2019年12月15日、JR新宿ミライナタワーで、ハウスコム株式会社が主催する「2019年 大学生ビジネスコンテスト」の決勝大会が行われました。

予選を突破したのは、インターンを通じた「人と家」「人と職」を繋げるサービスをプレゼンした「SIVIO」、生活に欠かせない「食」や「住」を月額定額制で提供するサービスを提案した「エステート・トリガー」、「家ではなく街に住む」をコンセプトに、AIを使って街ごとにスコアリングしたデータで評価を可視化し、自分に合った住みたい街を知ることができるサービスをプレゼンした「ホシカナ」の3チーム。

優勝したチームには、提案したビジネスプランをもとに、ハウスコム社と共同で事業開発を行う権利とトロフィー、副賞として高級ボールペンが贈られます。



会場には審査員として、キックオフイベント・予選会に引き続き、コンテスト主催者でハウスコム株式会社・代表取締役社長執行役員である田村穂(たむらけい)氏、大東建託株式会社 賃貸未来研究所・所長の宗健(そうたけし) 氏、日本大学スポーツ科学部・教授の清水千弘(しみずちひろ)氏、中央大学戦略経営研究科・教授の榊原清則(さかきばらきよのり)氏、跡見学園女子大学 マネジメント学部・教授の丸岡吉人(まるおか よしと)氏の5名が担当しました。


2018年のビジコン優勝チームは事業化に向けて着々と進行中!

まずは、「人でないとできないマッチングとは? 人が介在する意味のあるコミュニケーションを考える」をテーマとして開催した、昨年の第2回大会で入賞した企画「アニメ部屋」と「寺コンバレー」のビジネスアイデアについて、進捗報告がありました。



「アニメ部屋」は、アニメに登場する主人公の部屋の再現や、アニメの世界に浸れる環境を創ることで付加価値を高めた部屋を提供するサービス。チームメンバー共通の話題が「アニメ」であったことから、「アニメ好き同士であればコミュニケーションのきっかけを作れるのでは?」という想いをもとにアイデアを立ち上げました。

現在は、チームメンバーとハウスコム、株式会社SO-ZOが手を取り合い、取引可能なライセンス会社に有名アニメとコラボするための版権を交渉中とのこと。同時に、ハウスコムの管理物件の中から、「アニメ部屋」とする物件の選定も進んでいます。ハウスコムは民泊免許も取得していることから、民泊利用を前提として、より多くの人に利用してもらうことを考えているとのこと。サービスの運用に向けて、着々と準備が進んでいます。



「寺コンバレー」は、寺院宿泊と消費者をマッチングさせるプラットフォームをつくり、寺院を宿泊先として提供するサービス。チームメンバーであり、住職の資格を持つ安藤正隆さんが登壇しました。

現在は「未来の住職塾」で経営者としてお寺をどのように活用するのか勉強をしながら、ビジネスアイデアの実現に向けて活動。お寺を、ソーシャルキャピタル(人間関係の豊かさを示す指標)を高める「サードプレイス」にすることを目指し、トライアルとして、実家がある神奈川県小田原市「潮音寺(ちょうおんじ)」の周辺で実験的にプロジェクトをスタートしています。その他、ハウスコムの協力により、寺院のコワーキングスペース化を目指すなど、事業化に向けて活動を進めています。

「アニメ部屋」「寺コンバレー」はいずれも、東京五輪を目前に控えた2020年4月のリリースを予定しています。


「SIVIO」:「ここが私のアナザースカイ」

ここからはいよいよ、各チームのプレゼンテーションです。



予選会でもトップバッターだった「SIVIO」の「ここが私のアナザースカイ」は、予選会で挙がった課題をもとに「旅行感覚で楽しめる」「地方企業とのマッチング」「ユーザーの幸せを考える」サービスに見直し。具体的には、行ってみたい都道府県と日時を選択し、旅行感覚でその土地の職業などを知ってもらうアプリの作成を提案しました。

会場内で参加者に「無料で全国各所に行けるなら行きたい?」と声をかけると、ほとんどの人が挙手。学生から30代までの社会人をターゲットに、お金はないものの旅行がしたい転職希望者を取り込む構想を明かしました。



