• 柄本明、沢村一樹、水野美紀、上杉柊平 (C)フジテレビ

――今作はミハンに新メンバーが加わりました。

前作もそうだったんですけど、今作もまたキャラを強くしすぎました(笑)。前作で伊藤淳史君がやってくれた上官が逮捕されてしまったので、今作は女性の上官がいいなと思って、その時にパッと顔が浮かんだのが水野美紀さんだったんです。水野さんとはいつか一緒にお仕事できたらと思っていたんですけど、水野さんといえばアクションも達者な方なので、久々にアクションもやってもらいたいと相談したら「ぜひ」と受けていただけました。

柄本明さんは前作で(息子の柄本)時生君がレギュラーで出てくれたので、その後任としてお父さんに出ていただけないかと依頼をしたら、まさか引き受けてくださいました(笑)。普通なら年配の方は大体パソコンが苦手という設定ですが、そこをあえて“伝説のハッカー”というキャラクターにしました。

森永(悠希)君は最後のピースをどうしようかなって考えたときに、「新人だけど現場の中では唯一キャリアでプライドが高い若者」という設定をまず決めたんですが、潜入時の特技があったらいいよねと話しているときに、石川淳一監督から「元天才子役」というアイデアが出て、それは面白いなと。この役に合う20代前半で演技が上手い役者っていうと森永君がすぐ思い浮かびました。彼も子役から活躍されているので結果的にすごく面白い役になってくれましたね。

  • 森永悠希 (C)フジテレビ

――バックボーンをすごくしっかり考えてらっしゃるんですね。

自分がドラマを見ていて一番嫌なのが、登場人物が最後まで生かされなかったり、ほったらかしにされたりすることなんです。そういう役って、役者さんもどう感じるんだろうなと思うし、すべてのキャラクターが生き生きとしてる方が視聴者の方も楽しいと思うので、自分がやるときはレギュラーの登場人物にはすべてチャーム(魅力)や見せ場を作ってあげたいなと思っています。

昨年プロデュースを担当した『ルパンの娘』もすごく登場人物が多かったんですけど、全員に花を持たせたいなと思って。そうすると最終回は見せ場てんこ盛りのとんでもないことになって、監督から「ゲロ吐きそうだよ」って言われました(笑)。でも、誰も落とせないんですよね。

■本田翼にアクションの才能「私やりたいの」

――『絶対零度』といえば、アクションも見どころです。

“アクションのキャラ”も被らないように心がけています。沢村さんは基本的に強くてスマートな殺陣なんだけれども感情的になると乱れて暴走するっていうのが魅力で、横山君は柔道や剣道など基本的な警察官が学ぶ正統派の殺陣と本人が実際にやられているボクシング、本田さんは女性でありながらケンカ殺法のストリートファイターみたいな感じと、それぞれに設定を住み分けています。

それと『SP』をやったときに学んだんですけど、岡田准一さんから「1個1個の動きに感情が入っているのが最高のアクションなんですよ」と言われて、“アクションに感情を乗せる”ということを教わったんです。だからそうしたことも極力心がけるようにしています。

――特に本田さんのアクションはすごく意外でした。

僕も意外でした(笑)。以前、本田さんとはご一緒したことがあって、趣味はゲームだし、運動神経は悪いのかなって思ってたんですけど、どうしてもキツく男を罵ってアクションをする本田さんの姿が見たかったんです。それで相談したら、本田さんも事務所の方も「できますかね?」って感じでした(笑)。だけどアクション練習を本格的にやる前に、前作の予告を撮ったとき、足を上げてパンって敵を倒す動作をやってもらったら、一発でできちゃったんですよ。「練習してきたんですか?」って聞いたら「全然。私も驚いてる」って言って(笑)。そこからアクション監督との練習が始まりました。

1話を放送したらすごく評判も良くて、本人も「つらいけど頑張る」って言ってくれて、回が進むにつれてだんだん体幹もしっかりしてきましたね。モデルの仕事もあるのでアザを作ってはいけないと事務所の方は心配されていたみたいなんですけど、最後の方は本人が「黙ってて。私やりたいの」って真剣に取り組んでくれました。今作はそこからさらに腕を上げてて、パワーアップしてますよ。

  • 本田翼(左)と森永悠希 (C)フジテレビ

――では最後に、今後の見どころを教えてください。

第1話の最後に、水野美紀さん演じる香坂が殺されているという未来を提示しました。現在の物語では和気あいあいとチームでやっているのに、どうして数カ月にそうなってしまうのか。そのドキドキを毎週体感してもらいながら1話完結の事件モノとしても楽しめる連続ドラマになっています。未来の映像が挿入されたり、新しい試みもある作品で、一生懸命考えて作っているので、ぜひ楽しんで見ていただければと思います。

  • (左から)沢村一樹、粗品、マギー (C)フジテレビ

●稲葉直人
1977年生まれ、横浜市出身。早稲田大学卒業後、01年フジテレビジョン入社。映画事業局で『SP 野望篇』『SP 革命篇』『テルマエ・ロマエ』『真夏の方程式』『信長協奏曲』『今夜、ロマンス劇場で』などの作品をプロデュースし、ドラマ制作の第一制作室に異動後は、『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』『ルパンの娘』を担当。