復旧が進む熊本城のリアルな姿をレポートしている今回。前編では復興見学ルートを回りつつ、櫓や石垣などの現状を確認した。後編では、熊本城内にある加藤神社や「大小天守」、そして、熊本城を一望できる意外なスポットなどを訪ねてみた。

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    着々と復旧が進む熊本城。特別公開では天守の間近まで近づくことができる(写真は2019年11月に撮影)

「特別公開」で「大小天守」が間近に

熊本城には、建築・土木の神として加藤清正を祀る加藤神社がある。2019年10月に始まった「熊本城 特別公開」にともない、二の丸公園から加藤神社前までの連絡通路が“公開日以外の平日・土曜日”に限り開通したそうなので、参拝してみることにした。

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    境内にはフォトスポットも用意されている加藤神社

加藤神社の大鳥居を右手にあたりを見回すと、西南戦争直前の火災でも焼け落ちることなく、江戸時代から残る熊本城唯一の5階櫓「宇土櫓」を発見した。宇土櫓は地上5階、地下1階で構成されており、その大きさは建物約19メートル、土台石垣の高さは21メートルに達するとのこと。これは「大天守」に次ぐ大きさで、“三の天守”とも呼ばれているのだそうだ。

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    熊本地震では続櫓が倒壊し、壁漆喰や床などが破損。土台石垣が大きく膨らんだ箇所もあったという

「宇土櫓」の大きさに感銘を受けつつ加藤神社境内のフォトスポットに進むと、今度は城の顔ともいうべき天守が一望できた。

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    まさに復旧中の「小天守」と外観修復が完了した「大天守」

熊本地震では、瓦の落下(大天守)、石垣の崩落(小天守)などの被害に見舞われたという「大小天守」。しかし、「大天守」の外観修復作業はほぼ完了しており、崩れ落ちた瓦は葺き直され、石垣の崩落防止など、新たに安全対策が施されたとのこと。

「熊本城 特別公開」では、工事用第2スロープを通って天守閣前広場まで入ることが可能だ。加藤神社よりも近くから「大小天守」が見学できる。特に、鉄骨や足場に囲まれた「小天守」は、今しか見ることのできない光景だ。

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    外観の修復が済んだ「大天守」は、震災前の威厳を取り戻していた

圧倒的な迫力の「大小天守」を見届けた後は、復興見学ルートに沿って熊本城外周を歩いていたのだが、そこで、ショッキングな光景を目の当たりにすることとなった。

本来、このルートでは、高さ約20メートルの石垣の上に建つ国指定重要文化財の「北十八間櫓」や「東十八間櫓」を見ることができるのだが、いずれも熊本地震により、櫓と土台石垣が崩落してしまった。現在は、倒壊した櫓部分と崩落石材が修復に備えて回収・保管されているため、そこにあるはずのものがないのだ。この光景を目にすると、熊本地震の凄惨さを改めて感じる。

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  • 「北十八間櫓」(左)と「東十八間櫓」(右)

熊本城から熊本市街までを一望! 市役所に立ち寄ろう

須戸口門前まで歩いてきたところで、復興見学ルートは熊本城外郭を少々外れる。

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    現在は19番を過ぎたあたり。マップによると、ルートは熊本市役所に向かっているようだが?

復興見学ルートに記された熊本市役所に到着したところ、どうやら、14階が展望ロビーとして無料解放されているようだ。さっそくエレベーターで14階に向かうことにした。するとそこには……。

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    熊本市役所14階の展望ロビーからは、熊本城を一望できる大パノラマが楽しめる

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    もう少し寄ってみると、「本丸御殿」もしっかりと確認できた

展望ロビーからは熊本城のほか、熊本市街や阿蘇山なども見ることができる。利用できる時間は平日8:30~22:00、閉庁日9:00~22:00と遅くまで入れるので、夜景を見に訪れるのもいいだろう。

絶景をひとしきり楽しんだ後は、再び外郭沿いに移動し、「長堀」を眺めながら歩を進め、終着点の「馬具櫓」へとたどり着いた。

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    熊本城の入り口を守る「馬具櫓」。熊本地震では本震で石垣が膨らみ、その後の度重なる余震によって一部が崩落した

今回の熊本城散歩では、復旧作業の進捗状況が確認できた反面、熊本地震による傷跡がまだまだ残っている様子も見て取ることができた。

熊本城の特別公開は、今回が第1弾。現在は工事が中断する日曜・祝日のみだが、特別見学通路が完成する2020年春以降には、平日も観覧できる第2弾が始まる。2021年春以降に天守閣が完全復旧すれば、内部公開もスタートするそうだ。

著者情報:安藤康之(アンドウ・ヤスユキ)

フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。twitter:@andYSYK。