17歳の美少女殺人事件、法廷に提出されなかった残虐すぎる「新証拠」

17歳のビアンカ・デヴィンスさんを殺害し、遺体の写真をDiscordに投稿したブランドン・クラーク被告(21歳)が第2級殺人罪で有罪を認めるとの知らせを聞いたとき、母親のキム・デヴィンス氏の心境はたった一言、「ほっとした」だった。「傍聴席に座って一部始終を聞かされるだけでも十分辛かった」と、彼女はローリングストーン誌に語った。「いざ裁判になって、傍聴席であれに耐えなくてはならないないなんて、想像できません」

デヴィンス氏のいう”あれ”とは、それまで警察が公表していなかった新たな証拠のこと。クラーク被告が車のダッシュボードから携帯電話で撮影した、ビアンカさん殺害の様子を収めた動画で、裁判になれば法廷に提出されることになっていた。デヴィンスさんやニューヨーク州ユーティカ警察署のブライアン・コロマト警部補の話によれば、動画にはビアンカさんの最期の瞬間の他、ビアンカさんが自分と真剣に付き合うつもりがないことに被告が腹を立てる様子が収められていた。検察側はこれをクラーク被告の動機のひとつと考えている。

クラーク被告は2月10日、第2級殺人罪で有罪を認めた。裁判が行われる数週間前の出来事だった。法廷での陳述で被告は、自分の罪を悔い改めた。

「取り返しのつかないことをしたのだと自覚するべきだと思いますし、そうしたいと思っています」と、クラーク被告は法廷で述べた。「きちんと向き合うべきだと思います。彼女をご存じだった方々、彼女を愛していた全ての方々に申し訳ないと思っています。この事件でご迷惑をおかけした人たち、彼女の恐ろしい姿を目にしてしまった人たちにもお詫びします。謝罪だけでは足りないことはわかっていますし、それで自分のしたことが帳消しになるわけではないこともわかっています。お詫びしてもしきれません」

有罪答弁の一環として、クラーク被告はビアンカさん殺害映像について法廷で認めた。コロマト警部補によれば、映像には被告の車の後部座席で眠っているビアンカさんの姿が映っていた。さっきのことについて話し合おう、と被告が彼女を起こす。ニューヨーク州クイーンズのNicole Dollangangerのコンサートで、彼女が他の男性とキスしているのを目撃した件だ。ビアンカさんは謝罪するが、あなたとは恋人同士じゃないでしょう、と被告に念を押す。「2人は付き合っているわけではないことが、これではっきりしました」と、コロマト警部補。デヴィンス氏もこれを認め、何度かビアンカさんとクラーク被告との関係について話したことがあるとローリングストーン誌に語った。「彼がもっと深い仲になりたがっていたのはビアンカも知っていましたが、娘のほうは友達としてしか見ていませんでした。彼のほうも、それを気にしている風には見えませんでした」とデヴィンス氏。「彼は本当に上手に本性を隠していたんですね」


クラーク被告は殺害当日のTo Doリストを作成していた

だがクラーク被告は、それじゃ答えになっていないと言って、彼女をぶった。ビアンカさんは、家まで送ってくれないなら車から降りて歩いて帰る、と言い放った。クラーク被告はこのタイミングで、彼女をナイフで襲った。トランクから取り出して、座席の脇に隠しておいたナイフだ。「全くの不意打ちだったと聞いています」とデヴィンス氏。本人は映像を見ていないが、内容については捜査段階で聞かされていた。「娘には、その後どうなるのか全く見当もついていなかったでしょう。反撃するひまも、身を守るひまもなく、予兆もなかったんですから」。それからクラーク被告はビアンカさんが息を引き取る瞬間の撮影に移り、そのあと遺体の写真を撮ってソーシャルメディアに投稿した。

ビアンカさんの死の直後、クラーク被告が動画もソーシャルメディアに投稿したという誤った噂が流れた(Instagramには、フォローと引き換えに動画を投稿すると約束するアカウントも登場した)。だがクラーク被告の出廷前、警察は動画の存在を公には認めていなかった。

「まさに究極的な支配的行為です」。 被害者サポート組織Safe Horizonで刑事司法プログラムのモーリン・カーティス副会長は、犯行を撮影して写真をソーシャルメディアにあげたクラーク被告の意図についてこう語った。「いわば、『自分が支配している、支配者は自分だということを見せてやる。お前を殺して、撮影して、自分がお前を支配しているさまを他の連中にも見せてやる』と言っているのです。殺すことで彼女だけでなく、彼女を愛していた人々も傷つけようとしているのです」

