ジャズやロックなどの国内外のスタープレーヤーも愛用しているカノウプスのドラム。ライブで聞く生の音にも、CDなどで聞く加工された音にもこだわる、カノウプスのドラムを作っている株式会社カノウプスの楽器職人・菊川丞太さんに、勉強していることや、休日の過ごし方などをお伺いしました。

■求められる音が作れるように常に勉強

―― 仕事中、こだわってやっていることはありますか?
 
クオリティーにはこだわって作業をしています。例えば、カバリングのときは継ぎ目がそろうように丁寧に巻いたり、オイルフィニッシュで色を塗るときには色ムラがないように工夫して載せたりしています。

また、作業中は、汚れてもいいようにツナギを着用しています。ツナギ選びは、素材やポケットの数や位置などにこだわっています。けがをしないように、安全靴も大事ですね。
 
 
―― この仕事に就いてから、何か勉強をしていることはありますか?

新製品が出ると、その製品に必要な技術を身に付けます。また、逆にカノウプスでは、「ヴィンテージ」と呼ばれる、年月を経て作られるような味わいのある音も重視しているので、新しいだけでなく、古くから親しまれている音も追求しています。さらには、ライブで求められている音、レコーディングスタジオで求められる音、ジャズやロックなど音楽のジャンルごとに求められる音も異なるので、設計者と綿密な打ち合わせの上、求められる音が出せるよう自己の技術を高める為に勉強しています。

仕事中はずっと音楽を聞きながら作業をしています。音楽の勉強のためもありますし、イヤホンをして聞くことで、機械の大きな音から耳を守る、作業に集中するという役割もあります。

■国内外のスタープレーヤーが工場見学のために来社!

―― この仕事ならではの「あるある」なことはありますか?

ライブやテレビの音楽番組などでは、ボーカルはそっちのけでドラムばかり見てしまいます。テレビでは一瞬しか映らないこともあるので「もう少し長く映してほしい!」と思うこともあります。一瞬でも映ると、どこのメーカーのどのドラムなのかが分かるようになりました。


―― 一般の方に言うと驚かれることはありますか?

国内外のスタープレーヤーが突然ふらっと来社して、工場見学をすることがあります。ドラムを作る工程を見たい、どのような現場でどのような作業をしているのか知りたいという方が来てくださいます。そういう方たちが来られると、さらに素晴らしい製品を作ろうというやる気につながります。

―― 一緒に働いている人は、どんな人ですか?

それぞれ役割が異なるので、私と同じ仕事をしている人はいないのですが、ポジションによって、キャラクターが異なります。店頭は接客業ですから、人と話をすることが好きな人が多いですね。

それぞれのポジションの人と、情報を共有することが大事だと思っています。楽器を作るときに、何が大事なのかが分からないと、せっかく作ってもお客様が求めているものと違うものになってしまいます。

■家でも職場でも、たくさんの大好きなドラムに囲まれた生活

―― 休日はどのように過ごされていますか?

ドラムを集めることが好きで、家にはドラムセットが26セット、スネアが84台、シンバル220枚あります。同僚からも驚かれるほどの数です(笑)。寝る場所以外、ドラムが天井まで積まれているのですが、大好きなドラムを見て幸せに浸っています。最近は広げる場所がなくなってきたので行う機会が少なくなってきたのですが、箱から楽器を出してメンテナンスすることもあります。メンテナンスをしている時間は至福の時間です。数百もあるパーツを全部取り外して、組み立てなおします。

ドラム集めようとしたきっかけは、最初に買ったものが良いドラムで、それと同じシリーズの同じ色で違うサイズのものを追加で購入したいと思っていたのですが、なかなか手に入らず、あるとき同じシリーズの違う色のものを見つけたので購入しました。さらに後日、サイズの異なるものを見つけて購入し、さらに異なる色を見つけて……というのを繰り返していたら、どんどん数が増えていました(笑)。


―― 今後の目標を教えてください。

技術を勉強して、自分の中にどんどん知識を蓄えていくということは、今後も変わらない目標です。また最近、工場責任者となり、これまでと仕事内容が少し異なるので、早く慣れて、私なりの管理職像を確立していきたいと思っています。

 
ご自身でもたくさんのドラムを集めるほどドラムが大好きな菊川さん。職場でもさまざまなドラムに囲まれ、色や形、そして音を追求していく仕事は、菊川さんにとってまさに天職と言えそうです。
音楽が好き・楽器が好きな人は、職人という道も考えてみてはいかがでしょうか。
 
 
【profile】株式会社カノウプス 菊川丞太