Jリーグ女性最年少理事の米田惠美が、1月11日に放送されたサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。「Jリーグをつかおう!」をテーマに、新たなサッカーとの関わり方について語った。

公認会計士試験に20歳で合格し、2013年に会計事務所勤務を経て独立。世界的な経済誌Forbesの表紙を飾ったこともある米田。2017年にJリーグフェローに抜擢され、翌2018年には34歳の若さでJリーグ理事に就任した。Jリーグ村井満チェアマンが「若いけれどしっかり者で、サッカーのファンやサポーターだけじゃない、行政の方やソーシャルワーカーの方など、今まで僕らが出会っていない関係の方々との大きなつなぎをしてくれた」と大絶賛する人物だ。

そんな米田が今、力を入れているプロジェクトが“Jリーグをつかおう!”。Jリーグ百年構想にある「誰もが気軽にスポーツをできる環境作り」を実現するために打ち出している企画で、Jクラブの人気や知名度、発信力などを利用し、自治体や地域企業、住民、サポーターたちと、社会の課題を解決していこうというもの。

2018年5月、理事就任から2か月で米田がまずとった行動が、これまでサッカーとタッチポイントがなかったような主婦やNPO、医療関連者など300人以上が参加したワークショップの開催。ここでは「Jリーグをつかって、地域や社会の為に何かやれることはないか?」「どういう未来を作りたいか?」をテーマに、一緒になってホームタウン活動のアイデアを考えた。

ここで生まれたアイデアはすでに実現され始めており、湘南ベルマーレは地元の子供たちに呼びかけ、スポンサー企業の社会科見学「湘南まなべるまーれ」を実施。地元企業の活動に触れることで、湘南地域で働く若者が増えればと去年スタートした。徳島ヴォルティスは、ホームタウンの一つ、美馬市の市民の健康指導の一環で、ポカリスエットでおなじみの大塚製薬と連携して健康プログラムを作成。クラブの現役コーチたちが指導するなどして市民に還元している。FC町田ゼルビアでは、クラブとホームタウンの共通の悩み「慢性的な交通渋滞」に取り組み、敢えてウォーキングイベントを開催することで、地域の魅力を伝え、健康促進にも役立てている。

そして、横浜F・マリノスは、救命処置の啓蒙活動を実施。2011年、急性心筋梗塞でこの世を去ったミスターマリノス・松田直樹への思いもあり、救える命を一つでも増やすために、命を救う術を一人でも多くの人に伝えている。

また、川崎フロンターレは、発達障害の子供たちを対象とした観戦ツアーを大分トリニータと協力して開催。発達障害を持つ子供の中には、光や音などに過敏で、人込みや喧騒が苦手なケースが多く、旅行などの経験がない子供も少なくない。そんな子供たちにサッカー観戦を通じて世界への可能性を感じてもらおうと実施。歓声を上げる子供たちの姿を見て、その母親も「こんなにノリノリになるとは思わなかった。新たな一面です」と感慨深げに話した。スポーツでもっと幸せな国へ。Jリーグを使った地域を笑顔にする活動は全国に広がっている。

また、大学生が発案し、クラブや企業と一緒になって行われた就活イベント「キャリスタ同窓会」について、米田は「企業にとって若者は大切な宝物ですし、学生にとっても就活のためだけに戻るのは少し難易度が高いかもしれないが、楽しみながら就活を行える」と話し、そのほかにも高齢者の健康や孤立などの問題解決を目指した「福+(ふくたす)プロジェクト」など、学生発の様々な取り組みが行われている。

いったいどうして斬新なアイデアが生まれるのか? そのワケは、米田が掲げるポリシー「LOVE&CRAZY」という言葉に込められている。米田は「クラブって地域に対する愛もあるし、こういうのに関わろうとする人は誰かに対する愛もすごく強い。その一方で真面目になりすぎたり、保守的になっていたりする人が多いので、その背中を押そうという思いでCRAZYと付けました」と語り、「ワクワクしよう、ちょっとくらいはみ出してもいいじゃん」というメッセージが込められているという。

こうしたJクラブのホームタウン活動は年間2万回、これは1クラブ当たり約370回。ほぼ毎日行われている計算だ。それゆえに活動を支える担い手が不足しているという問題がある。「これを実行していくときに、一緒になってやりたいという人が増えてくれると嬉しい。働き方改革で兼業や副業が増えているので、週1回はクラブの仕事をしていますという人が増えていくと、東京と地方の行き来が生まれるようになると思っています」と語り、それを狙ったプロジェクト「Jリーグラボ」を紹介。

この取り組みでは、丸の内にいる一流企業や名門大学の人々など、優秀な頭脳に地域クラブ活性化の担い手になってもらうことを目的にスタート。アイデアや人材を丸の内で集め、それを地域へと流れる仕組みを作っていく。ある参加者は「地域のネットワークだけでやっていることが今は当たり前だと思うが、そこに異分子が入ると化学反応が起きそうな予感がある」と語り、実際に各地域へ人やアイデアの流れが作られ始めている。番組MCの勝村政信が「鹿児島大学で芋焼酎を研究しているところがあって、鹿児島ユナイテッドFCの名前のお酒を造るとか。自分たちのクラブチームのお酒を造って、全国大会をするとかできるのでは?」とアイデアを出すと、米田は「アイデア一個いただきました」と満面の笑みを見せていた。