アウディのエントリーモデル「A1 スポーツバック」がフルモデルチェンジを行い、第2世代へと進化を果たした。A1 スポーツバックは日本でも人気の高いコンパクトカーに分類される5ドアハッチバックのモデル。2011年より日本に導入された初代は3万台を販売し、アウディのエントリーカーとしての役割を果たすとともに、アウディ愛好者のセカンドカー需要などにも応えてきた。2代目となる新型は先代同様、全長約4mのコンパクトなボディが特徴。アウディに求められるプレミアム感とスポーティーなキャラクターを強化している。

  • 「A1 スポーツバック」

    フルモデルチェンジしたアウディ「A1 スポーツバック」

アウディの末っ子が堂々たる風格に

初代には、よりカジュアルでスポーティーな3ドアモデルも存在したが、新型は5ドアモデルに一本化した。ボディサイズは全長4,040mm、全幅1,740mm、全高1,435mm。ホイールベースは2,560mmとなる。先代比だと全長+55mm、全幅-5mm、全高-5mm(5ドア比較)で、全長こそ伸びているものの、それでもまだ、およそ4mとコンパクトだ。ただ、ホイールベースは先代比+95mmで、ボディよりも大幅に伸びている。つまり、先代と同等のサイズを維持しながら、車内をより広くしたというわけだ。

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    全長に比べホイールベースが伸びたことにより、車内が広くなった「A1 スポーツバック」

スタイリングはアウディらしい質感の高さと同社ラインアップで最も小さいという強みをいかした若々しいキャラクターが特徴であったが、新型でアウディは、その強みをさらにブラッシュアップし、さらなるスポーティーさを前面に打ち出した。

特に象徴的なのがフロントマスクだ。1980年代にアウディが「WRC」(世界ラリー選手権)に投入したスポーツモデル「アウディ・スポーツクワトロ」を連想させる3連スリットをフロントグリルに備えている。小さいながら、アウディのアイデンティティをしっかりと受け継いでいることを示す部分だ。

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    3連スリットを備えたフロントグリル

先代では丸みを帯びていたフォルムが新型では直線的になり、アグレッシブなキャラクターも加わったA1 スポーツバック。アウディの末っ子といえど、堂々たる風格を持つクルマに仕上がっている。

インテリアも、がらりと変わった。丸みを帯びたデザインだったダッシュボードは、エクステリア同様に直線的でシャープなものに進化。アウディ自身も「コンパクトクラスで最もスポーティーなインテリアになった」と自信を示す。最も大きく変化したのはセンターディスプレイで、先代の特徴となっていた「格納式」を廃止し、新型では「固定式」とした。ディスプレイ自体は大型化し、機能も増えた。配置はドライバー寄りに傾け、コックピットをドライバー重視とした。

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    コックピットはドライバー重視に

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    センターディスプレイは固定式となった

メーターパネルは「アウディバーチャルコクピット」を採用。最近はやりのフル液晶メーターパネルだが、アウディは積極的な普及を図ってきた。メーターの計器類の表示だけでなく、ナビ画面もメーター内に大きく映せるので、運転中の視点移動を減らすことができるのもメリットだ。

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    「アウディバーチャルコクピット」。ナビ画面を大きく映すことも可能だ

車内は明確に広くなっている。そのゆとりは前席でも感じられるが、先代との差が最もよく分かるのは後席だ。足元が広くなり、頭上空間も広がったことで、より実用的なクルマとなった印象である。ラゲッジスペースの容量は、先代比65L増の335Lを確保。アウディの末っ子は、1台で何でもこなせるクルマになった。

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  • 「A1 スポーツバック」
  • 後席に座れば、車内が広くなったことが明確に感じられるはずだ

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    荷室容量は335Lに拡大

パワートレインは「35 TFSI」と呼ばれる1.5Lの4気筒ターボエンジンを搭載。最高出力は150ps/5,000~6,000rpm、最大トルクは250Nm/1,500~3,500rpmだ。燃費向上対策としてはアイドリングストップに加え、巡行中にアクセルオフの惰性走行となると、4気筒エンジンのうち2気筒を休止する「シリンダーオンデマンド」という機能も備わる。トランスミッションはDCTタイプの7速ATで、駆動方式は前輪駆動(FF)。同エンジンは、A1としては上級仕様向けとなる。1.0Lの3気筒ターボエンジン「25TFSI」を搭載するエントリーモデルは来年、日本に登場する予定だ。

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    1.5Lの4気筒ターボエンジン「35 TFSI」