あなたには気になっている人がいて、告白しようか迷っています。そんなとき、告白が成功しそうかをどうか教えてくれる、そんなAIが開発されていることを知り、AIを使ってみました。

すると、告白の成功率が低いという結果が出てしまいました。

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この結果を受けて、気になっているあの人に告白することをあきらめますか? それとも......。


こんにちは! 高校時代は某ニュース番組の占いを欠かさずチェックしていた科学コミュニケーター、漆畑文哉です。

唐突に架空のお話から始まってドキっとさせてしまったかもしれませんね。いま、未来館では冒頭のような「恋愛」の話のほかに、「職業選択」「選挙」「結婚」「子育て」「医療」「防災」「介護」「死後」から気になる未来を選んでいただき、あなたの気持ちや考えを尋ねるアンケート「ハロー!AI社会 ~人工知能で何したい?」を行っています

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WEBからも参加可能な企画です。ぜひ下記のURLよりご参加してみてください。最後まで答えていただくこと、あなたの回答からAIの向き合い方のタイプをお知らせします。AIをとことん使い倒すタイプなのか、それとも別のタイプなのか、何が出てくるかはお楽しみです!

https://miraikan-opinionbank.svy.ooo/ng/answers/74c242cea5b7edbba3baab4fa765ec/

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なぜ冒頭のような質問をするのか、気になった方もいると思います。今回はその背景をご紹介します。

◆その意思は誰のもの?

冒頭のシチュエーションについて、改めて問います。あなたなら、どうしますか?

もしかすると、「告白の成功率がわかるAIなんて最初から使わなければいいのでは?」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かにその通りです。ただ、【使わないという選択が自分の意思で本当にできるかどうか】は実際そのような状況になってみないと分かりません

たとえば、テレビや雑誌の星座占いが気になってつい見てしまったという経験はありませんか? もし恋愛に関心が高い年頃であれば、恋愛運を見て一喜一憂してみたり、ラッキーアイテムを持ち歩いてみたりすることもあるでしょう。どの程度信頼できる情報かどうかはともかく、誰かの感情や行動を変化させるだけの影響力が占いにはそれなりにあります。

もしこれがAIに置き換わったらどうでしょう。見るのをやめるでしょうか。または、「よく当たる占い」と信じていたものが実はAIの予測結果だったということは起こらないのでしょうか。 AIの結果を見た後に取った行動は、はたしてどこまで自分の意思で決めたと言えるのでしょうか。

これは恋愛に限った話ではありません。結婚に就職、子育て、病気......。自分の意思で何かを決めるのが簡単ではないとき、誰かに相談したりネットで調べたりするのは珍しいことではありません。そこにAIが存在したら、何が起こるのでしょうか。

◆もしAIが身近にあることを気づかなかったら......

すでにAIはいろいろな場所で使われていますが、はっきりとAIだと銘打っているものもあれば、よく分からないものもあります。自分がAIを使っているという自覚がないままに使っている方も多いと思います。

なぜそのようなことが起こるかというと、AIの使い方に関する取り決めやルールがまだはっきりと決まっていないことが理由の一つとして挙げられます。

もしAIが身近にあることを私たち自身が気づかなかったら、どんなことが起こるでしょうか?

使いたい機能が近くにあるのに利用できないのはもったいないことですが、それ以上に、本当は使いたくないのに知らぬ間にAIを使っていた(使われていた)......という場合は大問題に発展してしまうかもしれません。

そのような事態を防ぐためには、AIをどのように作ったり使ったりするかを決めた、なんらかの取り決めやルールがあらかじめ必要です。かといって、最初からあまりに厳密なルールを設けて制限してしまうと、社会課題を解決するチャンスやもっと私たちが幸せになる機会まで失ってしまうかもしれません。

世界では今、AIに関する取り決めの枠組みを作る動きが広がっています。日本国内を例に挙げると、AI研究者が集まる人工知能学会では「人工知能学会倫理指針」を作成し、日本政府は「人間中心のAI社会原則」をつくりました。一般企業でも自主的にAI倫理ガイドラインをつくる企業も現れています。

ただしこれらはあくまで枠組みです。個別の場面でその枠組みを具体的にどのように守っていったらよいかという議論は、まだ始まったばかりです。また、それぞれの指針やガイドラインの間でのつじつまはあっているのか、あるいはそれを破った場合はどうなるのか、といったことは、これからの課題です。

◆一緒につくりませんか? 誰もがAIで幸福を実現できる社会

今回実施するアンケートは、AIとより良い未来をつなぐための取り決めを具体化するためのきっかけになります。これを実現するためには、研究者や開発者の意見だけでは足りません。いつか本当にAIを使うか使わないかを選ぶ日が来るかもしれない、あなたの感覚や率直な気持ちこそ必要です。

選んだ場面によっては、AIを「すごく欲しい!」と思うこともあれば、「これは嫌だ」と感じることもあるかもしれません。このアンケートはそのどちらの意見も大切にし、AIの開発や利用をしている方にお伝えしたいと考えています。アンケートで得られた皆さんの声は、ご協力いただいているAI研究者と"見える化"し、未来館WEBサイトをはじめ、さまざまな形で社会に発信、発表していく予定です

アンケートは2020年2月24日(月)の17時までの受付を予定しています。ぜひ率直な声をぜひお聞かせください。
https://miraikan-opinionbank.svy.ooo/ng/answers/74c242cea5b7edbba3baab4fa765ec/

あなたの声をお待ちしております。


【Miraikanフォーカスについて】

このアンケートは科学と社会にまつわる未来館注目のテーマ「Miraikanフォーカス」の関連企画として実施します。今年度は、人工知能とこれからの社会をテーマに、「ハロー!AI社会 人工知能ってナンなんだ? そういう私ってナンなんだ?」というタイトルのもと、各種イベントや展示を実施しています。

https://www.miraikan.jst.go.jp/aboutus/focus/



Author
執筆: 漆畑 文哉(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
「どうしたら科学(理科)をもっと深く理解し、未来をもっとよくできるだろうか?」というテーマをいつも考えています。 大学院修了後、その問題を小・中・高等学校の理科教員として実践してきました。 科学技術と社会のあり方について多くの方と対話を通じて深く理解し、より良い未来を一緒に考えていきたいと思い、2017年より未来館へ。