今回の「シゴトを知ろう」は、本や新聞などの印刷物のレイアウトやデータ作成を担当するDTPオペレーターを取り上げます。DTPは「DeskTop Publishing(卓上出版)」を意味する言葉ですが、実際にはどんな仕事なのでしょうか。訪れたのは、神奈川県などで地域情報紙を発行する「タウンニュース社」。製作部門でDTPオペレーターとして勤務している、小倉雅一さんにお話を伺います。

■時間との戦いの中で、正確な印刷物をつくる

Q1. 仕事概要と一日のスケジュールを教えてください。
 
当社がつくっているのは、地域の話題を中心とした、週刊もしくは隔週刊の新聞です。神奈川県と東京・多摩地区を45エリアに分け、それぞれの担当編集室が、異なる内容の紙面をつくっています。

私が所属する製作部門の仕事は、掲載される広告の制作や記事のレイアウト、そして各ページを印刷できる形に仕上げる「組版(くみはん)」です。その週に担当する各編集室から送られてくる原案をもとに、デザインソフト「Illustrator(イラストレーター)」や、DTPソフト「Indesign(インデザイン)」などを使って作業します。

<一日のスケジュール>
9:00 出社 編集室からFAXで届いた原案を担当者ごとに分配
9:30 作業スタート 広告の製作や、紙面の組版
12:00 休憩
13:00 引き続き、広告製作と組版を同時並行で行う
19:00 退社

Q2. 仕事の楽しさ・やりがいは何ですか?
 
広告制作や組版など、日々さまざまな案件をいくつも並行して進めています。それをうまく自分で段取りして、無事にミスなく終わらせられたときは安心しますね。

また、編集室からもらった原案をもとに、自分なりにどう料理しようか考えて制作するのが楽しいですね。記者や営業担当からは、「カッコよく」「華やかに」などざっくりした指示が来ることが多いので、それを汲み取って要望どおりのものをつくれたときはうれしくなります。

 
Q3. 仕事で大変なこと・つらいと感じることはありますか?
 
印刷工程を目前にした状態で、急きょ広告が入ったり、記事が差し替わったり、レイアウトの大幅な変更があるときは大変です。こちらも段取りを組んで作業しているのですが、それが崩されてしまうのはつらいですね(苦笑)。

誤植(タイプミス)や校正漏れを出してはいけませんし、タイムリミットもある中で、柔軟な対応をしなければいけません。とても神経を使う作業ですが、緊張感を持って取り組んでいます。 

■「表現したい」という思いを胸に、専門学校で学んだ

Q4. どのようなきっかけ・経緯でその仕事に就きましたか?
 
グラフィックデザインを学んでいた専門学校時代、進路について悩んでいました。そんなとき、たまたま就職指導の先生から「先輩が何人も働いているから、行ってみたら?」と紹介されたのが当社でした。

そもそも「DTPオペレーター」という職種があることすら知らなかったのですが、業務の内容や職場の様子を見た上で、先輩たちがいるという安心感もあってこの仕事を選びました。
 
 
Q5.専門学校では何を学びましたか?
 
2年制専門学校の「グラフィックデザイン科」に在籍していました。IllustratorやInDesignの他、画像編集ソフト「Photoshop」、Webサイト制作ソフト「Dreamweaver(ドリームウィーバー)」などを使いこなすための授業が主体です。

広告などの課題制作では、得意なソフトをつかって、自分なりのデザインで作品をつくります。また、タッチタイピング(ブラインドタッチ)を学んだり、パソコンの基本操作を学べたことも、今の仕事に役立っています。


Q6. 高校生のとき抱いていた夢が、現在の仕事につながっていると感じることはありますか?
 
高校のときは、イラストレーターになりたかったんです。アニメ・マンガが好きで、「自分で表現してみたい」という気持ちがありました。ただ、絵にそこまで自信がなかったこともあり、やがてグラフィックデザインの世界に興味を持ちました。専門学校では、課題を通して自分なりの表現をできることが面白かったです。

この仕事は、もともと「原案」がある中で、自分のエッセンスを加えて印刷物を仕上げていきます。私にとってはやりがいがある、楽しい仕事です。高校時代に抱いた「自分がつくったものを世に出したい」という思いは、今につながっているのではないでしょうか。

■進路選択には、「トライ&エラー」が大事!

Q7. どういう人がその仕事に向いていると思いますか?
 
DTPオペレーターは、長時間パソコンで黙々と作業する仕事です。そういうことが苦にならない人は向いていると思います。

あとは、柔軟な考えを持った人ですね。締切というリミットがあるので、どうしても妥協をしなければならない場面もあります。こだわりが強すぎてしまうと、締切に遅れたり、広告スポンサーや編集室の意に沿わないものが仕上がってしまいます。他の人の意見を尊重しながら仕事に取り組むことが大事だと思います。
 

Q8. 高校生に向けたメッセージをお願いします。
 
いまは、スマホを使っていろいろな情報にアクセスできます。実際に見聞きしたことでなくても、擬似的に体験して理解できることも多くなりました。でも、そこで判断しきれない部分も絶対にあります。

特に進路決定にあたっては、経験にまさるものはないと思います。やってみたいことや興味があること、それがなければ、得意なことや頑張れそうなこと、それらを一回でも体験してみることが大事です。そうして「トライ&エラー」を繰り返しながら、自分らしく働ける場所を見つけてほしいです。 
 

時間に限りがある中で、さまざまなイレギュラーに対応しながら印刷物をつくっている小倉さん。編集者たちの要望に応えつつ、自分なりに「料理」をする過程が好きなのだそうです。小倉さんのように、高校時代に抱く夢や憧れを大切にしながら、自分の選んだ進路で活躍できたらすてきですね。
 

【profile】株式会社タウンニュース社 アドコミシステム課 小倉雅一