2019年8月30日に東証1部上場を果たした、全国に182店舗を展開(2019年8月30日現在)するハウスコム株式会社。同社では2017年から、大学生を対象にしたビジネスコンテストを開催しています。第3回目となる今回は、「住まいサービス業×地域 新規事業の創出」がテーマ。10月に開催された「キックオフイベント」(https://chintai.mynavi.jp/contents/sumaioyakudachi/20191106/s1312/)に続き、11月27日に行われた「予選会」の様子をお届けします。



まずはここで、本ビジネスコンテストの概要をおさらいしましょう。今回の「予選会」では、学生5チームが日夜検討を重ねてきたビジネスプランを発表。「決勝大会」に進出する上位3チームが選ばれます。そして次回2019年12月15日の「決勝大会」で3チームが競い合い、最優秀チームが決定します。



審査員はキックオフイベントに引き続き、コンテスト主催者のハウスコム株式会社・代表取締役社長執行役員である田村穂(たむらけい)氏をはじめ、大東建託株式会社 賃貸未来研究所・所長の宗健(そうたけし) 氏、日本大学スポーツ科学部・教授の清水千弘(しみずちひろ)氏、中央大学戦略経営研究科・教授の榊原清則(さかきばらきよのり)氏、跡見学園女子大学 マネジメント学部・教授の丸岡吉人(まるおか よしと)氏の計5名(清水氏はVTRにて審査に参加)。まずは「SIVIO」チームのプレゼンからスタートしました。


1チーム目「SIVIO」:「ここが私のアナザースカイ」


「ここが私のアナザースカイ」略して「ここアナ」は、「人」と「仕事」のマッチング、すなわち農業・林業・漁業といった「第一次産業」と「若者」を繋げるサービス。ハウスコムが掲げる「人と家を繋げる」サービスから「人と職を繋げる」サービスに拡大したいという観点から立案したものです。

20~30代の離職率が高いことに着目し、地域の会社と提携し、短期から長期のインターンを通じてその地域での移住・就職に繋げることを目指します。そして、その取り組みを通して、空き家問題や地域の過疎化といった社会問題を解決し、不動産事業に繋げ、「人と家」「人と職」を繋げる。

そうすることで、ハウスコムが地域に密着した「コミュニティマネージャー」となり、地域社会に貢献できるのではないか、という提案でした。最後には、人がその地域で住んで働くことで、「私にとってのオンリーワンの場所」になっていき、存分に生活を楽しめるのではないか、と期待感を膨らませた締めくくりでした。



質疑応答では、榊原氏より「『人と職』『人と家』『人と人』を繋ぐことを『ここアナ』のゴールとしているものの、企画の経緯や背景がやや説明不足に感じる。もっと積極的に組み込んだ説明に踏み込めればもっと魅力的なプレゼンになったのでは?」と問いかけられました。

また、宗氏は、サービスを提供するターゲットに注目。田舎の若者離れが深刻な中で、20~30代の若者がUターンして集まるのか? 50・60代のUターンはターゲットとしないのか? といった問いかけに、「SIVIO」の学生たちは気付きを得た様子でした。

さらに、丸岡氏からは「こういうサービスがあれば便利だと思う一方で、一歩引いてみると既存のポータルサイトや転職サービスでもいいのではないか。『ここアナ』ならではのメリットは?」という問いや、国外をターゲットに見据えた質問が。サービス側で家と職を用意することで移住を促したいという想いが吐露されました。

そして、田村氏は、住まい領域を超えて雇用の領域に興味があると語ったうえで「第一次産業に参入して得ることができるライフスタイルのコストは、収益になるのか、それとも体験価値なのか」と問いかけました。


2チーム目「ジンジャエール」:「コマッタラ!」


「鍵をなくした」「地域の独自ルールが分からない」といった住まいに関する困ったことを、誰に相談すればよいのかを可視化する「助け合い」ができるサービス「コマッタラ!」を提起。

最近困っていること、助けられること、いつ助けられるのかなどが表示されるサイトを作成し、地元住民「ヒーローズ」と「ピンチーズ」をマッチングさせるとしています。総務省の情報通信白書によると、約50%の人が「人助けをしたい」と考えており、ニーズは高いとのこと。既存のサービスよりもよりボランティアの色が強いサービスを想定しているそうです。



質疑応答では、榊原氏から「地域の助け合い・活気が重要であれば、もっと直球の企画を出してもらった方がアイディアとして面白い企画ができたのではないか」という“感想”がもたらされ、メンバーは「ダメージの大きいご意見でした」と思わず苦笑い。

田村氏からは「こういうゆるい関係性がもたらされるコミュニケーションビジネスが好き」と興味を持ちつつ、「私は口コミという概念に興味がある。この企画でも、ユーザーの声を活用してクオリティを上げるような施策はなにか考えられますか?」と質問。ヒーローズへの評価制度やチャットの活用を考えているとのお話でした。

さらに、丸岡氏は「一通り企画書として材料の揃った計画」と評価しつつ、ターゲットとするエリアがどの程度の範囲内なのか、もう少し具体的にサービス内容を煮詰めた方がいいのではとアドバイスがありました。

宗氏は感想として「こういったビジネスモデルを軌道に乗せることは、ものすごく大変。予め利用方法が決まっていると、スキームの活用の幅が狭くなったり新規利用者が増えない懸念がある。マッチングシステム自体の提供に専念し、使い方は個々に任せる方法にした方が、ビジネスとしてリアリティがあるのではないか」と語りました。


