外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏が2020年1月の為替相場レビューと、今後注目の経済指標やイベントをもとにした今後の相場展望をお届けする。

【ユーロ/円 1月の推移】

1月のユーロ/円相場は119.779~122.874円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約1.3%下落(ユーロ安・円高)した。年始の「イラン・ショック」の影響は比較的軽微に留まり120円台前半で下げ渋ると、16日には約半年ぶりの高値となる122.87円前後まで切り返した。

米中が通商協議の第1段階に合意したことで円安が進行した他、ラガルド欧州中銀(ECB)総裁が着手した「金融政策の戦略見直し」で、ECBの金融政策が正常化に向かうとの期待がユーロ高に繋がった。

しかし、中旬以降は一転してユーロ安・円高が進行。中国を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大する中、市場でリスク回避の動きが強まった上に、ECBの金融緩和スタンスに目立った変化が見られなかったことで失望的なユーロ売りも散見された。27日には節目の120.00円を割り込み、30日には約2カ月ぶりに119.78円前後まで下落した。

【ユーロ/円 2月の見通し】

新型コロナウイルスの感染拡大が2月に入っても続いており、中国の感染者は1万7,205人となり、死者は361人に増加している(2月2日時点)。リスク回避の動きは円高と同時にドル高を誘発する傾向が見られることから、ユーロには下押し圧力がかかりやすいと考えられる。

今後、事態に改善が見られなければ、ユーロ/円は昨年9月から今年1月までの上げ幅の半値押しにあたる119.37円前後を下抜けて、61.8%押しにあたる118.54円前後まで下落する可能性もあろう。 ただ、新型ウイルスは2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスに比べれば毒性が低い模様で、致死率については一般のインフルエンザより低いとの見方もある。感染の拡大にブレーキがかかれば、足元のリスク回避の反動でユーロ/円が反発することも考えられる。

上値メドは52週移動平均線が通る121.50円台となろう。これを上抜ければ122円台の回復も見えてこようが、ユーロ圏景気の回復力が期待ほど強くない中では、1月の戻り高値122.87円の更新は難しいと見る。その意味では独2月製造業PMI・速報値や、1月に予想外の悪化となった独2月Ifo景況感指数にも注目したい。

【1月のユーロ圏注目イベント】