新型車情報[2020.02.28 UP]


VOLKSWAGEN T-Cross フォルクスワーゲンティークロス


最新輸入SUVの魅力解剖 フォルクスワーゲンのSUVシリーズ最小となるT-クロス。小さいボディに最新装備を満載した同社最新SUVの魅力とはーー。 ●文:川島茂夫 ●写真:奥隅圭之


Profile プロフィール
VWのSUVラインナップへ誘う最小のSUV

 SUVカテゴリーへの注力を明言するフォルクスワーゲンが満を持して投入する、新開発のコンパクトクロスオーバーSUV。基本構成はコンパクトカーのポロと同様であり、最新のMQB(独・Modulare Quer Baukasten=モジュラー式横置きプラットフォーム)に1L3気筒のTSIエンジンを搭載する。駆動方式がFFのみとなることでもわかる通り、扱いやすいコンパクトカーにSUVテイストを加えた付加価値モデルとなる。SUVらしいデザインや開放的な乗車感覚、積載性などに加え、MQBの採用によって先進装備の搭載が可能となっているのも見所だ。なお、TSI 1st Plus(ファーストプラス)はデザインパッケージ付きの内外装となる。


Variation バリエーション
●価格:299万9000円

T-Cross TSI 1st


●価格:335万9000円

T-Cross TSI 1st Plus


Specifications 主要諸元

TSI 1stプラス ●全長×全幅×全高:4115×1760×1580mm ●ホイールベース:2550mm ●車両重量:1270kg ●駆動方式:前輪駆動 ●パワートレーン:999cc直3DOHCターボ(116PS/20.4kg・m) ●トランスミッション:7速DCT ●JC08モード燃費:19.3km/L ●最小回転半径(m):5.1 ●タイヤサイズ:215/45R18


Body color ボディカラー

ピュアホワイト(0Q) *1



ディープブラックパールエフェクト(2T) *1



マケナターコイズメタリック(0Z) *2 【NEW】



フラッシュレッド(D8)



ライムストーングレーメタリック(Z1) *1



エナジェティックオレンジメタリック(4M) *1



リーフブルーメタリック(0A)



ダークペトロール(5M) 【NEW】


ファミリー&レジャー車の新基準

●ボディカラー:エナジェティックオレンジメタリック /デザインパッケージ〈ブラック〉

VOLKSWAGEN T-Cross TSI 1st Plus


長距離ツアラー適性は 車格を大きく超える


「ゴルフと並ぶ看板モデルになるかも!?」が試乗時の第一印象である。

もはやSUVは流行りではなく一般ユーザー向けの確固たる市場とした感がある。同時にどのカテゴリー以上に多様化も進んでいる。その中でどう位置付けるかがT-クロスの評価では極めて重要だ。

駆動方式は2WD(FF)のみの設定。FF限定と言うとスタイルだけだと誤解されそうだが、欧州車ではそう珍しくもない。また、最低地上高は未公表だが、目測では180mm以上はありそうで、悪路での轍跨ぎには十分。短い前後オーバーハングも悪路には有利な条件であり、ちょっと荒れた未舗装路を走るくらいなら余裕だ。そのくらいなら一般的な乗用車でも……と思うだろうが、鼻打ち腹打ちの可能性は段違いで低下する。この設定はT-クロスの適応用途を端的に表す。

4.1m強の全長は込み入った都市部での使い勝手もいい。渋滞にはまってもアイポイントが高いから周囲のクルマから受ける圧迫感も少ない。日常用途での取り回しやすさはT-クロスの大きなアドバンテージのひとつである。しかもSUV最小クラスの車体寸法ながらファーストカー用途に十分なキャビンユーティリティを備えている。4名乗車でもレッグスペースにはゆとりがあり、後席のヘッドルームや開放感は同サイズの2BOX車を上回っている。長時間走行でも疲労の少ない造りとサイズのシートもあって、4名が和気あいあいと過ごせる居住性だ。加えて、欧州車には珍しく後席スライド機構を採用し、積載荷物の量やサイズに応じてうまく案配できるのも見所。高さ方向のゆとりを活かしてユーティリティを高めたワゴンと捉えてもいいだろう。そしてVW車の走りである。ランニングコンポーネンツはポロをベースとし、搭載エンジンは1L3気筒のダウンサイジングターボ。ミッションはデュアルクラッチATの7速DSGを採用する。

