長谷川博己が戦国武将・明智光秀を演じるNHKの大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00~)がきょう19日にスタートする。本作でヒロインを務めるのが、映画、ドラマ、舞台で確かな演技力を魅せている門脇麦(27)だ。光秀と心を通わせる戦災孤児の駒というオリジナルキャラクターを演じる門脇に、駒としての役作りやドラマの見どころを聞いた。

『麒麟がくる』は、大河ドラマ第29作『太平記』(91)を手掛けた池端俊策によるオリジナル脚本で、馴染みのある戦国時代の英傑たちを、新たな解釈で描くという野心作だ。若き明智光秀をはじめ、織田信長、斎藤道三、今川義元、豊臣秀吉、徳川家康などが登場する。また、大河ドラマとしては初めて4Kでフル撮影をすることでも話題となっている。

■駒は「光秀をそばでずっと見守っている人」

『麒麟がくる』

『麒麟がくる』で駒を演じる門脇麦

──駒役にはどんな思いで挑みましたか?

最初に脚本を読む前は、具体的なキャラクター像がつかめなかったのですが、新しい明智光秀像を描きたいということで、駒が光秀の側面を掘っていけるようなキャラクターになれたらと。大河ドラマの構成的にも、新しいものを吹き込めたらいいなと思いました。

また、駒は庶民の女の子なので、駒を通して戦国時代の人々の暮らしを描いていくという役割もあるようで、駒は傍観者というか、最初から最後まで光秀をそばでずっと見守っている人で、一番視聴者に近い目線の役柄になるのかもしれません。

──役作りについては、どんなリクエストが入ったのでしょうか?

初登場のシーンで駒はまだ15歳ですが、監督やプロデューサーの方からは、幼くというよりはとにかく明るく演じてほしいと言われました。駒は戦災孤児ですが、そういう自分の過去の話をする時も明るくいてほしいと。そこから悲しみや背負ってきたものが見えたらいいなと思いました。

──これまでにない光秀像はいかがですか?

すごく素敵です。今作の光秀は20歳から描かれていますが、史実上では40歳くらいからしか登場しないので、だれも知らない光秀を側で見ている気持ちです。すごく思考派な人物という従来のイメージと共に、熱くて真っ直ぐな青年、という部分も描かれていきます。

──光秀役の長谷川博己さんの印象を聞かせてください。

すごくお芝居に対してピュアな方だし、物の捉え方がとても繊細な方だと思います。私はわりと大ざっぱな方ですが、長谷川さんは、いろんな考え方をいくつか用意した上で、選択して物事を進めていく方。でも、それに反して直感もすごく強くて、全部を飛び超えて、ぽんと上がる瞬発力も持ち合わせているんです。主演ということで、真ん中にいらっしゃる太さがあり、繊細なのに意識的に大きくしている感じもしていて、そういう長谷川さんは、光秀役にぴったりだと思います。

■オリジナルキャラの楽しさ「自由にできる」

――駒は、堺正章さん演じる医師・望月東庵の助手ですが、2人はどんな関係性ですか?

駒は幼い頃に両親を戦で亡くしている戦災孤児なので、東庵先生は師匠でありつつ、父親のような存在でもあるのかなと。ただ、東庵先生は賭け事が好きで、駒は先生の監視役なので、2人のシーンはずっとぷんぷんしています(笑)。でも、毎回堺さんとのシーンは楽しいです。

――駒は岡村隆史さん演じる農民の菊丸との共演シーンも多いですが、岡村さんの印象についても聞かせてください。

岡村さんはお芝居をしているときの感覚が、役者さんとは何かが違っていてすごく面白いです。音や間にとても敏感で、いろいろなアイデアを持っていらっしゃる印象です。目のつけどころが的確で、「ここでこうしてみてはいかがですか?」というひと言で、そのシーンがものすごく豊かになります。

――3人ともオリジナルキャラクターですね。

そうなんです。だからいつも堺さんは「我々はオリジナルのキャラクターなので、いついなくなってもおかしくないから力を合わせて頑張りましょう」と、おっしゃっています(笑)。

――オリジナルキャラクターならではの楽しさとは?

これからどうなるのかが全く見えないところですね。ゴールが見えない分、最初から計算ができないので、そこが難しさにつながるのかもしれないけど、規定がないので、とても自由にできることがすごく楽しいです。

――最後に、第1回の見どころについて聞かせてください。

長谷川さんの殺陣がとにかく美しいです。やはり殺陣は戦国時代の見どころの1つだと思うので、第1回はかなり気合が入っていると思います。また、第1回の最後に火事のシーンが登場しますが、本当に火を燃やして家を一軒崩すという大掛かりな撮影をしたので、迫力があります。本能寺の変で最後を迎える光秀の話ですが、火事の話が入った第1回から始まるという点はすごく思うところがありました。ぜひ多くの方に観ていただきたいです。

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■プロフィール
門脇麦(かどわき・むぎ)
1992年8月10生まれ、東京都出身。2014年、三浦大輔監督の映画『愛の渦』でヒロインを務め、注目される。その後、テレビ、CM、舞台で幅広く活躍。主な映画出演作に『太陽』(16)、『二重生活』(16)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17)、『花筐/HANAGATAMI』(17)、『ここは退屈迎えに来て』(18)、『止められるか、俺たちを』(18)、『チワワちゃん』(19)、『さよならくちびる』(19)など。大河ドラマは『八重の桜』(13)にも出演。2月11日からは村上春樹原作の舞台『ねじまき鳥クロニクル』にも出演予定。

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