相談者は、毎月の給料から家賃と必要経費、貯金を差し引くと、お金が残らず食費をあまり使えないという31歳の会社員男性からの相談です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◆会社はクビにはなりませんが、給料が上がる見込みはありません
皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。

今回の相談者は、毎月の給料から家賃と必要経費、貯金を差し引くと、お金が残らず食費をあまり使えないという31歳の会社員男性からの相談です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

◇相談者
一日食費五百円さん(仮名)
男性/会社員/31歳
神奈川県/借家

◇家族構成
両親(同居していない)、姉妹(同居していない)

◇相談内容
1年ほど前から家計簿をつけ始めました。大体自分が何にどれだけ使っているかは把握できたと思っています。

毎月の給料から家賃と必要経費、貯金を差し引くと、大体1万5000円くらいしか残りません。1日に使える食費500円は、さすがにわびしいです。料理も特にうまくないので、外食もたまにはしたいです。

貯金も冠婚葬祭などでできない月があり、平均すると5000円くらいしかできていません。ボーナスも家族旅行などで使ってしまっています。年50万円から100万円くらいは、貯金できていると思います。

今、会社の保険にしか入っていないので、保険にも入ったほうがいいかなと思っています。家計簿をつけ始める前は、1カ月に5000円くらい小説などを買っていたので、余裕ができればまた買い始めたいです。会社はクビにはなりませんが、給料が上がる見込みはありません。

家賃を下げるためにもっと安いところに引っ越すことも考えていますが、今のところが通勤や住みやすさ的にちょうどよいので、できれば今のところで住み続けたいと思っています。何から手を付けたらいいかわからず、困っています。

◇やりたいこと
・貯金を増やしたい(1カ月2万円くらいの貯金をしたい)
・趣味にもっとお金をかけたい
・健康にもっとお金を使いたい

◇悩んでいること
・保険に入る
・引っ越しをする(もっと安いところに引っ越す、または家・マンションを買う)

◇家計収支データ
一日食費五百円さんの家計収支データ

◇家計収支データ補足(相談者コメント)
(1)収支について
何もなければ予算内に収まります。突発的な出費が発生すると予算オーバーします。2カ月に1回ほど突発的な出費が発生して予算をオーバーします。1カ月の出費を平均すると18万7219円でした。

■突発的な出費例
・旅行準備(スーツケースの買い替えなど):4万円
・友人の結婚式:6万円(交通費込み)
・賃貸の更新:8万円(更新料6万円+火災保険など2万円)
・ライブ:3万円
・革靴(会社用):3万円

(2)物件購入について
家賃を払うより、ローンを払うほうが安上がりになるのではないかと考えて、物件を探した時期があります。タワーマンションは維持管理費が高いので、中層、低層マンションで価格は2000万円以下で探していました。

現在住んでいるところに不満はあまりないので、同程度の住環境、アクセス(都心まで徒歩込みで1時間前後)が確保できるところはないかと探していました。東京五輪後にマンション価格が下がるとの話を聞いたので、そのあと再び探そうと思っています。

(3)ボーナスの主な使い道について
満額もらえるようになりました。それまでは半分ほどでした。また、これまではボーナスの度に意識的に大物(ギターとかカメラとか)を買っていましたが、今回は、買い物をしませんでした。

現在ボーナスから計上しているのは旅行:22万円(チケット代)のみです。22万円は月に入れると家計簿が壊れそうだったので、これだけボーナスに付けました。それ以外はすべて月々の給料から出す計算としています。

旅行がこれからも発生するかはわかりません。東京に出てきて6年目なので、家電製品の買い替えはこれから発生すると思います。

(4)貯金と投資について
大学生のころから投資金額は増やしていません。投資は趣味で国内株を短期、中期で取引をしています。本当に趣味なので10年で1割プラス程度です。予測して投資するのが好きなので、今後も続けていきたいと思います。コンスタントにプラスにできるようになれば、投資資金は増やすかもしれません。

投資信託などは手を出したことがありませんが、興味はあります。

(5)お勤め先について
60歳以上の再雇用、退職金については具体的には調べていません。周りを見ていると、退職金、再雇用制度自体はあるようなので、可能であれば勤め続けたいと思っています。

(6)今後について
結婚願望はありません。というか、結婚してもうまくいく気がしません。お金があれば、趣味コンとかに参加するかもしれません。

両親の住んでいる家は一戸建て、地方に住んでいるため、会社に通うことができません。定年後に相続するようなことがあれば、相続するかもしれません。姉は自分でマンションを買う予定らしいので、相続するとすれば僕になると思います。

◇FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1:健康のためにお金を使いたいなら、まず食費1万円UPを
アドバイス2:住宅購入は現在の収入ではリスクがある。やりたいことができなくなるかも
アドバイス3:保険は不要。毎月の貯蓄額が少ないので、投資割合は増やさないこと

