相談者は、離婚をしてからこのまま独身で生きる将来を考えており、貯金が少なく悩んでいるという会社員女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆積み立てできなかった分は、ボーナスから補填している状況です
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回の相談者は、離婚をしてからこのまま独身で生きる将来を考えており、貯金が少なく悩んでいるという会社員女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◇相談者
アメリさん(仮名)
女性/会社員/39歳
九州/借家

◇家族構成
一人暮らし

◇相談内容
離婚してからパートナーもなく、40代目前まで来ました。このまま独身で生きる将来を考え、現在の状況を見直してみたところ、貯蓄が少なく老後の生活が不安になりました。

月収に若干の変動があるので、先取り貯蓄のペースを落とさずに生活するために、給料日に毎月の基本予算を微調整し、やりくりしています。

その微調整と実際に使う金額差異の穴埋めに、基本予算で決めた額を積み立てできない(主に車検代や突発的医療費代)こともあります。費目によっては余ることがありますが、積み立てにあてることはなく、全て締め日に、小銭貯金箱、500円玉貯金箱、紙幣は別財布、引き落とし用口座に据え置いています。

これらは自由に使っていいお金として扱っています。給料日に引き出したお金が最終日に残っているので、決してマイナスではありません。しかし積み立てできなかった分は、ボーナスから補填している状況なので、これでいいのかと不安になります。

また、先取り貯蓄の一部を投資に回し始めたところですが、リスクや、いざという時に下ろせるお金が少ないのが不安で投資の割合を増やせません。つみたてNISAの枠いっぱいまで投資しても、メリットは大きいのでしょうか? 老後資金の作り方(貯金・投資など)と収支バランスのアドバイスをお願いします。

◇家計収支データ
相談者「アメリ」さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足
(1)収支について
21万円前後で変動あり。昇給はほとんど見込めません。今後は介護保険料も引かれます。予算より多かったお給料分は、使わなかったら別の財布に貯めています。0円の時もあります。

(2)車両費について
3500円は自動車保険の保険料になります。これとは別にガソリン代4000円と車検積み立て6000円。ただしガソリン代は4000円で約2カ月もつため、必要時微調整に回ります。交通網が発達しておらず、車は必須であり、5年後ぐらいに買い換えが必要です。車の買い換えは、定額貯金から出すつもりです。

(3)食費と雑費について
食費と雑費を合わせて3万円でやりくりしています。職場では賄いが出ます。それ以外はほぼ自炊しています。雑費にはお小遣いを含むが、普段はあまり物欲がなく、毎月2000円ぐらい余ります(飲みに行くとオーバーすることもあります)。

(4)加入保険について
医療保険とがん保険の合計。内容は入院日額5000円、がんで入院日額1万円、手術代など。現在は持病があり、新たな保険は加入できないため解約しないでいる。

(5)ボーナスの使い道について
欲しい物は手に入れたので、しばらくは使う予定はない。年間10万円は普通預金に入れておき、国内旅行や車検代の足しにする。残り30万円は老後の生活資金に回す予定。

(6)光熱費について
水道代は月平均3000円ぐらい。毎月の料金は高いが使用量は一般的なので、削りようがないと思います。

ガス代は月平均3000~4000円。都市ガスがない地域のため、プロパンガス。自炊でもちょっとした加熱は電子レンジや電気ケトルを使用し、入浴はシャワーのみ短時間。寒い季節にもたまに湯船に浸かる程度。

電気代は月3000円前後。真夏はエアコンの使用を我慢したくなく6000円ぐらい。予算1万5000円のところ1万円で収まる月もある。毎月数千円は残し貯めできるよう心掛けている。

(7)通信費について
キャリアのスマホのみ。格安スマホの見積もりを行った結果、現在と同等環境にするためにはWi-Fiをひく必要があり、単身者にとって格安スマホ+Wi-Fiは、現在とあまり変わらないことが分かり断念しました。機種代の支払いが終わり次第、再度料金シミュレーションする予定です。

(8)趣味・教養・娯楽費について
9000円は主に美容費として計上。ヘアカラー&カット、化粧水がそれぞれ9000円ぐらいなので、1カ月ごとにどちらかに使っています。ヘアカラー&カットで貯まったポイントで割引があった時など、予算が余る分を貯めておき、ファンデーションなどの購入にあてています。

(9)医療費について
定期受診代と突発的な受診用積み立て分。うち2000円は必要時予算の微調整に回ります。

(10)年金について
・個人年金:1万円
離婚する前は扶養に数カ月だけ入っていました。ほとんどは厚生年金に加入していました。

(11)今後について
退職金はあると聞いていますが、金額は少ないらしく、ないものとして考えています。相続に関してですが、事情もあり相続放棄するつもりです。今後の住まいの購入は考えておらず、賃貸のままでいようと思います。

持病のため投薬も一生止められず、増悪と寛解を繰り返しながらの生活です。今の職場はそこまでハードではないので寛解を維持できており、仕事も続けられています。現在の賃貸アパートは、古いものの気に入っているため、今の職場にいる限りは住み続けたいです。

◇FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1:収支管理をしっかりしているのはいいが、使うところには使い、メリハリを
アドバイス2:今の貯蓄ペースで老後資金で不安に思うことはない
アドバイス3:「ねんきん定期便」で加入期間と見込み額は確認を

◆アドバイス1:収支管理をしっかりしているのはいいが、使うところには使い、メリハリを
さまざまなご事情を乗り越えて、一人暮らしを始められ、しっかりなさっていると思います。お金の管理もきちんと予算を立てて、細かく考えられていることも、よくわかりました。

支出に関しては、無駄なところがなく、通信費については機会を改めて見直すとのことですから、このままの家計で問題ありません。

ただ、心配なのは光熱費です。持病もあるとのことですから、ご自身の体調管理のためにも、シャワーで済ますのではなく、ゆったりと湯船に浸かってもいいのではありませんか?