クラーク被告が以前からビアンカさん殺害を計画していたのか、それともコンサートの後怒りに駆られて殺したのか、いくらか疑問が持ち上がった。刑務所から犯罪動画ブロガーのアンティモネ・レイン氏に宛てた手紙の中で、被告は万が一を考慮して、あの時頭が真っ白になって詳しいことは覚えてないと仄めかし、理論上は一時的責任無能の抗弁の可能性を残したようだ。だがビアンカさん殺害映像の存在が明らかになったことで、こうした主張には疑いの目が向けられている。

審問の際、クラーク被告は殺害当日のTo Doリストを携帯電話に作成していたことを認めた。その中には、Instagramのプロフィールを変更して命日を記載すること、映画『ファイトクラブ』のセリフ「これがお前の人生、1秒ごとに終わりに向かっている」を投稿することが含まれていた。またインターネットの閲覧履歴には、頸動脈の見つけ方や頭部切断の仕方を検索した履歴が残っており、そのことについても質問された。

こうした証拠のすべてが、計画殺人を裏付けているとデヴィンス氏は考えている。「あの瞬間、ビアンカが何を言っても、何をやっても、事件を止めることはできなかったでしょう」と彼女は言う。「明らかに彼は、すべて頭の中で計画していたんです」

検索履歴からは、クラーク被告がビアンカさんに入れ込んでいた様子もうかがえた。2人が直接顔を合わせたのは数カ月前だったが、被告は頻繁に彼女の名前を検索し、ソーシャルメディアの投稿をチェックし、彼女の画像を保存した。デヴィンス氏はローリングストーン誌に、ビアンカさんが好きだったもののひとつ、ブランコのタトゥーを被告が入れた話を聞かせてくれた。被告は出会って1週間後にブランコのタトゥーを入れ、彼女の高校卒業パーティで披露したという。

クラーク被告が殺害前にビアンカさんに暴力をふるった証拠はないものの、こうした行動は他人を支配したいという執着心に良く見られる、とカーティス氏は言う。「殺人事件の場合、強制的な支配力の顕示など、刑事司法のレーダーには必ずしも引っかからない類の暴力的行為がしばしば伴います」と彼女は言う。「家族ですら、暴力的行為だとは思わないこともあります。執着や嫉妬とみなして受け流したり、愛情表現のひとつだととらえたりしがちです」


被告の母親は「息子は本当に悔い改めている」

クラーク被告の母親ミシェルのように、彼は本当に悔い改めていると考える者もいる。彼女はローリングストーン誌の取材に対し、息子が有罪答弁を行ったのは「殺害映像を目にする」トラウマをデヴィンス一家に味わわせないためだと語った。彼女はクラーク被告が心から反省しており、検察が思うような「支配的なモンスター」ではないと信じている。Googleの検索も、ビアンカさんの命を絶つのが目的ではなく、自分の命を絶つためだったと考えている。

だがコロマト警部補とビアンカさんの母親は、これに強く異議を唱えている。クラーク被告はただ単に、法廷で映像を公開されたくないだけだ、というのが2人の意見だ。映像があまりにも残虐なので、公開されれば減刑の可能性がなくなるからだ。「多かれ少なかれ、自己防衛だというのが私の個人的見解です」とコロマト警部補。「彼は自分の言い分を通そうとしています。そういう意味では(映像は)何の得にもなりませんからね」

「彼は文字通り、私の娘が息を引き取る瞬間を映像に収めました。このことからも、綿密に計画していたことがわかります」とデヴィンス氏も言う。「彼は映像の中でモンスターの本性を現した。それを人々に見られたくないんです」

有罪答弁を受け、クラーク被告には懲役25年から終身刑が求刑されている。最終的な量刑判決は4月に言い渡される予定だ。今回の恐ろしい事件では有罪答弁が「考え得る最善の結末」だと、コロマト警部補は考えている。ビアンカさんの遺族が「残忍でおぞましい」証拠に耐える必要がなくなったばかりでなく、捜査に協力してきた被告の家族にとっても、被告に不利な発言をする可能性から免れることになるからだ(被告はビアンカさんを殺してから自殺の模様をライブストリーミングするまでの間、祖母をはじめとする複数の家族に連絡していた)。

