女優の吉高由里子が主演を務める日本テレビ系ドラマ『知らなくていいコト』(毎週水曜22:00~)。前回放送された第1話で、吉高演じる主人公が「殺人犯の娘」という衝撃的な事実が明らかになったが、きょう15日に放送される第2話では、主人公と元カレの別れに隠された新事実、さらに殺人犯と亡き母の過去が明かされる。

業界の内幕を描く“お仕事ドラマ”を得意としてきた水曜ドラマのこれまでの作品とは、かなり雰囲気が異なる様相だが、それが実現した背景には、チャレンジングな企画を後押ししてくれる日テレの環境があるようだ。

  • 『知らなくていいコト』主演の吉高由里子 (C)NTV

    『知らなくていいコト』主演の吉高由里子 (C)NTV

■新しいことをやっていこうという雰囲気

今作を手掛ける小田玲奈プロデューサーは「昨今、現実でドラマを超えてしまうような事件が起きているから、変な話、ちょっと“引っかき傷”を作るくらいのものでないと見てもらえないんじゃないかという思いがあって、この企画を出したんです」と説明。

それが第1話で描かれたのが、「主人公は自分がかつて世間を騒がせた殺人犯の子供だったという事実、人生最大の“知らなくていいコト”を知ることになります」という衝撃の展開だった。これに対し、「社内も『今だからこそやる意味があるドラマだ』と乗ってくれたので、ありがたいなと思っています」という。

最近の日テレのドラマと言えば、教師が生徒を人質にとって立てこもる事件を1日1話で描く『3年A組―今から皆さんは、人質です―』や、視聴者の間で“考察”が盛り上がった2クール(半年)にわたるミステリー『あなたの番です』が大きな話題を集めた。この2作品が放送された日曜ドラマ枠以外でも、昨年10月期の土曜ドラマ『俺の話は長い』は、1回の放送で30分×2話という異例の構成を導入している。

『俺の話は長い』は、『金田一少年の事件簿』などを手掛けてきたベテランの櫨山裕子氏がプロデューサーだが、「櫨山さんみたいな大御所がどんどん型を破ろうとする感じがあると、後輩の私たちも後に続け!って感じでやりやすいです」という小田氏。また、「日テレはバラエティのチームが強いので、ドラマもどんどん新しいことをやっていこうという雰囲気もあります」と明かす。

■バカリズムのアイデアを受け入れる土壌

小田氏は、朝の情報番組『ZIP!』の中で放送された“朝ドラマ”『生田家の朝』も担当しているが、昨年10月のシーズンでは、ドラマ劇中のテレビに『ZIP!』の生放送のスタジオ映像を合成させたり、舞台である「生田家」が別の家で見ているテレビ画面の中での出来事だったことが判明したりと、放送の枠を超えた仕掛けが行われた。

この裏側ついては、「あれはバカリズムさんのアイデアです。“お茶の間とテレビ画面が合わせ鏡になってるような構造にしたい”というところから始まってるんですけど、ドラマのクリエイターだったらそんなことやっちゃいけないって考えちゃいます」と謙そん。だが、日テレは18年に、情報番組などを作る情報カルチャー局と、ドラマ・バラエティなどを作る制作局を「情報・制作局」に統合したことで「そこの垣根はない感じがします」と言うように、バカリズムのアイデアを受け入れる土壌もあった。

  • 『生田家の朝』(左から)脚本のバカリズム、企画・プロデュース・主題歌の福山雅治、出演のユースケ・サンタマリア、鳥越壮真、関谷瑠紀、尾野真千子

■『あなたの番です』Pと切磋琢磨

そんな小田氏は、『あなたの番です』プロデューサーの鈴間広枝氏と同期。「あの人のパワーは本当にすごいです。2クールってことだけでも大変なのに、地上波を超えていろんな仕掛けを考えたり…あの仕事量をこなすことが当たり前になったら困るって本人にも言ってます(笑)」と口にしながら、同じ女性プロデューサーとして切磋琢磨しているようだ。

小田氏も、『家売るオンナの逆襲』で新入社員(草川拓弥)がYouTuberという設定から、それをリアルでも実施するなど、現場で思いついた仕掛けを積極的に展開してきたが、今回の『知らなくていいコト』でも、主人公の働く週刊イースト編集部内の隠れYouTuberによる「裏スクープちゃんねる」を発信。

週刊誌記者たち黒い人間関係や、秘密を見せていく予定だといい、「普段は下世話なネタを追っている週刊誌記者が逆に狙われる。信じられないスクープは誰の中にもある…ドラマ本編のコンセプトと同じです。こっちはだいぶライトですけど(笑)」と狙いを語る。

第2話は、吉高演じるケイトが、“DNA婚活パーティー”の取材を通して、自身が「殺人犯の遺伝子」を持つという事実に向き合っていくストーリーが展開される。小田氏は以前のインタビューで、「実は第2話を見たときに『このドラマはずっと面白いドラマなんだ』って継続して見るかを決める人が多いと思うんです」と、連ドラにおける“第2話”の重要性を強調しているだけに、今夜の放送に注目したい。

  • (C)NTV

●小田玲奈
1980年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部卒業後、03年日本テレビ放送網に入社。『ズームイン!!SUPER』を担当後バラエティ制作に移り、『メレンゲの気持ち』『another sky-アナザースカイ-』『魔女たちの22時』『不可思議探偵団』『有吉ゼミ』などを担当し、『家売るオンナ』(16年)で連続ドラマ初プロデュース。その後、『地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子』『ウチの夫は仕事ができない』『プリティが多すぎる』『生田家の朝』『家売るオンナの逆襲』などを担当。