2019年12月、2020年5月期の第2四半期累計(19年6月~11月期)決算を発表した日本オラクル。売上高は前年同月比6.8%増の974億8500万円、純利益は前年同月比の7.9%増の207億9000万円と好調だった。

今回、2019年9月に執行役 最高経営責任者(CEO)に就任したケネス・ヨハンセン氏に2019年のビジネスを振り返りと2020年に向けた抱負について聞いた。

2019年は待望の国内データセンターを東京に開設

初めに、ヨハンセン氏に好調な業績を支えている要因について聞いてみたところ、「業績が好調な要因は複数ある」という答えが返ってきた。その1つが、2019年5月にデータセンターを東京に開設したことだ。

一般に、日本企業は国内のデータセンターを好む傾向があり、外資のITベンダーは顧客から国内のデータセンターを構えることを望まれているケースが多い。オラクルも日本の顧客から、東京リージョンの開設を歓迎されたようだ。

「日本のお客さまはこれまで、オンプレミスでオラクルのシステムを稼働してきました。東京リージョンが開設したことで、日本のお客さまはワークロードをクラウドに移行しており、東京リージョンは急成長しています。今年早々には、大阪リージョンも開設が予定されており、こちらにも期待しています」とヨハンセン氏。

大阪リージョンが開設されたら、国内でディザスタリカバリ対策を実現できることになる。自然災害が多い日本では、ディザスタリカバリも企業のニーズが多い。

アーキテクチャを刷新したGeneration 2 Cloudの提供も開始

そして、東京リージョンでは、同社が次世代クラウドと称している「Generation 2 Cloud」が提供されている。これも、2019年の大きなトピックだ。ヨハンセン氏は、「Generation 2 Cloud」について次のように語った。

「Generation 2 Cloudはデータセキュリティに焦点を絞り、アーキテクチャが刷新されています。政府機関にとって、セキュリティは最重要事項です。Generation 2 Cloudは政府機関の利用に耐えうる堅牢なセキュリティを提供できています。日本企業は高度なセキュリティを求めますが、Generation 2 Cloudはそれを担保する形でクラウドサービスを提供することが可能です」

また、ヨハンセン氏は顧客のデータセンター上にOracle Gen 2 Cloudを構築するサービス「Oracle Gen 2 Cloud at Customer」によって、データやアプリケーションをパブリッククラウドに移行できない企業もクラウドサービスのメリットを享受できると説明した。

顧客のためにかつての競合とも手を結ぶ

昨今、ITベンダーの多くは「ハイブリッドクラウド」「マルチクラウド」をクラウドビジネスの戦略に据えているが、オラクルも企業がクラウドサービスを活用できるよう、さまざまな選択肢を提供している。

ヨハンセン氏は「われわれとしては、お客さまがワークロードを複数のクラウドサービスで稼働できるための選択肢を提供する必要があると考えています」と話す。

例えば2019年6月、オラクルとMicrosoftは、Oracle CloudとMicrosoft Azureの間でミッションクリティカルなワークロードを移行して実行することが可能となるクラウドの相互運用性に関する提携を発表した。

これにより、両サービスのユーザーは、一部のワークロードをAzureで実行し、同じワークロードの別の部分をOracle Cloudで実行することできるようになった。例えば、Oracle Cloud上のOracleデータベース(RAC、Exadata、Autonomous Database)を利用しているAzure上でE-Business Suiteなどのオラクル・アプリケーションを展開できるようになる。

さらに、今年9月には、VMwareとの連携強化も発表された。これにより、VMware vSphere、NSX、vSANなど、VMwareのフルスタックの環境をOracle Cloud上で稼働可能になり、VMware仮想環境で稼働するオラクル製品のテクニカル・サポートを提供する。VMwareとの連携によるメリットについて、ヨハンセン氏は次のように語った。

「お客さまは、コストと手間をかけることなく、既存のVMware環境をOracle Cloudに簡単に移行できるため、TCOを下げることができます。さらに、自動化のメリットを享受し、必要なインフラ構築を迅速に行うことが可能になります。MicrosoftもVMwareもかつてはコンペティターでしたが、現在はお客さまのためにパートナーシップを強化しています」