何から何まできっちりしなくても、現状の収入が維持できれば、経済的に困ることはありません。貯蓄することは大事ですが、体調を崩してまで頑張ることではありません。使うべきところには使い、無理なく続けられることが大事です。もう少し、自分を甘やかしてもいいように思います。

◆アドバイス2:今の貯蓄ペースでいけば、老後資金で不安に思うことはない
収入に変動があるとはいえ、毎月5万5000円、ボーナスから40万円(実際には30万円ということでしょうか)の貯蓄は立派です。年間100万円の貯蓄が続けば、60歳になるまでに2100万円貯めることができます。

今後、車の買い換えぐらいしか、大きな出費はありませんから、そのまま老後資金として残ることになります。一人暮らしで、現在のようにコンパクトな生活を続けていけば、老後の生活に困ることはありません。

そう考えると、いったん貯蓄のペースを緩めて、年間90万円を目標にしてもいいですし、毎月の支出に1万円プラスして、美容院は毎月でもOKとするなど、何か心のゆとりになるようなことに使ってもいいのではないでしょうか。

さらにいえば、このペースで貯蓄でき、1000万円貯めることができたら、海外旅行する、大きな買い物をするなど、ぜひ自分を自分でほめてあげてください。貯蓄は老後のためだけにするものではありません。どうか若いときだからこそ楽しめることに、お金を使ってほしいと思います。

◆アドバイス3:「ねんきん定期便」で加入期間と見込み額は確認を
ただ、気を付けていただきたいのが、公的年金です。厚生年金加入、前夫の扶養、学生特例による猶予、公務員時代の共済と、過去に加入した年金の種類が多岐にわたっています。加入した年金とその加入期間に間違いがないか、慎重に確認するようにしてください。

現在は厚生年金への加入ですので、このままの加入状況で継続した場合の見込み額も記載されています。

また、学生特例の6年分は追納されていないとのことですが、もしも満額受給したいとなれば、60歳以降、任意加入し、国民年金保険料を支払えば、条件を満たすことができます。体調との兼ね合いもありますから、その時点での働き方で考えればいいでしょう。

貯蓄に関しては問題ありませんが、公的年金の金額を確認されておけば、さらに安心につながると思います。アメリさんは個人年金にも加入されていますので、それも加味して、どの程度の収入になるのか、確認してみてください。

おそらくアメリさんの場合は、年額100万円(月額8万~9万円)程度は受給できると思います。仮に、生活費として毎月8万円ぐらい不足するとしても、年間で96万円。2000万円の金融資産がなくなるのは、20年後です。あまり心配しなくてもいいでしょう。

最後に、投資についてですが、つみたてNISA、iDeCoのどちらでも構いません。毎月の貯蓄額のうち2万円程度までなら問題ないと思います。

途中で引き出せないのは不安だということであれば、今やられている、つみたてNISAでいいでしょう。どちらを利用しても、運用中、売却時の利益が非課税になります。

iDeCoであれば、積み立てた金額は全額所得控除の対象となりますので、所得税の節税にもなりますし、翌年度の住民税、健康保険料の軽減にもなります。

慌てる必要はありませんので、預貯金で安心できる金額が貯まってから、少しずつ投資に回すお金を増やしてもいいでしょう。

現状のままで、何も心配なさることはありません。メリハリのあるお金の使い方も考えてみてくださいね。

◆相談者「アメリ」さんから寄せられた感想
アドバイス拝見いたしました。ありがとうございます。現状であまり心配はないとのことで少しホッとしました。

逆にもう少し自分を甘やかしてもいい、メリハリのあるお金の使い方をしてもいいとのこと。確かに、昔に比べると贅沢なものにグレードアップしたものもあれば、買わなくなった物や行かなくなった所の方が多く、切り詰めてばかりのような気がします。

しかし生活レベルを落としても、現状特に不満ではないので、このペースで貯めて、維持費は増えますが、車の買い換えをちょっと贅沢にしようと思いました。ただ光熱費については、体が資本と思ってケチケチせずに過ごしたいと思います。

また投資の増額については、おっしゃるように、自由に使える預貯金を増やしてから再度検討します。

社会に出てからいろんな事情で、職や住居を転々としてきましたが、今回の相談を機にこれ以上、年金の加入履歴を複雑にしないよう、健康に気を付けながら働いていきたいです。今回は本当にありがとうございました。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:伊藤加奈子

文=あるじゃん 編集部