実在する“純喫茶”を舞台に繰り広げる、ドラマ形式のグルメガイド番組『純喫茶に恋をして』(CS・フジテレビTWO 2月8日スタート、毎週土曜10:30~ ※全8話)。主演する俳優の戸塚純貴は、自身も純喫茶が大好きだといい、今作のオファーに喜びと、その魅力を伝えることの使命感を語る。

平成生まれの27歳だが、昭和の匂いを感じるこの空間に、なぜ取り憑かれたのか――。

  • 東京・平井の純喫茶「ワンモア」で撮影を行った戸塚純貴

    東京・平井の純喫茶「ワンモア」で撮影を行った戸塚純貴

■純喫茶は“書斎”

「台本を覚えるのも純喫茶でよくやっているので、純喫茶のことを勝手に“書斎”って呼んでるんです」という戸塚。それだけに、今回のオファーは「シンプルにうれしかったし、好きだからこそ純喫茶の魅力をちゃんとご紹介して、見てくれた人が行きたくなるようになってくれたらいいなという思いを持ちました」と意気込む。

純喫茶にハマったきっかけを聞くと、「(上京して)事務所に入って、社長とどういうところに部屋を借りたいかという話をしたんですけど、『売れない芸人さんとか、謎のキャバクラ嬢とかがいるようなアパートかいいです』って言ったんです。ドラマがたくさんありそうで、そういうところに住みたいなと思ったんですけど、(そのイメージに)非常に近いところに住んだんです。その近くにあったのが純喫茶だったんですよ」と回想。

それは、歓楽街の近くにある店舗だそうで、「大人のお店の面接をやってたり、昼間から酔っ払っているおじさんとか、歯のない人とかがいて、『何の仕事してるんだろう…』と思う人たちの中で、1人で台本とかを読んでたりするのが落ち着いたんですよね」と、なじみの店になった。

■実家のスナックに近い環境

純喫茶のメリットは「タバコが吸えるというところ」に加え、「人の話を盗み聞きするのが好きなんです」と説明。「謎のマダムの集いとかがあるんですよ。たぶん、近くの公民館とか市民会館でやっていたお芝居を見て、その帰りだと思うんですけど、全然知らない劇団の名前が出てきて『すごい良かったわね!』とか言ってるんです。そういうのを見てると落ち着くんですよ」と、人間観察をしているようだ。

そんな環境では集中できそうにないが、「逆に、自分の部屋では台本を覚えられないタイプで、雑踏のほうが集中できるところがありますね」とのこと。さらに、「実家がスナックをやっていて、年上の方と接する機会が多かったので、その環境に近いところもあって楽なんですよね」と、育った環境との共通点もあった。

年上の人の話を聞くのは「自分の知らないことばかりだからすごく新鮮ですし、お世話になってる役者さんの先輩も年の離れた人が多いです」というが、「マネージャーさんに『おじさん化してきて、フレッシュさがどんどんなくなっていくの、ちょっと早くない?』『おじさんとばっかりいるからだよ』って言われました(笑)」と苦笑いした。

■“やりすぎた”表情に注目

『純喫茶に恋をして』は、『孤独のグルメ』(テレビ東京)のスタッフが制作していることもあり、戸塚演じる売れない漫画家・純平は、心の声が多い役柄。その分、表情の演技の比重が大きくなるが、「あんまりやりすぎると変になっちゃうと思ったんですけど、監督と話して、やりすぎたほうが面白いってなったんです。1話を見ると探り探りですが、2~3話から弾けてると思います」と予告する。

ロケで訪れた店を振り返り、「ワンモア(平井)のミルクセーキはちょっと衝撃でした。ミルクセーキって自販機でしか飲んだことなかったんですけど、ミルクより卵感があって全然違ったんです。それから、カド(向島)のくるみパンも美味しかったです。壁一面と天井に女性の油絵があって、異空間の感じで店のインパクトもナンバーワンでした。そこのホットオレンジも美味しかったです」と次々に列挙。

「純喫茶に共通してるのは、マスターにお話が好きな方が多くて、すごく接しやすいんです。(ロケのために)朝早くから深夜までお店を空けてくれて、そういう温かさも、チェーン店ではなかなかできないですよね」と、あらためて魅力を実感したようだ。

自身が普段行く純喫茶のマスターもよくしゃべる人だそうで、「たぶん、僕がこういう仕事をしているのを知ってると思うんですけど、全く触れられたこともないし、友達を連れてくると覚えてくださって、先にその友達が着いてたら『いるよ』って教えてくれるので、家みたいな感じですね」と笑顔を見せていた。

  • 2月8日の初回は神保町「さぼうる」(写真)を紹介。その後は、阿佐ヶ谷「gion」、上野「丘」、五反田「トゥジュール デビュテ」、向島「カド」、秋葉原「フルーフ デゥ セゾン」、本郷「金魚坂」、平井「ワンモア」が登場する。
    (C)フジテレビ

●戸塚純貴
1992年生まれ、岩手県出身。10年に「第23回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で「理想の恋人賞」を受賞。11年、ドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』で俳優デビューし、『仮面ライダーウィザード』『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』『ドクターX~外科医・大門未知子~』などのドラマ、『仮面ライダーシリーズ』『風切羽~かざきりば~』『ケアニン~あなたでよかった~』などの映画に出演。2020年は『純喫茶に恋をして』のほか、ドラマ『死にたい夜にかぎって』、映画『ケアニン~こころに咲く花~』に出演が決まっている。