「今年こそ家計簿をつけてお金を貯める!」と年のはじめに決意して、そろそろ2カ月が経過するころ。順調に続いていれば、家計管理の楽しさを少しずつ体験し、先取り貯蓄ができていれば、貯蓄が増えていく……そんな"楽しい"お金のやりくりを、あっという間に崩してしまうのが、予定外の「急な出費」ではないでしょうか。

今回は、家計管理の敵!「急な出費」の対処法について解説します。

家計が赤字になると家計簿が三日坊主になる

家計簿で管理すべき出費は、住居費(住宅ローンや家賃)、水道光熱費、スマホ代、保険料、習い事代……など、金額がほぼ毎月決まっている出費=「固定費」と、食費、日用品、レジャー費など月によって金額が異なる出費=「変動費」があります。

水道光熱費やスマホ代は、「固定費」といっても月によって若干の違いがあります。また、変動費は月によって金額が異なりますが、変動幅があまりに大きくては、家計管理は成り立ちません。

そこで重要になるのが「予算」です。若干の変動がある出費は、あらかじめ予算を決めることで家計管理を維持することができます。

予算は家計が赤字にならないように、多少、余裕をもった金額で設定します。すると、月によって使う金額が多かったり、少なかったりしても、予算の範囲内なら家計を赤字にしないで済みます。

家計簿をつけるうえで、重要なのが「赤字にしない」こと。「当たり前」だと思うかもしれませんが、実は、これが思っている以上に家計簿の成否を分けることになるのです。というのも、赤字になると家計簿をつけるモチベーションが著しく低下して、赤字となった月以降、家計簿をつけることをやめてしまうことが多いからです。

1000万円貯蓄を達成できた人たちというのは、家計管理に挫折しないために、「家計簿を赤字にしない」対策を必ずしています。そのひとつが、「急な出費」への備えです。

毎月の給料ではまかなえない"急な"出費が家計を崩す

急な出費の代表は、冠婚葬祭費、自動車税、自動車保険、家電の買い替え、誕生日などのイベント費といったものでしょう。これらの出費は毎月あるというわけではありませんが、1年間のうちには必ずあるものです。

家計簿は、月ごとに収支をしめるものなので、毎月の出費の管理には強いのですが、「毎月ではないけど年に何回かある」というイレギュラーな出費には弱いもの。しかも、このイレギュラーな出費は金額が大きい場合が多く、月々の給料から出すとその月がたちまち赤字になります。

前述したように、赤字は家計簿挫折の原因。家計簿を挫折させないためには、このイレギュラーな出費をなんとかしなくてなりません。

"急な"出費は、実は急ではなく「事前に予測」できる

"急な"出費と書いていますが、実際のところは急でもなんでもなく、事前に予測できます。バレンタインデーは2月、自動車保険の支払い時期は5月、クリスマスは12月と決まっているからです。急な出費とは、実際には毎月の出費とは異なる「特別費」のこと。

貯めている人は、特別費を年間で管理しています。昨年のことを思い出しながら、1月から12月までの特別費を書き出してみましょう。

たとえば、下記のようなイメージです。

1月 新年会、お年玉
2月 バレンタインデー、冬物バーゲン予算
3月 ホワイトデー
4月 特になし
5月 自動車税、GW予算、母の日
6月 父の日
7月 夏物バーゲン予算
8月 帰省費、夏休み予算
9月 特になし
10月 特になし
11月 特になし
12月 忘年会、クリスマス予算

特別費をどこから捻出するかを考える

月ごとの特別費のほかに、必要になる時期は不明でも、出費が予測される冠婚葬祭費と家電の買い替え費もリストアップします。

月ごとに小計して、月々の給料から出してもその月が赤字にならない金額なら、給料から出せばOK。家計簿のその月のページにメモしておきましょう。問題は、給料ではまかなえない出費です。これらを合計して、1年間で必要になる特別費を算出します。

次に年間の特別費を「毎月少しずつ貯める」か「ボーナスから出すか」を決めます。毎月貯める分とボーナスから出す分の併用も可。何よりも重要なのは出費にあらかじめ備えるということです。

まとめ

家計簿を継続させるには、急な出費への対策はとても重要です。この対策を、貯めている人は必ずやっています。「月ごと」と「年間」の特別費を算出して、事前に備えることが、家計管理を崩さないコツです。

村越克子

村越克子

フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。