会社から支給される給与の大小を示す『年収』と『税込み年収』『総支給額』『額面年収』は同じ意味であることや、『年収』と『所得』『手取り』の違い、『月収』と『月給』の違いについて正しく理解しているでしょうか?

◆年収とは? 税込み年収、額面年収、総支給額と同じ意味
サラリーマンにとっての「年収」とは、所得税や住民税などの税金や、健康保険料、厚生年金保険料等の公的保険料が引かれる前の、年間の『総支給額』のことを指します。簡単に言うと、会社が皆さんに年間に払うお金すべてのことです。

また単に『年収』ではなく『税込年収』や『額面年収』と呼ぶこともあり、同じ意味の言葉と考えてさしつかえありません。ちなみに『年収』を12カ月で割ったものを『月収』と呼びます。

『年収』=『(年間)総支給額』=『税込み年収』=『額面年収』
『年収』÷12=『月収』

◆月収と月給の違いとは? 月給は月額固定の諸手当を加えた額
よく同じ意味合いで使われている『月収』と『月給』ですが、実は大きくちがいます。『月収』は先ほど説明したように『年収』を12カ月で割ったものですので、ボーナスがある場合は当然それを含めた額の12分の1のことを指します。

一方で『月給』とは、毎月決まって払われる金額のことであり、基本給に月額固定の諸手当を加えた額のことを指します。

ポイントは、手当が『月額固定』のものに限られていることで、『役職手当』『家族手当』『住宅手当』などがそれにあたります。

一方で変動する手当、例えば『残業手当』や『出張手当』といった毎月支給額が固定ではないものや、『インセンティブ』や『祝い金』など特定の場合に支給されるものは含まれません。

また『ボーナス』も本来会社に支払い義務があるわけではなく、固定で支払われる属性のものではないので、これも『月給』には含まれません。
月給と月収の違い

◆手取りとは? 税金や保険料などが引かれた後、銀行口座に振り込まれる金額
『手取り』とは、実際に手元に入ってくる金額のことです。具体的には先ほどの『年収』『月収』から税金や保険料などが引かれた後、銀行口座に振り込まれる金額のことで、実際に皆さんが使えるお金ともいえます。

なお会社によっては旅行積立金や親睦会費、組合費などが引かれた金額になっていることがあります。

◆所得とは何か? 年収との違いについて
『所得』とは、『収入』から必要経費を引いた金額のことを指します。年間として言いかえると、『年収』から1年間にかかった必要経費を引いた金額が『年間所得』です。

『年収』-『必要経費』=『(年間)所得』

なお、サラリーマンの場合は『経費』という考え方がそもそもありません。

しかしながら、ビジネススーツやビジネスカバン、ビジネスシューズ、業務に必要なその他もろもろのアイテムは、会社に勤めていないと個人の用途として買うことはないかと思います。

そのため、それらの購入にかかるお金を経費として考える意味で、サラリーマンには『給与所得控除』が認められており、その額は『年収』によって決まっています。

『年収』−『給与所得控除額』=『(年間)所得』(サラリーマンの場合)
給与所得控除 出典 国税HP

公的な支給を受ける際の基準要件に『所得』や『年収』と示されていることも多いので、この言葉の違いはしっかり覚えておきましょう。

◆年収別の手取り額について
サラリーマンが一番気になるのは『年収』と、実際の『手取り』との関係ではないでしょうか。

以下に30歳のサラリーマン(独身、福岡の一般企業勤務、協会けんぽ加入)の年収別の手取り額を表にしてみましたので参考にしてください。
*福岡の協会けんぽに加入する一般企業勤務として計算 *前年も同年収として住民税計算、所得税は源泉徴収税率表での暫定算出額使用*

今回のモデルケースは独身の場合で計算しております。なおボーナスが年間に2カ月分と4カ月分支給される場合も計算しております。

ボーナスは月額に月数をかければ年間の手取り額目安となりますが、ボーナスからは住民税が引かれないため、実際の手取り額はそれよりも多いと考えてよいでしょう。

また扶養家族がいる場合や生命保険等に加入している場合、その他控除がある場合は、控除額の増加にともなって手取り額はこの表よりも増えると考えてください。

◆『所得』と『収入』など、言葉の定義はしっかり覚えておこう
これまで何気なく使われている様々な言葉を解説してきましたが、特に『所得』と『収入』を混同しておられる方が多いこと、時にはメディアでもその違いを理解していない記事やタレントさんの発言を見ることがあります。

サラリーマンで給与収入しかない場合であれば『年収の多さ』=『所得の多さ』の構図はほぼ成り立ちますが、例えば自営業の場合では『年収』1000万円などと言えば聞こえはいいですが、実際は経費が同額かかっており『所得』がゼロの場合もあるわけです。

また、株式取引や信用取引を行っておられる方などで『譲渡収入』(株を売却した額)は何千万だが株を購入した時よりも低い額での売却だったため、『譲渡所得』はマイナスなんて話もよく聞きます。

前述したように『収入』『所得』が公的支給の判断基準とされる場合も多いため、それぞれの言葉の違いは区別して覚えておきましょう。

監修・文:井出やすひろ(CFP・1級FP技能士・MR)

文=All About 編集部