CINCINNATI, OHIO - JANUARY 08: Cincinnati Reds outfielder Shogo Akiyama, during the press conference to introduce Shogo Akiyama as a Cincinnati Reds at Great American Ball Park on January 08, 2020 in Cincinnati, Ohio. (Photo by Andy Lyons/Getty Images)

長い歴史を持つ球団

 秋山翔吾外野手の入団が決まったシンシナティ・レッズの歴史は古い。球団創設は1881年(明治14年)、「シンシナティ・レッドストッキングス」のチーム名で誕生した。当初はアメリカン・アソシエーションというリーグに所属していたが、1890年にナショナル・リーグに加盟すると、そのときにチーム名も「シンシナティ・レッズ」となり、現在に至っている。
 
 さらに時代を遡ると、シンシナティには1869年から同じチーム名を持つ別の「シンシナティ・レッドストッキングス」が存在しており、この旧レッドストッキングスこそが米国史上最初のプロ野球チームだと言われている。
 
 その約130年に及ぶ長い球団歴史のなかでレッズはワールドシリーズを5回制覇しているが、その最後は1990年であるから、もう30年前のことになる。近年は特にチーム成績が低迷しており、2015年から2018年まで4年連続でナショナル・リーグ中地区最下位に沈んでいた。2019年はやや持ち返し、75勝87敗で4位に浮上している。
 
 球団史上初の日本人選手としてレッズと3年契約を結んだ秋山はこのMLBきっての古豪チームが長い低迷期から抜け出すための起爆剤になれるだろうか。




開幕日は市内のオフィス・学校が休みに

ビッグレッドマシン
 レッズの黄金時代は1970年代中盤に訪れた。ジョニー・ベンチ、ジョー・モーガン、トニー・ペレス、ピート・ローズ、ジョージ・フォスター、ケン・グリフィー・シニアらが名を連ねた強力なラインアップは「ビッグレッドマシン」と呼ばれ、1975年、1976年と2年連続でワールドシリーズ優勝を果たしている。今でもこの当時のレッズをMLB史上最強チームと推す声も多い。
 
 ビッグレッドマシンは日本にも強烈な印象を残している。1978年に日米野球で単独チームとして来日し、14勝2分け1敗という成績で日本プロ野球を圧倒し、メジャーリーグの強さを昭和の野球ファンにまざまざと見せつけた。日米間の実力差が現在とは比較にならないほど大きく、王貞治などの名選手がメジャーリーグではたして通用するかという話題が語られていた時代である。何しろ星飛雄馬の魔球が「大リーグボール」と呼ばれていたのだ。
 
古き良きナショナル・パスタイムが残る街

 レッズが本拠地を構えるオハイオ州シンシナティは周辺を含めると都市圏人口は200万人を越えるが、ニューヨークやロサンゼルスのような大都市とは比べるべくもない小さなマーケットだ。その分、唯一のメジャー球団であり、地域に密着したレッズの地元での人気は高い。レギュラーシーズン開幕戦が行われる日は「Reds Opening Day」と呼ばれ、市内のオフィスや学校が休日になり、試合前にはパレードが行われるほどだ。
 
 本拠地球場であるグレート・アメリカン・ボール・パークは2003年開場の比較的新しい球場だ。サイズは小さく、ホームランが出やすい打者有利のバッターズ・パークと言われている。「グレート・アメリカン」といかにも愛国的な球場名はこの土地柄によく似合っているように思えるが、実は命名権を買い取った保険会社名によるものである。
 
 オハイオ州にはトヨタやホンダなど日本の自動車関連企業の多くが拠点を置き、日本からの赴任者や帯同家族の数も少なくない。秋山が活躍すれば、多くの日本人がグレート・アメリカン・ボール・パークへ観戦に訪れることになるかもしれない。
 
 偶然ながら、サッカー元日本代表FWの久保裕也選手が米プロサッカーリーグMLSのFCシンシナティへ移籍することが最近決まっている。久保も秋山と同じく3年契約を結んだと報じられており、シンシナティ在住の日本人には朗報だ。




冬は厳しい寒さに

アリゾナでの春季キャンプ
 オハイオ州の冬は寒さが厳しく、シーズン開幕直後の4月、5月も気温の低い中での試合になることが多い。秋山にはそれに対する適応力も求められる。
 
 もっとも秋山にとって、最初に実力を周囲にアピールするべき場所は本拠地から遠く離れたアリゾナ州で行われる春季キャンプになるだろう。レッズの春季キャンプ施設であるグッドイヤー・ボールパークは同じくオハイオ州のクリーブランド・インディアンズと共有で使われている。メインスタジアムの他に、レッズとインディアンズがそれぞれ6つの練習用フィールドを持つ広大な施設だ。
 
 レッズと同じカクタス・リーグにはロサンゼルス・エンゼルス(大谷翔平が所属)、シカゴ・カブス(ダルビッシュ有が所属)、シアトル・マリナーズ(菊池雄星が所属)、ロサンゼルス・ドジャーズ(前田健太が所属)が入っており、オープン戦ではレッズとの対戦も組まれている。秋山と彼ら日本人投手たちとの対決も実現する可能性があり、楽しみだ。
 
 
角谷剛