野球選手をはじめとするアスリートは、日頃から体を動かして鍛えているため、健康的なイメージをもたれがちです。ところが実際はかなりハードな練習を繰り返すことによって疲労がたまりやすくなり、ウイルスなどに抵抗するための体の免疫力が低下して、風邪をはじめとする感染症などにかかりやすいともいわれています。



感染症にかかってしまう要因として、この3条件がそろうと発症しやすいといわれています。

1)ウイルス・細菌などの病原体
2)感染経路
3)個体条件

たとえ病原体が感染経路を通して体内に侵入したとしても、体の免疫力(抵抗力)があれば、感染・発症を防ぐことが可能です。ところが練習量や練習強度と体力回復のバランスが崩れると、感染症にかかる3条件の1つである個体条件が悪くなり、体調を崩しやすくなります。

野球の練習を行うことは体に適度な負荷がかかります。練習やトレーニング後にしばらく筋肉痛が残ったり、疲労感が残ったりするのは体を回復させる過程で見られるものですが、この状態は病原菌に対する体の免疫力も低下しがちであると指摘されています。

こうした免疫力低下の状態からいち早く回復させるために必要なものは「休養」と「栄養」です。ところが睡眠不足の状態では体の疲労が抜けきらず、さらに必要な栄養素を含む食事を十分にとらないと体を回復させるための「材料」が不足し、練習をし、トレーニングをしたところで「ただ疲れてしまっただけ」ということにもなりかねません。

このような状態が長く続いてしまうと、やがては慢性的な疲労が原因であるオーバートレーニング症候群を発症し、競技を休まざるを得ない状況になってしまいます。ハードな練習をしたときこそ「アスリートは体調を崩しやすい」ということを念頭において、十分な休養と栄養をとるように心がけましょう。

参考・引用「スポーツセルフコンディショニング(日本文芸社)」

著者プロフィール
アスレティックトレーナー/西村典子(にしむらのりこ)
日本体育協会公認アスレティックトレーナー、NSCA-CSCS、 NSCA-CPT。東海大学スポーツ教育センター所属。高校、大学など学生スポーツを中心としたトレーナー活動を行う一方で、スポーツ傷害予防や応急処置、トレーニングやコンディショニングに関する教育啓蒙活動を行う。また一般を対象としたストレッチ講習会、トレーニング指導、小中学生を対象としたスポーツ教室でのウォームアップやクールダウンといったさまざまな年齢層への活動がある。一般雑誌、専門誌、ネットメディアなどでも取材・執筆活動中。大阪府富田林市出身。奈良女子大学文学部教育学科体育学専攻卒。