ポロより約100kg増加した車重が気になったのだが、余力感たっぷりのパワーフィールはダウンサイジングターボの先駆けとなったVWらしいもの。巡航時はどの速度域でも1500~2000回転となるように変速。緩加速や緩い登坂は巡航ギヤを維持したままの力強さ。だからと言って不自然にダウンシフトを堪えるような感もなく、伸びやかな加速を求めて踏み込めば、意を汲んだが如く一段と軽快に加速していく。力感と伸びやかさのバランスが運転ストレスを大幅に軽減してくれる。

フットワークは高速操安性最優先。車重や重心のせいで安心感が減少するのは許し難いとでも言いたげな特性だ。そう述べるとガチガチのアシを想像されそうだが、VW車の「安心」基準をSUVに合わせて補正した範囲。身にこたえるような突き上げもなければ緊張を誘う揺れもない。普段使いにも丁度いいスポーティモデルの乗り味を想像すればいいだろう。

ハンドリングは神経質な反応の少なさと素直なライントレース性が印象的。これも「いかにもVW車」なのだが、初見のワインディング路や高速道路でも走り慣れた道のように扱えてしまう。クルマのほうから正確な運転を求めない、そんな懐深さが長距離走行では実にありがたい。要するに動力性能もフットワークも距離を感じさせないタイプ。そこに長時間高速走行での運転疲労を大幅減するACCやLKAなどの充実した先進安全&運転支援装備も加わるのだから、長距離ツアラーとしての資質は車格を大きく上回っている。

使い勝手と汎用性の高いVWらしいコンパクトカーの守備範囲をちょっとした悪路にまで拡大。いわゆるSUV限定の価値にこだわった存在ではなく、ファミリー&レジャーの基準器のひとつとなり得るモデルなのだ。


Exterior エクステリア 直線的で骨太なフォルムにまとまる


 水平基調のボンネットラインに太いリヤピラー、大きく開口したラジエターグリルとヘッドランプ。ホイールアーチからボディパネル下部には跳ね石等に強い樹脂パネル仕立てとして、骨太かつ実用的な印象を与える外観である。対象物がないと大きく見えるが車体平面寸法はポロと大きく変わらない。全高はSUVとしては低めの1580mmであり、運転視界や乗降性にも優れ、タウンユース主体の用途でも使いやすい設計である。







前後灯火はLED。前後フォグランプも備える。ヘッドランプはオートライト&ハイビームアシスト機能付きだ。



全高 1580mm / 全長 4115mm / 全幅 1760mm



ホイールベース 2550mm



写真はTSIファーストプラスのデザインパッケージ仕様。ポロと同等のタウンカーサイズにSUVらしさを加えている。


TSI 1st Plus



デザインパッケージ〈ブラック〉


●18インチ


デザインパッケージ〈グリーン〉


●18インチ


デザインパッケージ〈オレンジ〉


●18インチ


TSI 1st



●17インチ
デザインパッケージ設定なし


Interior インテリア 大人4人の長距離ドライブも楽しめる


 インパネ周りの基本造形はポロとよく似ている。機能別に整然とレイアウトされた計器盤や操作盤と一目での理解を促すデザインがVW車らしい。そこに遊び心を加えているのがT-クロスの妙味。味気ない道具とせずにひと技加えた洒落っ気がいい。シートは前後席ともかっちりした座り心地が特徴。室内高の余裕を活かして座面高を高くしているため、後席の居心地も良好。大人4名が長距離ドライブを楽しむにも十分な室内である。







小さなボディに十分以上の居住空間を確保。シートの主素材はファブリックとなる。



6:4分割可倒式リヤシートはスライド機能付きで、背もたれのリクライニングも可能だ。



ストライプがアクセントのインパネ。ファーストプラスはアンビエントライト付きだ。



高機能メーターや機能的な配置のスイッチ、パドルシフト。実用的でスポーティな印象だ。


TSI 1st Plus


デザインパッケージ〈グリーン〉シートカラー:チタンブラック/グリーン



デザインパッケージ〈ブラック〉シートカラー:チタンブラック/グレー



デザインパッケージ〈オレンジ〉シートカラー:チタンブラック/オレンジ


TSI 1st


シートカラー:チタンブラック/グレー


Utility ユーティリティ クラストップの広さに SUVらしく高さをプラス


 意外と寸法面の融通が利かないのが荷物で、まさに寸法どおりにしか収まらない。そういった視点からか欧州車はコンパクトカーでも比較荷室の広いモデルが多いが、T-クロスはその中でもトップクラス。奥行きだけでなく、高さ方向の余裕もあるので大きな物を積みやすい。また、後席は140mmのスライドが可能であり、積載の柔軟性が高いのも特徴だ。



