JR西日本は21日、外部研究施設にて開発中の車いす段差解消機構の実証実験を報道関係者らに公開した。当日は車いす段差解消機構を作動させ、機構の動作やホームと模擬車両の段差などを確認した。

  • 社員が車いすに乗り、車いす段差解消機構を利用して模擬車両に乗車した

車いす段差解消機構は、車いす利用者のスムーズな乗降を実現するために、車両乗降時の駅ホームと車両間の段差・隙間の解消を可能とする機構となる。現在、JR西日本とJR西日本テクシア、小松製作所の3社による共同開発が進められている。

報道公開された車いす段差解消機構の試作品は3ユニットで構成され、寸法は横3,600mm×縦1,500mm。列車が駅ホームに入ると、センサによって先端の可動部が自動的に動き、駅ホームと車両間の段差・隙間を解消するしくみに。列車の扉を検知するセンサは駅もしくは車いす段差解消機構の本体に設置されるという。現状では各のりば(番線)に1~2台を設置することを想定している。

現在、車いす利用者が列車に乗降する際、車いす利用者自らJR西日本に介助を依頼する。乗車駅・降車駅の駅員は、駅ホームと列車の隙間を埋める「渡り板」を利用し、車いす利用者の乗降をサポートしている。しかし車いす利用者にとって、介助を依頼すること自体、ストレスに感じるという。一方、駅員も車いす利用者の介助に時間を取られてしまう。車いす段差解消機構が駅ホームに設置されることで、車いす利用者は駅員の介助を受けることなく、スムーズに乗降できるようになる。

  • 車いす段差解消機構と模擬車両

車いす段差解消機構の動作はいたってシンプルだ。先端の可動部が上に持ち上がり、そのまま模擬車両に向かってスライドする。一連の動作に要する時間は10秒ほどだが、最終的には5秒程度をめざすという。収納時は逆の手順となり、一般の駅ホームと変わらない平らなプレートとなる。実験では、実際に社員が車いすに乗り、車いす段差解消機構を利用し、ホームから模擬車両にスムーズに移動した。

課題としては、駆け込み乗車への対応や動作の安定性が挙がっている。乗降時以外に車いす段差解消機構に利用者が立ち入らないように、注意喚起することも大切だという。今後も研究所や実際の駅での実験を通じ、数年以内の導入をめざすとのことだ。

  • 上部から見た車いす段差解消機構の動作

  • 側面から見た車いす段差解消機構の動作