私たちを時間通りに、そして安全に、目的地まで送ってくれる電車運転士。身近な職業ではありますが、私たちの見えないところでどのような仕事をしているのでしょうか。「近畿日本鉄道株式会社」高安列車区に所属する岡本諭さんに、電車運転士の仕事内容やその魅力についてお話を伺いました。

■電車運転士は子どものヒーローにもなれる仕事

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
 
現在、近鉄大阪線を担当する職場に所属し、電車の運転をしています。日によって異なりますが、出勤時間はお昼頃。夜まで乗務します。夜中は仮眠をとって、翌朝から昼頃まで再度乗務し、1日の業務は終了です。

<一日のスケジュール>
11:00 出勤・点呼 (出勤時間は日によって異なる)
   指示事項や連絡事項を確認
   1日一緒に乗務する車掌とともに点呼を受ける
11:30 昼食
12:00 乗務開始
18:00 夕食
19:00 乗務開始
22:00 乗務終了
   宿泊所で入浴・仮眠
4:30 起床・点呼
5:00 出庫点呼・準備の後乗務開始
7:00 朝食
7:30 乗務再開
11:00 終了報告をして退勤

 
Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
 
制服を着ることができたり、電車を運転することができたり、魅力はたくさんありますが、一番の魅力は子どものヒーローになれることかもしれません。ホームで手を振ってくれる子がいれば、停車中に振り返すこともあります。そうするととても喜んでくれるので、自分もうれしくなりますし、より一層「頑張らないといけないな」と気合いが入ります。また、ラッシュの時間帯に大勢のお客様にご乗車いただく時は緊張感と同時に、責任とやりがいを感じます。
 
 
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
 
泊まり勤務なので睡眠時間が多少短くなってしまうことです。
しっかりと運転できるように、休憩時間には目を閉じて体を休ませ、休みの日にはしっかりと休養をとるように心がけています。

■「人の役に立ちたい」その思いから電車運転士に

Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
 
子どもの頃から電車が大好きだったんです。大学時代に通学で近鉄電車を利用するようになり、車掌さんが車内を歩いて乗客に声掛けしている姿を見て、「かっこいい」と思い、近鉄に興味を持ちました。
私が就職活動をしていた当時は鶴橋から名古屋までノンストップで走っていたことにも魅力を感じ、大阪と名古屋を結ぶ特急の運転士になりたいと思いました。

この仕事に就くまでに特別な勉強はしていません。学校の授業をしっかりと聞いて、部活動にも力を入れて学生時代を過ごしました。業務知識は、会社に入ってから教習によってしっかりと学ぶことができます。

Q5. 大学では何を学びましたか?
 
大学では、現在の仕事に直接はつながりませんが、体育の教員免許取得のための勉強をしていました。その頃は、自分が電車運転士になるとは考えてもみませんでしたね。
電車の運転士の免許を取得するためには、計算問題が必須となります。そのため、中学や高校で学ぶ数学をきちんと理解し、身につけておくと後々役に立つと思います。
 
 
Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
 
高校生の頃は、部活動でケガをしたときにトレーナーさんにお世話になったことがきっかけで、体育の先生かスポーツトレーナーになりたいと考えていました。
電車の運転士とスポーツトレーナーとでは、何の関係もないように思えますが、お客様の役に立てる鉄道の仕事、選手の役に立てるスポーツトレーナーというように、どちらも人の役に立てる仕事です。ずっと抱いてきた「人の役に立ちたい」という志が今の仕事につながっているのではないかと思います。

■人々を安全から守るには、集中力と体調管理が大切

Q7. どういう人がその仕事に向いていると思いますか?
 
自分自身をしっかりとコントロールできる人が向いていると思います。
運転士は、電車を運転するのが仕事ですがコントロールするのは自分です。また、お客様にご乗車いただいている分、集中力がとても大切になります。自分をコントロールし、乗務中はしっかりと集中し、休日には休養するといったメリハリをつけられることが求められるかと思います。

 
Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
 
電車の運転は、決められたルールを守ることが何より大切です。どんな些細なことでも、このルールを守らなければ事故につながってしまう恐れがあります。
今のうちに学校や社会のルールを理解し、しっかりと守れるように心がけておくこと、規則に従う生活に慣れてくことが、後の自分のために役立ちます。


電車運転士は、お客様を安全に目的地へお連れするため、集中力が求められる大変な仕事ではありますが、同時に「人の役に立てる」ということが実感できる仕事でもあります。子どもの頃から電車運転士に憧れていた方は、夢に近づくためにも岡本さんのお話を参考にしてみてくださいね。
 
 
【profile】近畿日本鉄道株式会社/高安列車区 岡本諭
 https://www.kintetsu.co.jp/