シーイーシーは1月28日、アイシン・エィ・ダブリュの工場で、スマートグラスを活用した製造現場のデジタル活用と多様な人材活用に向け共同で実証実験を開始したと発表した。現在、スマートグラスの装着前後を比較した作業計測・記録データをもとに、工場教育の時間短縮、職場コミュニケーションの活性化などものづくり現場の働き方改革を目指す。

実証実験では、アイシン・エィ・ダブリュの聴覚障がい者のコミュニケーション支援として、シーイーシーのスマートグラスアプリケーション「EdaGlass(エダグラス)」と音声認識技術を活用し、山本光学のスマートグラス「Versatile(バーサタイル)」を装着した作業者との双方向コミュニケーション、現場教育研修におけるスマートグラスの有用性を実証している。

  • スマートグラス「Versatile(バーサタイル)」

    スマートグラス「Versatile(バーサタイル)」

工場内の機械稼動中の異常・作業不備など発生時に、復旧手段を伝えるライン外教育の実施に活用しました(以下の写真を参照)。作業指示者の声がマイクからスマートフォンを通してクラウド上の音声認識エンジンで文字データ化され、保護めがね内に表示される仕組みとなっている。

  • アイシン・エィ・ダブリュ工場 切削加工機ラインの実証実験例

    アイシン・エィ・ダブリュ工場 切削加工機ラインの実証実験例

実施期間は第1期が2017年5月~2019年7月(スマートフォン端末での実証実験)、第2期が同8月~(スマートグラス端末での実証実験)、実施場所はアイシン・エィ・ダブリュ 製造本部第二工場。

各社の役割として、社シーイーシーはスマートファクトリービジネスで培った人・モノ・設備のIoTデータ収集・利活用技術を活かし、工場の生産性向上に取り組み、国内外問わず多様なウェアラブル端末に対応した音声認識、翻訳、対話、作業指示を組み合わせたアプリケーションを開発・提供している。

EdaGlassのコミュニケーション機能による聴覚障がい者とのやりとり、外国人との異言語によるコミュニケーションなど音声の文字化と自動翻訳を支援や、遠隔指示機能でスマートグラス端末へのリアルタイムな映像・イラスト・テキストなどを共有している。

山本光学はユーザービリティに配慮したデザインと人間工学に基づく安全構造設計をベースにしたスマートグラス「Versatile(バーサタイル)」の開発製造を行っており、保護めがねが必要な工場、倉庫など、使用環境に応じてハンズフリーで情報の伝達が必要となるさまざまなシーンでの活用を目指している。

  • 実証実験における各社の役割

    実証実験における各社の役割

実証実験を通して、スマートグラスの装着前後を比較した作業計測・記録データをもとに、聴覚障がい者教育の時間短縮、職場コミュニケーションの活性化などの効果分析に着手している。従来はライン外教育研修で健常者が約22時間/月、聴覚障がい者で56時間/月と約2.5倍要していたが、今回の実証実験で聴覚障がい者の研修時間を56時間から33時間に削減することができたという。