昔は、電話もテレビもビデオもダイヤルで操作していましたね。さて、現在はタッチパネル操作どころか、深度カメラによるジェスチャー操作まで現実のものとなっておりますが、昭和世代の筆者はダイヤル操作が大好き。クリクリ回しているだけで、「5億年ボタン」(※)の試練も楽々クリアーする自信があります。

そんなダイヤルジャンキーが、今回レビューするのがクリエイティブ系アプリ向けソフトウェアコントローラー「TourBox」です!

※「5億年ボタン」は、ボタンを押すと100万円もらえる代わりに、何もない空間で5億年過ごすというもの。元ネタは菅原そうた氏の漫画作品

  • ソフトウェアコントローラー「TourBox」

画像・動画編集ソフトをダイヤル&ボタンで操作

「TourBox」は画像・動画編集ソフトなどで、ダイヤル操作やボタン操作を可能にするソフトウェアコントローラー。標準では「Photoshop」と「Lightroom」用プリセットが用意されており、すぐに使い始められますが、Windows用、Mac用に用意されている設定ソフト「TourBoxコンソール」を使えば、任意のアプリケーションごとのプリセットをユーザーが自由に作成できます。

  • パッケージには「TourBox」本体、USBケーブル、クイックスタートガイド、ユーザーマニュアルが同梱されています

ダイヤル、ボタンは基本的に上面に集中しており、「サイドボタン」がひとつだけ左側面に配置されています。詳しくは下記の写真をご覧いただきたいのですが、回転系はノブ、スクロール、ダイヤルの3個、ボタンは合計10個が用意されています。大きめのボタンが親指で押しやすい右側に配置されているので、基本的には左手で操作することを前提にしたコントローラーとして設計されたようです。

  • 上面には左上からスクロール、トップ、C1、C2、ツアー、ノブ、ダイヤル、上、下、左、右、トール、ショートが配置されています(画像クリックで各部名称入りの画像が出ます)

  • 左側面にはサイドボタンを用意。左手で操作する場合は小指で押すことになります

  • 右側のUSB Type-C端子はPCとの接続用。左側のUSB Type-A端子は日本向けモデルには存在しません。手元の拡張ポートとして活用できて便利なのですが……

プリセットですぐ使い始められる

管理・設定ソフト「TourBoxコンソール」はWindows用とMac用が用意されており、製品公式サイトからダウンロード可能です。設定時にアカウントなどを登録する必要はないので、インストールは数分で完了。その後「TourBox」をPCにつなげば、前述の通り「Photoshop」と「Lightroom」のプリセットが用意されているので、すぐに使い始められます。

  • 「TourBoxコンソール」初回起動時、主要機能を紹介するツアーが開始されます。日本語化されているのでご安心ください

  • 「Photoshop」と「Lightroom」のプリセットが用意されています。もちろんプリセットをもとにカスタマイズすることも可能です

  • 設定画面上のダイヤル、ボタンの項目をクリックしてから、ショートカットキーを含むキー操作を行なえば、そのコマンドが登録されます

  • ダイヤル、ボタンにどのキー操作が割り当てられているか、ツアーボタンを押せばいつでも「ガイド」画面で確認できます

  • ツアーボタンには、長押しと短押しに異なる機能を割り当てられます

  • ツアーボタン短押しに「プリセット切り替え」を登録しておけば、プッシュするごとにプリセットを順番に切り替えられます

フォトショの写真修正が超快適に!

さて肝心の操作感ですが、ボタン類はよいですね。適度な反発力があり、まるでゲームコントローラーのような気持ちいい感触です。スクロールはボタン操作が可能で、まるでソニーのジョグダイヤルを彷彿とさせるような使い勝手です。

ちょっと残念なのが中央の特等席に設置されているノブ。これの感触が軽すぎるんです。繊細な操作をしやすいように軽くしているのかもしれません。しかし、個人的には高級オーディオの無段階ダイヤルのようなヌメッとした抵抗がありつつも、軽く回る高級感がほしかったです。

一方、実際のアプリケーションの使い勝手ですが、この点については文句なし。私はPhotoshopでよく写真を修正しますが、スクロールで画像を拡大縮小しつつ、ノブでブラシを適切な大きさに調節して、修正作業するのが非常に快適でした。この操作にいったん慣れてしまったら、マウスだけのフォトレタッチは苦行になりそうです。

  • スクロールはプッシュ操作が可能。ソニーのジョグダイヤルが思い出されます

  • 実測重量は366.5g。おそらく重りなどを入れているのだと思われますが、操作していてテーブル面で動いてしまうことはありません

  • Photoshopで写真から小さなゴミを除去する作業をよく行なうのですが、画像を拡大縮小しながら、ブラシサイズを変更できるのが非常に快適。もうアプリのスライダーをマウスで動かすのはご勘弁です

  • Lightroomではスライダーにマウスカーソルを乗せれば、TourBoxのノブ、スクロール、ダイヤルで動かせます。スライダーのツマミをマウスで動かすより、繊細に操作できますよ

ブロック崩しゲームはダイヤルで動くか!?

さて最後にTourBoxでゲームをプレイできるか試してみました。筆者はブロック崩しゲーム「アルカノイド」直撃世代なので、どうしてもダイヤルで遊びたかったのです。現在PC用の「アルカノイド」はリリースされていないので、Steamで評価が高いブロック崩しゲーム「Strikey Sisters」をプレイしてみました。

……結果はアウト。カーソルキーで自キャラを操作するのでノブに割り当ててみましたが、一瞬キャラが微動するだけでそれ以上動きません。ダイヤルはカーソルと違い、押したままの状態にならないので当然ですね。がっくし。というわけで、左、右、トール、ショートに割り当てて、「Strikey Sisters」を遊びましたが、これならゲームパッドと変わりませんね。残念無念です……。

  • カーソルキー左右をノブに割り当ててみました

  • 自キャラはわずかに反応しますが、スムーズに移動させることは不可能です

  • というわけで、このようなスタイルでプレイすることに。非常用ゲームパッドとしては使えますね

マウス操作をアシストする絶好の相棒!

ゲームをプレイするのにはちょっと無理がありましたが、特にクリエイティブ系アプリとの相性は抜群。手探りで操作でき、ダイヤルでマウスより繊細に調整できる「TourBox」は、クリエイティブワークを大幅に効率化してくれるデバイスだと感じました。カメラマン、イラストレーター、デザイナー、動画エディター必携のアイテムと言えるでしょう。

なおMakuakeでの予約販売は終了していますが、4月にオープンプライス(市場想定価格19,600円前後)で出荷を開始する予定とのこと。本製品をほしい方は、製品公式サイトのニュースページをこまめにチェックしましょう!

  • 本体サイズは116×101×44mm。机の上に常備しておいても邪魔にならないコンパクトサイズがグッドです