田村社長は開口一番「予選会で課題となった一次産業にこだわらなかったのは素晴らしい」の一言。「地方で頑張っている元気のいい企業に若い人が来て、インターンシップを行うことで価値が上がるのでは」と語るとともに、収益面はもう少し深堀りする必要があるという指摘もありました。

一方、清水氏は「一次産業にこだわってもいいと思っている。若者の視点で負を解消して欲しい」という想いを吐露。疲弊している一次産業に一石を投じて欲しかったと語りつつ、地方の魅力に気付き、地方で生きることで幸せになれる人のマッチングに対する期待感も滲ませました。

丸岡氏は、予選時から方向を転換し、ユーザー目線に転換されたところを評価。一次産業にこだわるべきかどうかは、エリアによりベストな選択が異なるのではないかという見解でした。



榊原氏は「安易な考えに流れてしまったのではないか」と、一次産業というこだわりを捨てたことについて惜しみながら鋭い評価を提示。行ったことのない場所に旅行し、仕事と関連する固有の経験をできる機会は探せばあるのではないか。一次産業にこだわらないのであれば、代わりにこだわるポイントが必要だったのではないかと問いかけました。

宗氏は「私は人口減少が問題視されている北九州市出身のため、人が地方にたくさん戻ってきてくれる提案は嬉しい」としつつ、ターゲットをもっと掘り下げるべきではないかと指摘。地方で「心機一転生き直したい」と考える若者など、現実のニーズを深堀りすることで、可能性がみえてくるという話まで言及がありました。


「エステート・トリガー」:「デイリブ」


「エステート・トリガー」は、予選会で生活に欠かせない「食」や「住」を月額定額制で提供するサービスを提案していましたが、審査員の方々のアドバイスをもとに、がらりとビジネスプランを変更。学生に向けて家賃を無料にするサービスをプレゼンしました。地方で暮らす優秀な学生インターン生をターゲットとし、インターン先の企業が家賃を負担。学生にとっては社会経験を積むことができ、家賃の負担がなくなるメリットがあります。インターン先は、企業のイメージがアップし、新卒採用に関するコストも軽減できるとしました。

田村社長は「“無料”というワードには惹かれるものの、出口戦略はどのように考えているのか、どこが収入源になるのか。企業以外からも収入を得る展望はあるのか」といった問いかけがありました。



清水氏は「(予選会の内容から)変えちゃったんだ……」の一言。マサチューセッツ工科大学の研究員でもある清水氏は、一定額を振り込めばどこでも住む場所が確保できるサービスが、次世代の不動産ビジネスとして世界で注目されていること。今回のビジネスプランに関しては空き家に困っている不動産会社はどれだけあるのか、対象とする企業に就職したい学生はどれだけいるのかといった問いかけがありました。

丸岡氏も「たった1ヶ月で違うアイデアが出てくることは素晴らしいが、前回の提案を高く評価していたため方向性が変わってしまって残念」という見解。今回のビジネスプランに関しては、インターン期間の設定や、もし一方がインターンシップの契約を辞めたくなった時にどうするのかといった疑問を挙げ、課題が見えたようでした。

榊原氏は、インターンシップや、その先の就職も見据えた今回のビジネスプランに対し、「一種の囲い込みになるのではないか」と問題提起。「世の中の流れに逆行している」と懸念される可能性があり、弱点がありそうではないかと指摘しました。



宗氏も「サブスク型からの方向修正は非常に残念」とコメント。人材ビジネスに特化するならよりシャープに、絞り込んだ提案をすべきではないか。インターンシップありきならば、地方から上京した理系の大学院進学の学生に絞ったインターン必須・無料マンションなど、ターゲットを絞ったビジネスにすべきではないかといった、具体例を挙げた提案がありました。


「ホシカナ」:「家ではなく街に住むためのスコアリングサービス」


最後のプレゼンは、「家ではなく街に住むためのスコアリングサービス」を提案する「ホシカナ」。街にフォーカスを当てた情報は数多いものの、個人のニーズにフォーカスした情報を収集する手段が少ないことに着目。個人情報と街に求める条件を入力することで「あなたに合った街は〇〇」と、マッチする街とスコアリングした情報が表示される仕組みです。ターゲットや成長戦略、課題、マネタイズに関しても言及がありました。



