シティヘンジってなんだ?

ビルの谷間、通りの向こうから昇ってくる朝陽、あるいは沈みゆく夕陽。弊誌で連載中の「どこでもサイエンス」にて執筆者の東明先生が命名した「シティヘンジ」は、「碁盤目状に通りがならび、ビルが林立する大都市」で、その先を「高速道路の高架などが邪魔しない」ところであれば、見れるという話でした。

では、東京はどうか? というと、東明先生の記事でもいくつかの候補地が語られていましたが、結論として、は「まっすぐな道路で、東西方向が案外ないのが東京ですね、角度は30度まではOKですので、ぜひさがしてみてくださいませ。」ということで、なかなか難しいのでは、という話でした。

トーキョーヘンジは可能なのか?

では、本当に東京でシティヘンジ(トーキョーヘンジ)は見ることができないのか? 候補地とする前提条件は、それなりの距離が東西に伸びており、歩道橋などが邪魔をしない場所。果たして、そんな場所が東京にあるのか?。我々、マイナビニュース科学班は、それを確かめるべく、地図を目を皿のようにして候補地を探してみました。

そして1つの可能性のある場所を見つけました。

候補地は東京都台東区入谷。そう、鬼子母神、朝顔市でおなじみの場所です。地図をみていただければ分かりますが、入谷から浅草方面に続く言問通りは、言問橋に至るまでほぼ東西に伸びており、かつ歩道橋や高速道路もない道路なのです。

さっそく、東明先生おススメのみんなの知識 ちょっと便利帳カシオのWebサイトとGoogleマップを組み合わせて方位、日の出/日の入り時間を調べます。

結果、2019年11月4日が方位角としてはもっとも近しい値であることが判明。しかも同日はなんと文化の日の振り替え休日で休みと、撮影にはもってこいの日程です。というわけで、我々取材班は天候の心配をしつつ、当日を待つのでした。

候補地は入谷鬼子母神の目の前!

候補日である11月4日当日。前日に降った雨も止み、いざ現場へ。日の出予定時刻は6時4分29秒。時間前に現地に到着した我々が見たものは、確かに直線はあったものの、彼方に見えるビル群。やられた、と思いつつも、手ぶらで帰るわけにもいきません。

ということで、撮影の続行を決定。歩道の脇に立ちながら、日の出の時刻を待ちます。が、ビルがあるため、時間通りに出てこない。ちょうど、前日の夜から明け方にかけて、東京を抜けていったであろう雲も邪魔して、朝焼けは見えども、本体は見えない、という状況がしばらく続きます。そして日の出予定時刻から4分後の6時8分。遂に、ビルの上に太陽が出てきた瞬間をとらえることに成功したのです。

  • トーキョーヘンジ

    東京入谷の交差点から見た言問橋方面。撮影時刻は5時54分。まだうっすらと明るく見えるだけ

  • トーキョーヘンジ

    撮影時刻は日の出予定時刻の6時4分。雲に反射して明るくなってきました

  • トーキョーヘンジ

    撮影時刻は日の出予定時刻1分後の6時5分。肉眼だと、太陽が出てきたのかがなかなか分かりづらい状況が続きます

  • トーキョーヘンジ

    撮影時刻は日の出予定時刻4分後の6時8分。ようやく確実に視認できる形で太陽がビルの上に到達

  • トーキョーヘンジ

    撮影時刻は日の出予定時刻から11分後の6時15分。ぐんぐん勢いを増して太陽が昇っていきます

これは本当にトーキョーヘンジなのか?

ご覧いただけたでしょうか。

我々はこれをトーキョーヘンジと語って良いものか否か、撮影データを東明先生に送って、鑑定していただきました。

その結果、「合格」というお言葉をいただき、無事、トーキョーヘンジと認定されました。

2020年のトーキョーヘンジ事情は?

ちなみに、2020年ですが、同じ入谷の交差点から言問橋側を覗いた日の出の場合は、2月6日ならびに11月5日が候補日となります。また、言問橋から入谷方面を見た日の入りの場合、5月2日ならびに8月11日が候補日となります。

東明先生も「角度は30度まではOKですので、ぜひさがしてみてくださいませ。」と書いていますが、それだけの角度があれば、東京のほかの場所でも見える可能性は十分にあります。皆さんもぜひ、初日の出のみならず、こういったシティヘンジを楽しんでみてください。

マイナビニュース科学班でも、引き続き、挑戦していく予定です。