出光興産(出光昭和シェル)は2月7日、日本電気(NEC)と国内28拠点の共同油槽所含む油槽所でAI(人工知能)による出荷予測に基づく石油製品の在庫管理業務を開始したと発表した。出光興産は2020年中に、国内の自社油槽所36拠点と共同油槽所10拠点の計46拠点でAIによる出荷予測を展開していく予定だ。

  • 出荷予測のフロー

同業務で用いる出荷予測システムでは、NECのAI技術群「NEC the WISE」の1つである「異種混合学習技術」がマーケットや気象の状況などに応じた最適な出荷数量を予測し、各油槽所の在庫情報を可視化することで、油槽所在庫の適正化・業務効率化を図るというもの。

なお、出荷予測を行うNECのAIは、結果に至る理由が説明可能なホワイトボックス型といい、データ学習と人の知見や経験とを効果的に組み合わせることで予測精度をさらに高められるとしている。

  • 出光興産 貞山塩釜油槽所

2018年に青森、八戸、塩釜、福井の各油槽所から地域のサービスステーション及び需要家への出荷について、NECのAIで出荷実績、原油価格、気象(気温や降水量)などの情報を基に各油種の出荷予測の実証実験を行った結果、レギュラーガソリンの出荷実績と2週間予測の誤差は5%程度に収めることができたとしている。

この実証実験の結果を踏まえ、出光興産はNECのAIを使用した油槽所の出荷予測及び在庫管理システムを構築。出荷実績やマーケット情報、気象情報などのデータ学習に基づき、各油槽所の油種ごとの出荷数量を予測・可視化することで、サプライチェーンの効率化を実現たという。