田村社長からは、「地域のスコアと個人の属性をマッチングするにあたり、“属性”に関してどのような情報を取るべきか」と質問。チームメンバーは、例えば地方出身者であれば「都心により下町を好む人が多いのではないか」といったように、生い立ちや、過去どんなものに喜びを感じたかといったデータを取得するとしました。

清水氏は冒頭で「私にとって大好きな研究」とした上で、田村社長の話からもう一歩進み、利用者の履歴をもとにスコアリングするだけでなく、リコメンド機能も設けることを提案。満足度や住み替えた理由など「人の履歴」をとってリコメンドまで繋げれば、とても面白い仕組みになるのではないかと語りました。



丸岡氏は、「この街に住みたい」という気持ちが“思い込み”の可能性もあることから、ライフステージや、やりたいことに合う街をレコメンド機能で紹介することを提案。また、マネタイズに関しては、どのポイントで収入を得るのか方針により、アプリの作り方が変わるのではないかという指摘もありました。

「発表が面白く、いろいろな意味を見出した」と榊原氏。自身が5年前にマンションを購入した経験から、周辺環境やロケーションが、家の資産価値を生み出していると感じたそうです。単なるスコアリングだけではなく、新しい軸から街の特徴を示唆できそうで、ポテンシャルを秘めた提案だと語りました。

大東建託株式会社賃貸未来研究所の所長である宗氏は「楽しく拝聴した」としながらも、住まいの専門家だからこそ実現に向けて気になる点があった様子。「このアイデアをあなたたち自身が実現できるのか、もしくは実現できる人を連れて来ることができるのか、実現性を確認してほしい。」とコメント。また、万が一、提示したスコアリング結果の事実に裏付けが不足していた場合、ほんとうは合っていない場所を住む街として勧めることが、人を不幸にしてしまう可能性もあることを念頭に、場所のリコメンドは大きな覚悟が必要で、シビアに考えるべきとまとめました。


第3回ビジネスコンテスト、気になる優勝チームは?

いよいよ、第3回学生ビジネスコンテストの結果を発表です。



優勝は「ホシカナ」の皆さんに決定! 田村社長よりトロフィーと、優勝賞品として高級ボールペンが授与されました。また、参加チーム全員に、ハウスコムオリジナルの商品券が贈呈されました。

田村社長は、3チームのビジネスプランはいずれも興味深く、審査では悩んだことを説明。3チームとも面白かった中で、ハウスコムが実現できる可能性を感じられるプランが選ばれました。これからも会社にパワーを付けて、新たなビジネスにチャレンジしたいと呼びかけました。

清水氏は「このビジネスコンテストでは、審査というより、私がいつも勉強させてもらっている」とのこと。「社会の負と真摯に向き合い、いかに解消するか明確にしないと社会では働き続けることができない。どんな仕事でも謙虚に向き合って欲しい」とエールを送りました。



「若い頃は応募する側にいた」という丸岡氏は「今回の優勝は僅差。世の中にはいろいろな価値観があって、審査員の組み合わせや運で決まる部分も大きい。優勝されなかった皆さんも含めて、自分を信じて進んでください」と語りました。

榊原氏は「審査の評価が難しく、審査員同士あれこれ議論をして決まりました。いい刺激を受けています」とのこと。是非この企画が続くことを祈っていますと締めくくりました。



宗氏は「一番大事なのは“これをやりたい”という熱意。熱意が強ければ、大人が“仕方ないな”と思うこともあり、それをきっかけに大きくなったビジネスもあります。その一方で、今回のビジネスコンテストの聴講者として参加された皆さんは、全員にそういう熱意を持つべきというわけではありません。自身に向いていることを見つけ、それに打ち込むことで活躍する人もたくさんいます。今日のコンテストをとおして、自分にはどちらの方向性が合っているか、考えるきっかけにしてみてください」とアドバイスをいただきました。



「住まいサービス業×地域 新規事業の創出」をテーマに開催された、大学生ビジネスコンテスト。第3回となる今回も、学生ならではの柔軟な思考をもとに、さまざまなビジネスアイデアが飛び出しました。優勝チームの活躍とハウスコムでの事業化の行方に、今後も目が離せません。


(マイナビ広告企画:提供【ハウスコム株式会社】)