東京メトロは25日、操縦型のドローンを活用したトンネル検査の報道公開を東京メトロ総合訓練研修センターで実施した。同社は2月6日から、操縦型のドローンを活用したトンネル検査を開始している。

  • 新しくトンネル検査に導入したドローン

従来、トンネル内では構造物の状態を目視で確認しており、軌道内からの目視だけでなく、高所作業車を使用したり、足場を組んだりする必要があった。この検査の一部にカメラとライトを備えた操縦型のドローンを活用することで、トンネル内の高い場所であっても検査対象物に接近し、さまざまな視点から確認することが可能になる。動画も静止画も撮影でき、検査データを蓄積することで、検査の質を向上させることもできる。高所作業の回数を減らすことで、効率的なトンネル検査が可能になる。

トンネル検査の際には、遠方目視の対象となる換気用の通風孔や、シールドマシンの発着箇所である立坑、トンネル上部をドローンで確認し、必要に応じて足場などを使用して追加点検を行う。

地下空間ではGPS環境がないため、現在は操縦するタイプのドローンしか動かせない。東京メトロは画像認識技術やAI技術を活用した、操縦者を必要としないドローンを飛行させることをめざしているものの、まだその段階にはなっていないという。

  • カメラとライトで見えないところを見る

  • 報道公開が行われた訓練用トンネル

ドローンは回転翼などが対象物にぶつかると、ドローンそのものだけでなく、鉄道運行にかかわる設備まで損傷する可能性がある。今回使用されたドローンは球殻フレームで囲む形のドローンとなっており、暗所作業のためのライトが反射しないように、フレームの一部を黒く塗装している。

現在、ドローンは2台ある。2019年度は5名の社員がドローン操縦者として認定を受け、2020年度からドローンを順次増やす方針だ。2020年度から丸ノ内線へ導入を開始し、その後も順次、全路線のトンネル検査に取り入れていく計画となっている。

今回の報道公開は研修センター内の訓練用トンネルで行われた。天井に貼ってある画像をドローンに撮影させたり、開口部にドローンを近づけ、さらにはその中へと入り込んだりすることも可能である。これまでは高所作業車を使ったり、はしごを上ったりして見なければならなかった場所も、ドローンのカメラとライトによって映し出され、モニタで同時に見られるようにしている。これまで手間のかかっていた検査の作業も省力化できることになる。

  • 飛び立つ前のドローン

  • 空中に浮かぶ

  • 天井に貼っている画像を撮影する

  • 換気口に入って検査

  • 横からだとこのように見える

東京メトロの路線の85%はトンネルである。そのトンネルの安全性向上のために、このドローンが役立つことを期待したい。