高さ:700mm



幅:約1000mm



奥行:約630mm



ボディサイズの割りに大容量なのはもちろん、スクエアな開口部で積み降ろしにも配慮。


後席:後ろ位置 / 後席:前位置

後席スライドで容量調節が可能。容量は455~1281Lだ。



Qi(チー)規格のスマートフォンワイヤレス充電に対応。



前席×2、後席×2の計4口のUSBポートを備えている。


Mechanizm メカニズム 大トルクで余裕の走りの ダウンサイジングターボ


 1L3気筒と聞くと頼りなくも思えるだろうが最大トルクは2L級の20.4kg-mである。しかも加速時に最も使用頻度の高い2000~3500回転で発生する。7速DSGは幅広い変速域を細かく繋ぎ、大トルクを活かした繋がりのいい加速をもたらす。DCTならではの変速の小気味よさもあり、悠々のクルージングもメリハリの利いた走りも楽しめる。


●1.0LTSIエンジン

排気量わずか999ccの直列3気筒ターボ+7速DSGは十分に力強くトルクバンドも広い。


エンジン性能曲線図

トルクカーブに注目。2000回転から4000回転まで最大トルクをキープしている。



フォルクスワーゲンのDSGはいわゆるDCTで、T-クロスはポロと同様の乾式7速。


Safefty / Assistance 安全/運転支援 1st Plus はVWの技術をフル搭載


 安全の基本は生存性の高いキャビン設計が土台なのは言うまでもないが、事故回避機能が次世代の安全性の核。T-クロスは歩行者対応の衝突回避の他にリヤビューカメラと駐車運転支援システムなどを全車に標準装着。また、前走車追従のACCや車線逸脱を操舵支援で回避するLKA、側後方接近車両検知のBSM等を設定する。いずれも次世代標準となる安全&運転支援機能であり、長く乗り続けたいユーザーには見所のひとつだ。


■1st Plusに採用の「VOLKSWAGEN オールイン・セーフティ」一覧



プリクラッシュブレーキシステムFront Assist(歩行者検知対応式エマージェンシーブレーキ機能付)



レーンキープアシストシステムLane Assist



駐車支援システムPark Assist



リヤトラフィックアラート(後退時警告・衝突軽減ブレーキ機能)



ブラインドスポットディテクション(後方死角検知機能)



6エアバッグ



アダプティブクルーズコントロールACC(全車速追従機能付)



ハイビームアシスト



パークディスタンスコントロール(フロント/リヤ、前進/後退時衝突軽減ブレーキ機能付)



リヤビューカメラRear Assist



プロアクティブ・オキュパント・プロテクション



ポストコリジョンブレーキシステム


■導入特別仕様車「T-Cross TSI 1st」「T-Cross TSI 1st Plus」 主要装備表


■導入特別仕様車「T-Cross TSI 1st」「T-Cross TSI 1st Plus」 主要諸元表


■コネクティビティ機能App-Connect
「MirrorLink」画面


「Apple CarPlay」画面


「Android Auto」画面



各種スマホアプリのほか、オンラインサービス「Volkswagen Car-Net」にも対応。


T-Roc / 2020年発売

今後も期待!VOLKSWAGENのSUV戦略 コンパクトな クーペSUVを追加


 フォルクスワーゲンも目下SUVカテゴリーの拡充を図っていて、今年はティグアンとT-クロスの中間サイズとなるクーペSUV・T-Rocがいよいよ上陸する。導入グレードは不明だが、海外では4ドアのほか2ドアカブリオレも発売されており、レンジローバーイヴォークの対抗馬とも目される、期待の高付加価値モデルだ。


ライバル 輸入SUVエントリー車チェック T-クロスの値頃感は ドイツ車随一

●価格:422万~839万円

MERCEDES-BENZ GLA


●価格:438万~650万円

BMW X1



 SUVカテゴリーの拡充は世界の自動車メーカーのトレンドだ。日本で人気のドイツ御三家のうち、メルセデスとBMWは既にエントリークラスのSUVが存在。T-クロスの登場で御三家のミニマムSUVが揃い踏みとなった。ただしブランドカラーの違いから、T-クロスだけが同クラスの日本車と競合できる価格設定となっている。