いよいよ2020年の7月から8月にかけて東京で二度目の五輪が開催されます。

舞台となる競技場整備だけでなく、世界中から訪れる選手・スタッフ・観光客のための交通網整備、そして観光そのものの魅力を知ってもらおうと街の再開発も盛んにおこなわれてきました。

「五輪景気」とも呼ばれるように、一大スポーツイベントがもたらす経済の波及効果も経済分野では注目されています。

一方で、五輪がもたらす好影響はそこまでではないのでは?という冷静な見方もあります。

そこでARUHIマガジンでは、これから住宅購入を検討される方々へ一つの参考となるよう、「住まい」の観点で東京五輪の影響を分析した専門家の方々のコメントをあらためてまとめてみたいと思います。

冷静な世間の目線


メディア事業などをおこなうベースメントアップスが社会人200人に調査したところでは、「五輪景気」に期待しているのか?という問いに対して、以下のような回答結果が出ています。

とても期待している:13%

それなりに期待している:10%

あまり期待していない:29%

全く期待していない:48%

社会人の2人に1人は五輪景気に全く期待してない、もっと言えば期待している人は2割強しかいないことが分かりました。

モノと情報にあふれる時代、世の中の人々はなかなか冷静に状況をみているようです。

住まいの専門家の方々の言葉に耳を傾けてみましょう。


不動産における2020年問題

五輪開催に向けて、再開発や外国人による投資など、さまざまな要因が合わさって建設ラッシュが起こり、不動産の価格が開催地である東京の都心部を中心に高騰しています。これは一種の不動産バブルであるという見方もあり、2020年のオリンピックが終わったらマンション価格が一気に下落するといわれています。

東京オリンピックに向けて都市計画が進むとマンションの価格は上昇しますが、裏を返せば、オリンピックが終われば不動産価格が上昇する理由がなくなるのではないかと考えるためです。

不動産鑑定士の中山 聡さんは「マンションを購入する前に! 知っておくべき2020年問題とは?」https://magazine.aruhi-corp.co.jp/0000-2152/の中で、「オリンピックが終了する前に、オーナーによるマンションの売却が行われ、中古マンションの供給過多になる可能性も考えられ、一部の投資家が投機対象であるマンションを、2020年に向かって高値で売り抜けたい意図がある可能性がある。中古マンションが市場にあふれることになれば、マーケットの競争原理が働いて価格はどんどん下がっていくことになる。」と価格の下落を注視しています。

これは物件を購入し住み続ける側にとってみれば、良い影響なのかもしれません。下落の程度や期間によるところもあるので、見極めは必要です。


下落しないという見方も

住宅ジャーナリストの山下和之さんによれば「首都圏では(新築マンションの物件価格が)6,000万円を挟んだ動きが続き、高止まりしています。近畿圏も3,000万円台の半ばを中心にした動きになっています。
新築マンションの売れ行きが鈍化していますから、消費者からすれば2020年には価格の低下を期待したいところですが、それは期待薄のようです。

その理由は、新築マンションの価格は、1.土地の仕入れ値、2.建物の建築費、3.分譲会社の経費・利益、の三つの要素から成りますが、そのいずれも上昇しているのです。分譲会社からすると、原価が上がっているのですから、「とても値下げどころじゃない、上げたいくらい」というのが本音でしょう。」と価格が下がることに対しては懐疑的な見方をしています。

住宅ローン金利は変わらず??


さらに山下和之さんは、住宅ローンに関しては低金利水準が続くと読んでいます。

「住宅市場にとっては、住宅ローン金利も大きな影響を与えます。当たり前のことですが、金利が下がれば、ローン負担の軽減を好感して住宅取得が増え、金利が上がれば購入意欲が減退します。
その住宅ローン金利、2016年に日本銀行がマイナス金利政策を導入した直後に史上最低金利を記録し、その後は若干上がったものの、依然として低金利水準が続いています。2020年も若干上がることはあっても、大きな変化はないだろうとみられます。」

「金利に加えて、各種の住宅取得支援策も充実しています。消費増税前よりもむしろ有利になっているといっていいでしょう。2020年、住宅価格は新築マンションを中心に高止まりしていますが、金利は低水準が続き、住宅取得支援策の恩恵を享受できる環境が続きます。そろそろマイホームを取得をと考えている人にとっては、チャンスの年といってもいいかもしれません。」

東京五輪の住宅への直接的な影響として物件価格は、上がるのか下がるのか一概に言えそうにはない状況です。

まずはどんな「暮らし」と「住まい」を実現させたいのかを考え、そのうえで物件の種類(新築・中古・マンション・戸建て)による物件価格の変動をそれぞれ見極める必要がありそうです。

冒頭で伝えた、「五輪景気」に期待しているのか? というアンケートにおける「期待していない」が過半数を占める意見は決して楽観的ではなく、脇を絞める意識の表れとして、堅実な世論を反映しているのかもしれません。