クラシカルなサルーンながらスポーツカーに匹敵する高性能 小さな高級・高性能サルーンの名作ジャガー マーク2 2

クラシカルなサルーンながらスポーツカーに匹敵する高性能

 マーク1時代には、3.4Lが最も大きなエンジンだったが、マーク2では、同時代のジャガー製スポーツカー「XK150」に搭載されていた3.8LのXKユニットも選択可能となった。220psのパワーは3.4Lと大きくは変わらないものの、トルクの向上は目覚ましく、実質的な性能は大幅な向上を見ることになった。また柔軟性も向上したことから、マーク1時代最終期に設定されたボルグ・ワーナー社製3速オートマチックとの組み合わせが多くなったことも、特筆すべき事実だろう。

 一方、マーク2への進化に当たっては、シャシーについてもリアのトレッドを拡幅するなどのリフレッシュが施されたが、なにより注目すべきは当時ジャガーが世界に先駆けて展開していたディスクブレーキを、4輪に採用したことである。その強力な制動力をアピールするかのように、リアバンパーの中央には追突注意を喚起するバッジも取り付けられていた。

 加えてエクステリアも大幅に刷新され、マーク1ではドアと一体にプレスされ、視覚的にも重い印象のあったサイドの窓枠は、マーク2ではクロームメッキ仕立ての細いサッシュとされて、外観の印象をリフレッシュ。スタイリングの軽快さを増した上に、ジャガーらしいエレガントな雰囲気も格段にアップすることになった。

 一方インテリアについても、マーク1ではダッシュパネル中央に置かれていた計器盤が運転席正面に置き換えられるなどのモダナイズが施されたものの、本革レザーとウッドパネルによる伝統的なしつらえは変わらず、英国車ファンのプライドを満たしていた。

 ジャガー・マーク2の高性能は世界中のモータリストを魅了し、イギリス本国をはじめとする欧州やアメリカでも大ヒット。また63年の開幕早々から高い人気を得た「ヨーロッパ・ツーリングカー選手権(ETC)」では初代チャンピオンマシンとなるなど、モータースポーツにおいても華々しい活躍を見せた。一方、その素晴らしい性能は高速道路時代を迎えていた警察当局にも認められ、60年代の英国ではパトロールカーとして全国に配備。当時は「世界最速のパトカー」と呼ばれたとも言われている。

 こうしてジャガーの歴史的アイコンとなったマーク2は、テールを延ばした上級モデルたる「Sタイプ」が63年に登場したのちも、装備を若干シンプルにした「240/340」としてカタログに残り、結局69年まで生産されるロングセラーとなったのだ。


ダッシュパネル
天然ウッドで組み立てられた古典美あふれるダッシュパネル。スポーツサルーンらしくメーター類も完備するが、ホーンリング付きのステアリングが時代を感じさせる。

フロントシート
たっぷりとしたサイズの本革シート。この個体は表皮が新車時のオリジナルを維持しており、使い込まれた風合いが実に魅力的。

ピクニックテーブル
シートバックには、英国製高級車のシンボルとも言うべきピクニックテーブルが組み付けられる。

リアシート
もちろん本革張りのリアシートは、アンティークソファのようなルックスと座り心地。ボディサイズの割には、スペースもなかなかの広さを誇る。

三角窓
非常に凝った動きで作動するリアの三角窓は、この時代の英国製高級車の多くに見られる共通項の一つ。エアコンディショナーが発達する以前には、換気のための重要なアイテムだった。

リアシートパイプ
リアシート背後に突き出る半透明のパイプは、クーラーの吹き出し口。当時の輸入代理店、新東洋自動車が独自に開発したオプションとして、トランクルームに東芝製のクーラーユニットを組み込んでいた。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2017年2月号 Vol.179(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)