IBMは、ブロックチェーンを活用した新たなプロジェクトを消費者向けのモバイルアプリを通じて展開することを現地時間6日に発表している。

年始の米ラスベガスで開催されたコンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で同社が現地時間6日に発表したプロジェクトは豊富な品種や製法で多様な味わいで世界の人々を楽しませる"コーヒー"がターゲット。グローバルに大規模で複雑な流通を経て消費者の手元に届くコーヒー豆だが、ブロックチェーン技術を用いたアプリで生産者と消費者をつなぎ、トレーサビリティ(経路追跡)による品質や生産地の確認を可能にすると同時に生産者、貿易業者、焙煎業者、ブランドの各中継点の効率性・公平性を向上させる。

モバイルアプリ"Thank My Farmer"は、ベルギーのBeyers Koffieやコロンビアコーヒー生産者連合会(FNC)、日本の伊藤忠商事など世界各地のサプライチェーン提供チームと協力するプラットフォーム「FARMER CONNECT」から2020年初頭に一般提供予定。IBMブロックチェーン技術を活用したアプリは、インタラクティブな地図上でコーヒー豆の情報を表示させるなど、生産者と消費者をダイレクトにつなげられるもので、通常知ることが難しい生産者からの情報も期待できる。また、生産者ほか事業者は情報の交換や支払いの簡素化などブロックチェーン技術による恩恵を享受できるようにするものだ。

IBM Food Trustのゼネラル・マネージャー、Raj Rao(ラジ・ラオ)氏は「プロジェクトは、ブロックチェーン技術によって真の変化が導かれることを示す、新たな例といえます。ブロックチェーンは、ビジネス向けの野心的なテクノロジーであるにとどまらず、すでに消費者のために役立てられており、彼らが商品をどのように信頼するかを変革しています。また企業にとっては、透明性と効率性を向上させるために役立ちます」と述べる。

IBM Food Trustでは食品のサプライチェーンにブロックチェーンを活用した事例を重ねており、今回のプラットフォームが"コーヒー"という世界各地にこだわりのある愛好家も多いジャンルだけに興味深い試みとなる。