3チーム目「エステート・トリガー」:「デイリブ」


家賃や水光熱費など、生活に関わる月額サービスが多岐に渡る中で、月々の支払いも煩雑になりがちな現代。これらを一括して支払うことができたら便利ではないかという考えをもとに、月額定額制で生活費の支払いが完結するサービス「デイリブ」を提案。

一番のポイントは、食品配送サービスと連携し、「食費」を定額化すること。そのほかにも、働く場所にこだわらない「フリーアドレス」が浸透しつつあることから、将来的には定額で好きな場所に住めるサービスも視野に入れているとのこと。サブスク型の住宅サービスは現存しますが、衣食住の「食」と「住」を組み合わせることで差別化したいと語りました。



質疑応答では、丸岡氏からターゲットについて問われ、メンバーは「22~27歳くらいの未婚・フリーアドレスに慣れている層・年収400~500万円程度の男性や、仕送りを受ける学生」と回答。

宗氏からは「サブスク型と謳っているものの、先払いの安心感がポイントであればそれはアグリゲーション型では?」という指摘が。お金に余裕がない人にターゲットを絞り、日付指定で給料日に全部引き落とし、残ったお金が自由に利用できる、というかたちで過ごせるビジネスモデルが提案されました。

また、田村氏は「学生をターゲットとした、食べるものも住む場所も無料で提供できるようなビジネスモデルがないか興味がある。例えばその資金を別から拠出できるようなスキームがあれば、ぜひ提案して欲しい」というオーダーもありました。


4チーム目「メンサ」:「英才教育塾」


チーム名「メンサ」とは、IQ148以上の知能指数を有する人だけが入会できる非営利団体のこと。吸収能力が高い4~12歳の子どもをターゲットに、メンサ会員だけが指導する「英才教育塾」をつくることを提案しました。

立案のきっかけは、何気なく航空写真を眺めていたとき。駐車場が占める割合が多い点に気づき、収益効率が悪い駐車場を経営しているオーナーが多い可能性があると感じたことから、駐車場スペースを借り上げてビジネスを展開する案につながったそうです。

ターゲット層は4歳~12歳程度の児童をもつ教育熱心な親御さん。例えば「東大出身の講師に教えてほしい」というように、「メンサ会員の講師に教えてもらいたい」というニーズにおいてメンサ会員のブランドは優位性をもつとのこと。



質疑応答では、丸岡氏からは「面白く、ニーズもあるような気がしたものの、駐車場とこのサービスはあまり関係ないのでは?」という指摘が。宗氏からの「ハウスコムは、メンサ会員がサービスを提供するのではなく、『メンサ会員をターゲットユーザー』としたサービスを作ったら面白いのでは?」という逆の発想となる提案がされました。

また、田村氏は「メンサを使ったブランディングはいいと思う。どういう人をターゲットにして、どうなびくのか。もう少し企画全体を深堀りしていくと、もっと違う話ができると思う」と講評されていました。


5チーム目「ホシカナ」:「家ではなく街に住むためのスコアリングサービス」


「ホシカナ」は、「家ではなく街に住む」をコンセプトに、AIを使って街ごとにスコアリングしたデータで街の評価を可視化するサービスを提案。

自分に合った住みたい街を知ることができるというもの。ターゲットはこれから一人暮らしを始める大学生に設定。視覚的なわかりやすさや、SNS・メディアによって広く拡散していき、SEOの上位取得によりサービスの成長を目指すことが説明されました。



質疑応答で丸岡氏は「こういう情報があると便利だろうな。転居を考えていなくても見てしまいそうな、広告ビジネスモデルを展開する基盤になるように思いました」とコメント。

スコア化に関しては、人は均一のニーズをもっているわけではない。『駅から遠くても広いところに住みたい』『学校の近くに住みたい』『静かな環境がいい』など様々な声があり、「スコア化するよりも、自分のニーズを入力すればその人に合った結果が提供される仕組みであれば、不動産価値の低い物件ユーザーの利便性も高まるのでは?」と投げかけました。

さらに宗氏からは、「既存の各種ポータルサイトにそのような地域情報が掲載されていないのは、優劣が出すぎてしまうなどセンシティブな問題を含んでいることや、マッチングをするには街の特性だけでなく、個人の特性を把握することも大切である」ことなどのアドバイスがありました。


総評


5チームの熱のこもったプレゼンの数々が終了し、審査員の方々は口々に「どのプレゼンも面白かった」「興味深かった」とコメント。

丸岡氏は「ビジネスアイディアとして『こういう着眼点があるのか』と大変刺激的でした。全体に1つアドバイスをするなら、ビジネスの起点は、利用者が困っていることを解決すると収益が入るという流れが基本。ユーザーの困っていることに着目をすると良いのでは?」とアドバイス。

宗氏は「今日の話をブラッシュアップの参考にしていただきたい。アイディアを出して叩かれる経験を何回も積むことが大切です」と締めくくりました。

白熱した「大学生ビジネスコンテスト」予選会に引き続き、次回はいよいよ「決勝戦」です。予選会で審査員の方々から受けたアドバイスを念頭に、選びぬかれたチームがさらに磨きをかけて完成させた、渾身のプレゼンに注目です!


(マイナビ賃貸広告企画:提供【ハウスコム株式会社】)