップラーのアンプを使わせてもらったら、温かくて丸みのあるサウンドが気に入ってね。速攻でマイケル・ソルダーノにオーダーしたよ」

The Best

© Genesis Publications Ltd / www.ClaptonBook.com

「ブラッキーは私のシグネチャー・ギターのテンプレートだ。手に持った途端に望む音が出る。これこそが私が望むギターだ。ブラッキーには本当に満足している。ギターに夢中な知り合いがある時、客観的にこのギターを見た意見を教えてくれた。彼は、あらゆる点でこのギターがこれまで私が弾いた中でベストだと言ったよ」


George

© Genesis Publications Ltd / www.ClaptonBook.com

「私たちと一緒に日本に行ったとき、ジョージ(・ハリスン)にこのギターを渡した。基本的に彼がしたことは、ステージに上がって、アコースティック・ギターをかき鳴らすってこと。彼は喜びつつ、同時に怖がってもいた。だって、彼がアメリカンツアーを行なってから15年とかで、けっこうブランクが空いていたから」


T-Bone

© Moriyasu Aono / www.ClaptonBook.com

「50年代風のサウンドが欲しいときには古いギブソンを使うことが多い。持っているギブソンにはかなり太い弦を張ってラウドで分厚い音を出せるようにしているため、弾くのにそれ相当のコツが要る。でも、そんなギターだから、ベンドしても自分の思い通りの音は出ない。弦の抵抗力が強いからね。そこで、古いギブソンをプレイするときは、Tボーン・ウォカーっぽいプレイになり、彼のようなサウンドに自然になってしまうというか、そうしてしまう自分がいるんだよ」

Blackie

・フェンダー・ストラトキャスター「ブラッキー」の写真

クラプトンといえばこれというほどのアイコン的ギターは1950年代製の黒のフェンダー・ストラトキャスターで、「ブラッキー」という愛称でよく知られている。ブラッキーはクラプトンの歴代ギターの中で最も長い期間メインギターの地位を占めており、1973年から1985年までクラプトンは必ずステージで使っていた。また、ブラッキーは『スローハンド』『バックレス』『ジャスト・ワン・ナイト〜エリック・クラプトン・ライヴ・アット武道館〜』『Time Pieces: The Best of Eric Clapton』など、クラプトンのアルバム・ジャケットに幾度も登場している。

「このギターには摩訶不思議な何かがある。長年、このギターに愛情を注ぎながら優しく世話してきた成果なのだろう。中古のギターや古いヴィンテージギターを好んで手に入れる理由もそこにあるのかもしれない。迷信っぽく聞こえるかもしれないけど、自分よりも前に誰がそのギターを持っていたのか分からないわけだ。その人が巨匠で、そのギターに何か施していたかもしれない。つまり、ギターには持ち主のプレイの仕方や世話の仕方の記憶が残っているようで、そんなギターを手に入れる幸運に恵まれ、その価値を知っていれば、手に入れたギターの記憶を継承しようと思うんだ」


Second Hand

© Michael Zagaris / www.ClaptonBook.com

「これはよく知られた話だと思うが……ナッシュビルでバディ・エモンズという有名なペダルスチール奏者が経営しているショー・バッドという店に入った。そこにはいろんな楽器があって、店の前に置かれたリッケンバッカーはけっこうな値段だった。店の奥に中古楽器のコーナーがあって、ストラトキャスターが列をなして置かれていたから、私はそこに並んでいたストラトを全部買ったんだ。そのギターのうち3本を使って作ったのがブラッキー。ボディ、ネック、ピックアップはそれぞれが違うギターのものさ」


Magic

© Michael Zagaris / www.ClaptonBook.com

Attachment

© Michael Zagaris / www.ClaptonBook.com

「1本のギターに夢中になってしまうクセがあって、ブラッキーは自分の一部だとすら感じていた。ブラッキーのようなギターに出会えるのは人生で一度きりだろうね。ブラッキーは12年間、毎回ツアーに持って行き、ノンストップでプレイしたよさ」

The Action

© Michael Zagaris / www.ClaptonBook.com

「ネックがかなりすり減っていて狭くなっているのに、アクションが完璧だったのさ。だから、やるべきことはこのギターを持って、ギターが鳴るに任せるだけだった。このギターへの信頼度と安心感は使っているうちにかなり高まったね。本当に驚異的なギターだよ」


Dobro

© Michael Zagaris / www.ClaptonBook.com

「ドブロで一番影響を受けたのはデュアン・オールマンただ一人だ。彼はドブロでどんなプレイもできたし、何をプレイしても彼らしかった。これに初めて気付いたのが『レイラ』のセッションで、そのセッションでは彼がストレートにドブロをプレイすることにしたバラッド曲が2曲ほどあった。厳密な意味でのカントリー・ドブロとは言えないドブロ、つまり膝に乗せるラップスタイルのドブロを聞いたのは、あのときだけだよ。ドブロというのは厳密にスタイルが区分されているんだよ」


Martin

© Paul Cox / www.ClaptonBook.com 

「マーティンをステージや『アンプラグド』で使ったら、このギターのイメージが広まったんだけど、マーティン社はそれをとても喜んでいたと思う。言う必要もないと思うが、私はマーティン・ギターの信奉者だ。そのおかげで、彼らは私が憧れる夢のギターを作る機会を与えてくれたよ」