国立大学法人東京大学先端科学技術研究センター(以下略:東大先端研)、電通ダイバーシティ・ラボと一般社団法人日本エンゲージメント協会(以下略:DDL)は9日、旧来の"チームを引っ張る強い指揮官"ではなく、多様性が求められる環境において状況を理解し柔軟に対応できる謙虚な新しいリーダー"ハンブルリーダー"を養成するプログラムを開発、その効果を検証するための共同研究を実施することを発表した。

「電通ダイバーシティ・ラボ」は、電通により広域ネットワーク社会の中で求められるダイバーシティとインクルージョン(inclusion)課題解決のためのソリューションの開発組織として2011年に創設されている。組織の人材を生かすためのキーワード"インクルージョン"は、多様化する組織やチームの成長を促すキーワードとして近年注目されている。個々の人材がただ集まるのではなく、それぞれが有機的につながることが組織全体の効果につながる。しかし、簡単な話ではない。多様化が進めば進むほどインクルージョンは難しくなる。

今回、同ラボは現代の新しいリーダー像として"自分の弱点を認めて自らメンバーに共有し、メンバーの弱い部分や多様性を理解・受容し、状況に応じた活動が行えるチームを構築できる謙虚なリーダー"を提案している。ハンブルは英語で謙虚を意味するhumbleから採っている。心理的安全性を高め部下の能力を引き出し、失敗から学べる文化を醸成することで企業成長を促せるリーダーを養成しようという試みだ。

プログラムは、東大先端研 熊谷晋一郎准教授の研究室の「当事者研究」をベースにしている。当事者研究は、障害や病気を持った人々の生活や就労を周囲の人々がどのように協力、支援していくかについて実践的取り組みの中から解決していく研究でこの考えをベースに養成プログラムは作成されている。

内容は、ハンブルリーダーシップとジャストカルチャーや心理的安全性などの組織文化養成法、知識の共有と発見、柔軟な意思決定、継続的な研修などのマネジメント方法の三つをベースにハンブルリーダーとしての知識と技術を学習する。同社では、Webサイトで今回の養成プログラムの参加者を募集。検証は、参加者からのインタビューやアンケート等で検証を行う。