みなさん チョコレート はお好きですか?
バレンタインシーズンが近づき、街中でもたくさんチョコレートを見かけるようになりましたね!
私はチョコレートが大好きなので、このシーズンはいつもワクワクしています (食べる方)。

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ところで、みなさんはものを食べるとき、なにか 音楽 を聞きますか?
例えば、チョコレートには一体どんな音があうのでしょう?

今回はそんな「食べもの」と「」のお話をします。

日本科学未来館では、2019年7月3日~7日まで「チョコレート」をつかった実証実験を行っていました。

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5日間で、計838名の方にお越しいただきました!

実験では、ヘッドフォンで2種類の音楽を聞きながらチョコレートを食べてもらい、感じた味(甘さ、苦さ、酸味の程度や、舌触り、音楽の好き嫌いなど)を答えてもらいました。

実験の目的は、耳で聞いている音楽などの音刺激によって、チョコレートの味が変わるかどうかを調べる こと。つまり、「音」が味や食感などのおいしさに与える影響を明らかにすることでした。
しかし、おいしさや味の感じ方は、ふだんの食べものなどにも影響されそうですよね?
そこで、ベルギーや韓国での実験と比較することで、文化による差がでるかも調べていました。

イベントの詳細は... https://blog.miraikan.jst.go.jp/event/20190730post-868.html(お家でも試せる実験なので、ぜひチョコレートを用意してやってみてください!)

そしてここからが本題!
実は、そのイベントのなかでこんなことをみなさんに尋ねてみました。

「あなたはふだん どんなお菓子 を食べていますか?」
「そのお菓子には どんな曲・音 が合いそうですか?」

ブログの冒頭で、みなさんはたべものを食べるとき、なにか音楽を聞きますか?と尋ねまし たが、実際にはなかなかふだんどんな音が食べ物に合うかなんて考えないですよね...??
イベントが始まる前は、意見が集まるか心配でした。
が...!なんとイベントが終わったころには 114枚 もの意見が集まりました!

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ボードの様子(書いてくれたみなさん、ありがとうございます!)

ところでこの質問、今回の実験の主導者で、味と音の多感覚知覚について研究している フェリペ・レイノーソ・カルバリョ氏 (コロンビア ロス・アンデス大学助教) が気になっていることでもあったのです!
そこで、フェリペ氏にこの意見をお届けし、コメントをいただきました。


それでは、みなさんが書いてくれたおもしろい意見の一部を、フェリペ氏のコメントを交えながらご紹介しちゃいます...!

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かき氷のシロップは実は同じ味で、色によって味が変わって感じる...というのは有名なクロスモーダル現象の一例ですが、実は音にも影響されているのかも...?

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ここまでの意見は、夏といえば...、お祭りといえば...、といったところでしょうか。
フェリペ氏には興味深い意見もあった ようです。
季節」によって食べるものがちがう日本ならではの意見といえそうですね。

こんな意見もありました。

水ようかん × 春の小川/ぶんぶんはちがとぶ/雪やこんこん/さくら

これを書いてくれた方から、同じ水ようかんでも、聞く音によって四季折々のいろんな味に感じるのでは?というコメントをいただきました。
まさに今回の実験の意図と似たような発想ですね!試してみたくなりました。

他に、日本ならではのこんな意見もありました。

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マッチャアイス × お経 上生菓子 × 春の海(琴の音色)


では、こんなのはどうでしょう...?

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原っぱで食べるサンドイッチや、海辺でのバーベキューがおいしく感じるように、そのお菓子を食べる「環境」にも私たちは影響されているのかもしれませんね。

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せんべい × らくご せんべい × ニュース番組 豆大福 × サザエさん ホットケーキ × エアコン

その人がふだんどんな環境でそのお菓子を食べているのか、目に浮かびそうです...
なぜ、この音をチョイスしたのか、尋ねてみたくなりますね!

次はこちら!

こんにゃくゼリー × ポニョのうた

なぜだか、確かに...!と思ってしまう、会場でも注目を集めていたアイデアです。
食感や歯ごたえ、舌触りに合った音をチョイスしたくなるのかもしれません。
他にも、「食感」に関係した意見が多くありました。

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ラムネ × あぶらのパチパチ音 かきぴー × アップテンポな曲 アイス(ソーダ) × カシャ


他にも、ここには紹介しきれないユニークな意見がたくさんあつまりました!
みなさんが気になる意見はありましたか??
ぜひ、自分のお気に入りのお菓子と合う音楽を見つけてみてくださいね。

ちなみに私は、苦めのチョコレートが好きなので、

カカオ72%チョコレート × 暗くてじめじめした曲

というアイデアを試してみようかなと思います!


「ふだん、味と音の関係なんて考えたことなかったよ...」
というみなさんも、改めて考えてみると、意外と関係があるのかも...?と思えてきちゃいますよね。
実験に参加してくれた方からも、
確かに、夏らしいたべものは夏っぽい音とよく合うよね! とか、
レストランで流れている音楽とか結構重要かも! とか、
改めて「味」と「音」の関係って意外と深いのかもしれない...なんて思ってくれたようです。

実際に、味と音の関係を調べたこんな研究もあったりします。

「ポテトチップス × パリパリ音」

ポテトチップスを噛むときに、より高い音をきいていると、パリパリに、そして新鮮に感じる!という研究です。2008年にイグノーベル賞(栄養学賞)も受賞しています。

今回集まった意見のなかにも、こんなアイデアがありました!

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今回のチョコレートを使った実証実験の趣旨ともよく合っていて、フェリペ氏にもお褒めの言葉をいただきました。ポテトチップス研究の日本バージョンになりそうですね。
みなさんはどっちの音を聞きながら食べたいですか?

調べてみたら、すてきな研究になるかもしれませんね...!

他にも「味」と「音」に注目した研究はたくさん行われているようです。
また、味覚や聴覚だけでなく、嗅覚・視覚・触覚を合わせた五感が互いに影響しあう効果(クロスモーダル効果)についても研究が進んでいます
そんな知覚の相互作用についての研究が進むと、例えば塩分控えめな病院食を美味しく食べられたり、食べすぎを防ぎつつ満腹感を得られたりと、今よりチョコっと幸せな未来をつくる助けになるかもしれませんね。

詳しくはこちらの科学コミュニケーターブログも読んでみてください ↓
https://blog.miraikan.jst.go.jp/topics/20190806post-869.html


バレンタインデーを機に、みなさんも「味」と「音」、さらに五感とのつながりを探ってみると、新しい発見があるかもしれませんね!


参考文献:
1. M. Zampini, C. Spence. The Role of Auditory Cues in Modulating the Perceived Crispness and Staleness of Potato Chips. Journal of Sensory Studies, 19, 347-363. 2004.



Author
執筆: 竹腰 麻由(日本科学未来館 科学コミュニケーター)
星をみながら宇宙にあこがれていた幼いころ。いろいろなことに興味がありすぎて将来の道が決まらなかったが、高校の先生との出会いをきっかけに理系の道を選ぶ。大学ではフラスコの中の世界を追いかけることに。大学・企業で研究をする中で、世の中に科学のわくわく感や研究者の努力が理解してもらえないことに気が付き、もやもや。科学や研究者と世の中をつなぐ人が必要なはずだ!と思い、現在の道にたどりつく。