豊富な知識をもとに、ワイン選びをサポートしてくれるソムリエ。どうやって資格を取り、それをどんなふうに生かしているのでしょうか。山梨県の酒販会社「二葉屋」に勤務するJ.S.Aソムリエ・鬼切祐一さんにお話を伺いました。

■相手のニーズに合ったワインを提案

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
 
酒販会社に勤務しています。取引先のホテルやレストランなどから注文を受け、配達まで担当。ワインを扱う機会が多いため、そこにソムリエの資格が生きています。とくに地元・山梨のワインの仕入れはほぼ私が担当しています。取引先から相談を受け、ワインのメニューを提案することも多いですね。

<一日のスケジュール>
9:00 出勤 伝票作成などの事務作業
12:00 休憩
13:00 取引先回り・配達
16:00 帰社 倉庫整理など
18:00 業務終了


Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
 
ワインのメニューづくりなど、自分の提案がお客さまに喜んでいただけることはやりがいですね。取引先のホテル・レストランなどの担当者の要望や知識の量はさまざま。相手のニーズに合わせた提案をするようにしています。また、ワインに関していつでも気軽にご相談いただけるなど、取引先と良い人間関係ができることも楽しさの一つです。

Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?

お客さまの満足のためにいろいろなことをしたいのですが、そのためにかけられる労力や時間が限られていることですね。担当者と仲良くなるだけでなく、会社としての利益も考えなくてはいけません。そこは一本線を引き、バランスを取ることを心がけています。

■イタリア料理店で働いて目覚めた、ソムリエへの道

Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
 
学生時代、イタリア料理店でアルバイトをしていました。そこでワインのおいしさや格好よさを知って、いつかはソムリエの資格を取りたいと思ったのがきっかけです。そのためには実務経験が必要。居酒屋チェーンに入社し、購買部のバイヤー(仕入れ担当)の仕事などを経験しました。

本格的に資格取得に動いたのは、今の会社に入ってからです。最初は独学で挑みましたが不合格。翌年はスクールに半年通って勉強し、日本ソムリエ協会(JSA)のソムリエ資格を取得しました。
 
 
Q5. 大学・専門などでは何を学びましたか?
 
大学の専攻は「電気電子システム工学」で、プログラミング言語などを学んでいました。途中で都内の専門学校に移り、Webデザインを修めました。

学校に行きながら続けていたイタリア料理店でのアルバイトがとても楽しく、その後は派遣会社に登録して様々なお店で働きました。サービスを極められないと感じ、裏方から業界を支えようと、居酒屋チェーンの本部で働くことにしました。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
 
高校生のとき、自分が思い描く人生プランを提出する学校の授業があり、「適当に就職して子どもができて、やがてイタリアに移住して小さな飲食店を営み、妻と余生を送る」と書いたのを覚えています(笑)。

当時からパスタなどイタリア料理が好きで、両親にお店に連れていってもらったり、自分で作ることもありました。今の仕事とはだいぶ違いますが、イタリア料理店でのバイト経験がソムリエを目指すきっかけだったので、少しはつながっているかもしれませんね。

■まわり道になっても、やってみることが大事

Q7. どういう人がその仕事に向いていると思いますか?
 
地理や歴史が好きな人は、ソムリエに向いているかもしれません。ワインは、産地の土壌や地形・気候・歴史や文化など、さまざまな要因によって形作られるものです。「誰がその土地にワインを伝えたんだろう」など、それぞれのワインが持つ背景を調べて飲むのは楽しいものです。また、相手が求めていることや言ってほしいことを考える力も大切だと思います。


Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
 
これまでを振り返ってみて、無駄だったと思えることもたくさんあります。でもその積み重ねがあって今があるとも感じています。

高校生の皆さんは、やりたいことが決まっているなら、それに向けて前進してください。もし決まっていなければ、興味のあることは効率など考えずに何でもやってみてください。まわり道ばかりでも、一生懸命やれば楽しくなるはずです。

大人になるにつれ、人生の選択肢は絞られていきますが、反面で人とのつながりは増えていきます。その中で、自分の進むべき道が見えてくるはずです。


大学・専門学校、そして転職を経てソムリエへの道を歩んだ鬼切さん。イタリア料理店で抱いた憧れが原動力になっていました。一見するとまわり道のようですが、その過程で得たさまざまな経験が、今の仕事に生きているようです。もしやりたいことが見つかっていなくても、興味のあることに真正面から取り組むことで、自ずと進路が開けていくのかもしれませんね。


【profile】株式会社二葉屋 J.S.A.ソムリエ 鬼切祐一