◆アドバイス1:健康のためにお金を使いたいなら、まず食費1万円UPを
やりたいこと、悩んでいることを、一つ一つ考えていきましょう。

まず、現在の収入と支出の状況が変わらないとすると、毎月貯蓄できるのは、実際のところ1万円。現在2万円の貯蓄とのことですが、食費をあえて1万円増やしましょう。

健康にもっとお金を使いたいと書かれていますが、そのためには、食生活を改善して健康維持に努めることが先決です。1日の食費500円はわびしい、と言っている場合ではなく、外食が増えても構いませんから、バランスの良い食事を摂ることが何よりも大切です。

健康維持のための運動などは、お金をかけずともできることがたくさんあります。

毎月1万円の貯蓄ですが、幸いボーナスが90万円ありますから、そこから58万円を貯蓄に回せば、年間で70万円貯められることになります。ボーナスから32万円は使えます。趣味や娯楽にお金をかけても問題ないでしょう。

年間70万円の貯蓄が継続できれば、60歳までの29年間で2030万円。今ある貯蓄と合わせれば2500万円は老後資金として残すことができるわけです。現在、会社員ですから、厚生年金加入ですね。今後、転職などをする際にも、厚生年金加入ができる勤務先であれば、老後の生活で困ることはないでしょう。

貯金をこれ以上増やしたいのであれば、収入を増やすか、副業などをするしかありません。でも現状維持であっても、金銭的な不安を過度に抱えることはありませんので、ご相談者が、今後どういう生活をしたいかで変わってくるでしょう。

◆アドバイス2:住宅購入は現在の収入ではリスクがある。やりたいことができなくなるかも
住宅購入については、今の段階ではリスクが大きいといえます。購入後の管理費、修繕積立金など維持費を考えると、毎月返済可能額は5万円。65歳までの返済とすると、借りられるのは1700万~1800万円。頭金を入れて、やはり物件価格は2000万円が上限となります。

ただ、購入後には固定資産税もかかってきますし、水道光熱費なども増える傾向にあります。現在の収入からすると、毎月1万円の貯蓄ができなくなり、やりたいこともできなくなる可能性があります。住宅購入は、慎重に考えてほしいと思います。

また、家賃の安いところに引っ越すとしたときに、今より通勤時間が長くなり、その分、必要以上に外食が多くなったりして、家賃の差の分が、まるまる貯蓄に回せるとも限りません。遠くなった分の不便さを楽しみに変えられたり、生活環境が変わることのストレスに対応できるなら、引っ越しもいいかもしれません。

購入しろ、賃貸にしろ、住まいは損得勘定ではなく、生活の基盤です。その町での暮らしが楽しいものにならなければ、住み替えは仕事にも影響します。よく検討してみてくださいね。

◆アドバイス3:保険は不要。毎月の貯蓄額が少ないので、投資割合は増やさないこと
保険については、会社で加入している保険の中身がわかりませんが、一人暮らしの今は、新たな保険加入は必要ありません。

病気ケガでの入院も、高額療養費制度によって、一定額以上の自己負担はありません。会社員なので休職しても傷病手当金がもらえます。病気ケガへの対応は、貯蓄で十分です。

どうしても不安があるのであれば、県民共済で医療保障だけ確保しておけばいいでしょう。死亡保障のある生命保険は、結婚して子どもを授かったなど、守るべき家族ができたときに、加入すればいいものです。

最後に投資についてですが、現在の金融資産が、貯蓄:投資=3:2の割合です。これをキープするようにして、投資の割合はこれ以上増やさないようにしましょう。

投資については、「iDeCo」や「つみたてNISA」を利用した積立投資がいいのですが、毎月の貯蓄額が少ないので、無理せず、今のスタイルで楽しみながら続けていけばいいでしょう。

転職などはあまり考えておられないようですが、それならば会社の制度については、確認しておかれるといいでしょう。再雇用制度や退職金などの有無によっても、資産形成の仕方は変わってきます。

現状では金銭的な心配はありませんので、もう少し生活を楽しみ、健康を維持するために、食事にはくれぐれも気を付けてください。

◆相談者「一日食費五百円」さんから寄せられた感想
アドバイスをいただきありがとうございました。貯金2万円の目標も家計簿アプリの自動計算で出したもので、漠然と節約しなきゃ、お金貯めなきゃ、保険入らなきゃと思っていました。

趣味に使うのも後ろめたいと思っている部分もありましたが、現状の分析と将来の明確なビジョンをいただき、今後は月1万円、年間70万円のペースを基準に貯めていきたいと思います。

食事は栄養学とかは詳しくないので、肉・サラダ・米の3点セットが3食だったのを、1品足すとか、週末にいいものを食べるとかになるかもしれませんが、もう少しバランスを考えてみます。

住居は買ってもいいことがなさそうなので賃貸で今のところで当分は過ごそうと思います。会社の情報はどこから調べればいいかわかりませんが、調べられるところから調べていきたいと思います。

色々な情報をいただき、ありがとうございました。楽しく健康に過ごしていけるように先生のアドバイスを活かして頑張っていきたいと思います。

教えてくれたのは……深野 康彦さん

マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。

取材・文:伊藤加奈子

文=あるじゃん 編集部