クラーク被告の幼少期は不安定の一言に尽きる。彼が10歳の時、父親は母親に刃物を向けて何時間も立てこもった後、収監された。それでも知人の話によれば、クラーク被告は人好きのする魅力的な人物だったという――このような行為を犯すようなタイプとはとうてい思えない。「彼は本当にいい子でした」と、ブランドンの母親も言う。「晴天の霹靂です。信じられない。日がな息子のことを考えています。彼の悪夢を見るようになりました」。彼女はローリングストーン誌にFacebookのメッセンジャーで9秒の動画を送った。動画には靴下と短パン、ニット帽をかぶったクラークが、弟のジェームズと一緒にノリのいいポップミュージックに合わせて踊っていた。「動画の中のこの子が、あんなことをするなんて考えられません」


遺族に残された道は「娘の死を意味あるものにすること」

キム・デヴィンス氏も、被告がこんな恐ろしいことをやってのけることになぜ気づかなかったのかと家族を責めるつもりはない。彼女自身も事件前に何度かブランドン・クラーク被告と顔を合わせ、礼儀正しく、言葉遣いもちゃんとしているという印象を受けていた。彼を信頼していたので、2人が遊びに行く時にビアンカの15歳の妹がついていくのも承諾した。「他の親御さんにアドバイスはありますか、とよく聞かれるんですが、何も言うことはありません。だって彼は用意周到で、まんまと本性を隠したんですから」と彼女は言う。「彼のご家族でさえ、茶目っ気のあるオタク好青年が、怪物に変わるなんて想像できなかったんですよ。家族でさえ危険を察知できなかったのに、どうして私たちにわかります? 今回のことで一番恐ろしいのは、そこです」

クラーク被告に対する公判手続きが事実上ほぼ幕を閉じた今、デヴィンス氏に残された道は娘の死を意味あるものにすること。アンソニー・ブリンディシ議員とともに、Instagramをはじめとするソーシャルメディアの監視強化を呼びかけている。ちなみにInstagramは、ビアンカさんの遺体画像の拡散を防止できなかったとして激しく非難された(これに対して今週Instagramは、今後は見知らぬ人物からのプライベートメッセージを自動的にブロックするオプション機能を設けるとブリンディシ議員に伝えた)。

ごく最近では10月、ビアンカさんの誕生日に、彼女の頭にPhotoshopでバースデーハットを乗せた画像が継父の元にDMで送られてきたという。「本来なら取り締まってしかるべきなのに」とデヴィンス氏。「大手企業は責任を負うべきです。プラットフォームの取り締まりを怠った結果の責任をとるべきです」

デヴィンス氏は地元ユーティカでBee Galaというイベントを主催する予定だ。イベントの収益は、ビアンカさんの名前をとった心理学専攻の学生向けの奨学金に充てられる。ビアンカさんは長いこと境界性パーソナリティ障害を患っており、精神疾患を抱える若者たちの役に立ちたいと、その年の秋からコミュニティカレッジに通うはずだった。

本人いわく、悲しみを建設的なことに向けるのが助けになっているという。だが1日1日がいまだ長く感じられ、娘を失った傷はなかなか癒えそうにもない。「今でも2回に1回は、何をしていいか分からなくなります」とデヴィンス氏。「シャットダウンしてしまう感じですね。そういう時は、とにかく1日やり過ごすことだけを考えるようにしています」

彼女は毎日携帯メールで霊媒師とやり取りし、ビアンカさんからのメッセージを届けてもらっている。本人いわく、これが慰めになっているそうだ。時々、ビアンカさんの最期の瞬間のことも考える。後部座席で最後の息を引き取る数分前、クラーク被告に家まで送ってと頼んだ瞬間を。なぜ娘はすぐ車を降りてその場を立ち去らなかったのだろう。なぜ自分に電話をかけなかったのだろう。だがたいていは、娘がどれほど家に帰りたがっていたか、ということに思いをはせる。

ビアンカさんが鬱病にもっとも苦しんでいた最悪の時期、デヴィンス氏はしばしば娘にあきらめないでと言ったそうだ――自分のために頑張れないなら、お母さんのために、家族のために頑張って、と。

「娘は決して私から離れないと約束しました。そしてずっとその約束を守ってくれました」とデヴィンス氏。「いまでもずっと、約束を守ってくれています」