相談者は、結婚の予定はなく貯蓄が少ないため将来が不安という30歳の女性会社員。まずは保険見直しを考えているななさんのお悩みに、ファイナンシャル・プランナーの藤川太さんがアドバイスします。

◆収入が少なく貯蓄できないので、貯蓄性の保険を検討しています。
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回の相談者は、結婚の予定はなく貯蓄が少ないため将来が不安という30歳の女性会社員。

まずは保険見直しを考えているななさんのお悩みに、ファイナンシャル・プランナーの藤川太さんがアドバイスします。

◇相談者
ななさん(仮名)
女性/会社員/30歳
実家暮らし

◇家族構成
父(60代・パート)・母(60代・専業主婦)

◇相談内容
30歳独身、結婚予定なし。医療保険の見直し中で、資産運用はしていません。将来このままでいいのか悩んでいます。独身のままなら、いま手続きを進めている新しい保険で大丈夫でしょうか。

また、今は一般財形貯蓄しかやっていないため、資産運用を考えています(月5000円~1万円程度)。経済の知識がないため最近、雑誌やネットで勉強し始めました。

就業先に企業型確定拠出年金がありますが、元本保証型にすると受け取る年金額が少なくなるから、元本保障ではなく運用しなければもったいないと聞きました。運用に自信がないためためらっています。

確定拠出年金をする前に、勉強しながらつみたてNISAで練習してみようと思っているのですが、甘いでしょうか?

◇家計収支データ
相談者「なな」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)加入保険の詳細
●現在、加入中の保険
・医療共済(入院日額1万円・入院中の手術20万円)=毎月の保険料4200円←解約予定
・養老生命共済(死亡保障3000万円)=毎月の保険料7800円←解約予定
・予定利率変動型年金共済 =毎月の保険料1万円←解約しない予定

●次に入る予定の保険
・がん保険=年間保険料5万6000円
・医療保険=年間保険料5万2000円
※詳細は割愛。収入が少なく貯蓄が貯まりにくいため、掛け捨てよりいいかなと思ったため。いままでよりも保険料が月に2000~3000円ほど下がる予定。

(2)ボーナスの支出内容
夏冬各20万円。12万円を財形貯蓄の一般財形(基本的に手を付けていません)。3万円を洋服や必要な物の購入(ボーナス時期)、臨時用の貯金、ふるさと納税代にあてている。

今後は夏冬それぞれ5万円(トータル10万円)を、新しく入る予定の貯蓄型医療保険とがん保険代(年払いで11万円ほど)にする予定。

(3)今後のライフプラン
旅行は行けません。電化製品が壊れたら買う予定です。33歳までに結婚の話がなければ転職を考えるかもしれません。

◇FP藤川太の3つのアドバイス
アドバイス1:保険は見直すべきだが、商品は比較検討を
アドバイス2:結婚へのプレッシャーが強くなることへの覚悟が必要
アドバイス3:転職して収入をアップすることが将来の不安解消への近道

◆アドバイス1:保険は見直すべきだが、商品は比較検討を
現在の保険内容を見ると、独身のななさんに3000万円の死亡保障は不要ですし、商品名は「養老生命共済」ですが、定期保険にわずかな養老保険が付いているだけでほとんどは掛け捨てです。

医療共済は80歳までの定期タイプ。女性の場合は75%が80歳まで生きていますから、本当に必要なときは保険期間が終わっている可能性があります。さらに、この内容から見ると保険料も高いので見直しには賛成です。

ただ、検討中のものと決めるには再考の余地があるのではないでしょうか。

まず、収入が少なくお金が貯まりにくいから貯蓄型にするという考え方には疑問があります。保険にお金を貯めてもイザというときに使えません(契約者貸付はあるが利息がかかる)。ある程度まとまったお金が手元にあり、すぐ使える方が心強いのではないでしょうか。

保険内容だけを見ても掛け捨てならもっと割安な商品がありますし、貯蓄型保険はいったん加入すると見直しがしにくいというデメリットがあります。

また、見直しを考えている商品はいずれも同じ会社のものですが、その会社に知人がいて勧められているのではないでしょうか。見直すときは、必ず複数のものを比較検討すべきです。

方法としては、まずインターネットを活用しましょう。いまの時代、ある程度の商品はホームページで試算することが可能です。次は保険ショップ。掛け捨ての商品を排除せず、数軒をはしごしてください。

2軒目以降へ行くときは「他店ではこれを提案されたのですが」と資料を持参することも忘れずに。そうすれば違う切り口の提案をするはずですから、メリット・デメリットをしっかり説明してもらいましょう。

保険ショップは手数料ビジネスですから保険料が高い=手数料が高い商品を勧めるでしょうが、あくまで自分のライフプランに合った商品を選ぶことが重要です。

◆アドバイス2:結婚へのプレッシャーが強くなることへの覚悟を
現在の収入で貯蓄を増やすには、何といっても実家で暮らすことが最強です。ただし30歳を過ぎてくると、両親を筆頭に親類縁者からの結婚へのプレッシャーが強くなることが想像できますから、それに負けない覚悟が必要です。

そうなっても、もちろん勢いで自宅を飛び出してはいけません。将来への不安を感じマンションを買って自立しようとする女性が増える世代ですが、多額のローンを抱えるだけ。それで幸せになった人を私は見たことがありませんから、くれぐれも気をつけてください。

ただし資産運用については、せっかく勤務先に企業型確定拠出年金(DC)の制度があるのだったら、利用しない手はありません。企業型は個人型と違い、運営管理機関の選定や口座管理手数料も企業が負担してくれます。

加入者が決めるのは運用商品の種類や配分割合だけですから、まずは信託報酬が低いバランス型の投資信託で運用を始めてみましょう。値動きを見ているだけで、どういうことが起こると相場が動くのかといったことがわかってくるはずです。

勉強することが目的なら、企業型DCがあるのにつみたてNISAで追加拠出する必要はありません。手元のお金は、まずは貯蓄を増やすことに使いましょう。

◆ アドバイス3:転職して収入をアップすることが将来の不安解消への近道
「33歳までに結婚の話がなければ転職を考えるかもしれない」とのことですが、結婚とは関係なく最優先すべきは転職し、収入アップをすることではないでしょうか。

現在の収入では、どう頑張っても自立するのは難しいと言わざるを得ません。まずは一人で生活していけるだけの収入を得て、まとまった貯蓄ができれば、自分に自信ができて状況が打開できるように思います。

基本的に転職は若い方が有利ですし、不景気のときの転職ほど厳しいものはありません。現在のように人手不足の時期なら、いまよりいい条件で自分を高く売ることもできるかもしれません。

一人暮らしができる資産や収入があるのに実家にいるのと、一人では生活ができないから実家にいるのでは大きな違いがあります。結婚も誰かに頼ろうと考えてするのと、自立した人間同士がパートナーとして人生を共にするのでは、相手の選び方そのものも変わってくるのではないでしょうか。

30歳という歳は、そんなにノンビリしていられる年齢ではありません。いま一番必要なことは、経済的に親から自立し一人で生きていける状況を作ることだと思います。

◆相談者「なな」さんから寄せられた感想
企業型確定拠出年金を始めることと、経済的に自立できるようにすることを目標に、色々進めていこうと思います。とても丁寧にアドバイスをくださり、ありがとうございました。

教えてくれたのは……藤川太さん

All About「資産運用」ガイド。「家計の見直し相談センター」で10年以上にわたり1万5000世帯を超える家計の見直しを行ってきたFP。「普通の人」でもお金を貯める・増やせるようになる方法をアドバイスしています。

取材・文:鈴木弥生

文=あるじゃん 編集部