WOWOWの連続ドラマ「連続ドラマW 頭取 野崎修平」に主演した織田裕二さん

 1月19日からWOWOWでスタートする「連続ドラマW 頭取 野崎修平」で主演を務める俳優の織田裕二さん。2018年に放送された「連続ドラマW 監査役 野崎修平」の続編にあたる今作では、3年ぶりにおおぞら銀行に頭取として戻ってきた野崎が、信頼できる部下と共に銀行の立て直しに奮闘する。ドラマの舞台は今から16年前の2004年。野崎を演じながら、「僕もかつての自分を思い出しました」と語る織田さんが、当時の自分を振り返りつつ、「野崎修平」シリーズが自身にもたらしたもの、そして10年後の自分について語った。

 ◇かつての自分は現場で「ふざけるなという空気を出していた」

 「今回のせりふにもありましたけど、職場が明るい、楽しい職場だから行きたくなる……原作は約15年前のものですが、僕もそれは仕事をする上で大切なことだと思っているんです」と語る織田さん。

 「昔は、楽しい職場ってなんだよ。職場は仕事をしに行くところだから、ピリピリしていようが関係ない。ぎゅっと凝縮して集中してやる場所だろ、聖域だろ、みたいな、肩に力が入ったところがありました」と過去の自分を省みる。

 芸能界を知らない人間からすると、撮影現場といえば、有名な俳優がたくさんいて、華やかで楽しそうなイメージがある。その感覚のまま現場に来る若い俳優がいても不思議ではない。織田さんはそういう俳優に、俳優という仕事の大変さや重みを伝えるため、あえて「ビシっと構え、ふざけるなという空気を出していた」と打ち明ける。

 ◇もっと楽しんでいいんじゃないか

 しかし、そういう俳優はやがて姿を消していった。「たぶん、そういう人は他の業界に行ってしまうのでしょうね。この仕事はつらいから、やっていられないと思うのでしょうね」としみじみ語る。

 そんな中で自分も年齢とキャリアを重ね、「凝縮して演じるだけではない。もっと楽しんでいいんじゃないか」と思うようになったという。監査役時代はしかめ面ばかりだったが、頭取となり、「部下を育て、“お客様ファースト”という銀行員のマインドを植え付けようと一生懸命」で、かつ「どうすれば、みんなが楽しく働けるようになるか」と腐心する野崎のキャラクターに、織田さんが共感したのもうなずける。

 ◇「野崎修平」は「消えることはない作品」

 織田さんは2019年12月に52歳になった。デビューから今年で33年目を迎える。これまでさまざまな作品に出演してきた。その中には「東京ラブストーリー」(1991年)や「振り返れば奴がいる」(1993年)、さらに「踊る大捜査線」シリーズといった社会現象を起こした作品もあった。そして、今回の「頭取 野崎修平」。

 「『野崎修平』は、僕の役者人生において出合えてよかった、消えることはない作品だと思っています。すてきな作品と出合えたという作品の一つに、これは間違いなく入っています」と織田さんは断言する。

 ◇人生設計は特にしていない

 そんな織田さんに10年後を想像してもらうと、「近未来でやりたいこと、10年後にやりたいこと、一生かけてやりたいことを考えておけと、事務所の社長には若い頃、よく言われていました」と明かし、「今は、高い理想、それよりちょっと下の理想、最悪まではいかない理想と3通りくらいあります」と話す。その上で、「でも、そのための人生設計は特にしていません。お話しできるようなすてきな話もないですよ。実現してからでないと話せないという照れくさい面もあるし(笑い)」と続ける。

 そして、「僕、夢は実現したいと思う人なんです。みんなそうですけどね。その夢を現実と照らし合わせて、現実をちょっとずつ近づけていくという作業が必要だと思います。ただ、僕の場合、すでに道は外れているんです。若い頃に思いきり見た夢とは、今、全然違いますから」と吐露する。

 事実、織田さんは、高校時代に打ち込んだテニスを膝の故障で断念。その悔しさをバネにバンド活動にのめり込んだ。子供の頃は、すし屋や漁師、宇宙飛行士に憧れたことはあっても、俳優という仕事に憧れたことはなかったと自身の著書「脱線者」(朝日文庫)に書いている。その織田さんが今、俳優の道を邁進(まいしん)している。

 「だから、たぶん夢も変わっていくといったら変だけど、これがいいと思っていたけど、こんなのいいやと思えるようになったり、二者択一しなきゃいけないとなったときに、こっちの夢は捨ててこっちにしようと選んだり、どっちがより幸せになれるかという漠然とした夢……夢というか目標も変わっていくんじゃないかな。その選択はものすごく難しいですけど、これからもそういう生き方をしていきたいと思っています」と力強く語った。

 ドラマは1月19日からWOWOWプライムで毎週日曜午後10時に放送。全5話で第1話は無料放送。