Instagramで話題を集めた「肛門日光浴」とは?

Instagramで投稿を拡散させる方法は山とある。『フレンズ』のキャストと一緒に撮ったセルフィーを投稿するもよし。4歳児に授乳しながらヨガをするもよし(自分の子供は勘弁だが)。あるいは、赤ちゃんの性別を趣向を凝らしたパーティーで発表して複数の人々にケガを負わせるもよし。だが、恐らく最も確実な方法――完全に無害で、成功間違いなしの方法――は、肛門を日光浴させる効能について投稿することだろう。

MetaphysicalMeaganという新進気鋭のインフルエンサーがこれを実践した。11月始め、彼女は「かつて道教で行われてきた慣習」である「会陰日光浴」の効能を投稿した。「私も実際に試してみましたが、効果抜群でした。もうかれこれ数カ月続けています」と書いている。「一日の初めに5分間会陰日光浴をすると、その後何時間もエネルギッシュな気分になれます」 。さらに彼女は、自分の身体がiPhoneで肛門が充電ジャックであるかのように、「日光からエネルギーをもらっているからコーヒーはもう飲まなくなった」と付け加えた。

投稿された文にはホルモンの調子を整えるだの性欲増進だの、「身体から発せられる磁力を増強してオーラフィールドを拡張する」だの、それらしき効能も列挙されている。当然ながら、彼女自身が仰向けになって満足げに股を開き、茶色の瞳を太陽に向ける自主規制された画像も掲載されている。

以下は投稿からの抜粋。

会陰日光浴の効能

・プラーナや太陽のエネルギーを体内に取り込んで、臓器を強化します。
・気、つまり生命力のエネルギーが体外に放出されるのを防ぎます。そうすることで、身体の健康と寿命が維持されます。
・創造力があがり、制作活動が活発になります。
・健康的な性欲と、バランスの取れた性的エネルギーをサポートします。
・会陰部を30秒間日光に当てるだけで、着衣のまま1日中日光浴したのと同じ効果が得られます。
・体内時計を整え、深い睡眠を導きます。
・大地に根差し、地球と一体化することができます。
・体から発せられる磁力を増強し、オーラフィールドを拡大します。
・集中力が増し、精神が刺激されます。
・性器のホルモンバランスを整えます。

日光浴は30秒から最長でも5分までということだけ気をつけてください。
日焼け止めを塗るは必要ありません。30秒間日光に当てるだけでOKです。朝7~9時頃に行うのが理想的です。


「肛門日光浴」の出どころ

この投稿にはエセ科学的でおバカな健康法にありがちな専門用語や、甚だしい文化の盗用、一糸まとわぬ姿の女性の写真など、即座に拡散するために必要なあらゆる要素がほぼ全て含まれている。だが競争力が激化するソーシャルメディアの世界では、誰が見ても明らかな健康ネタが必ずしも世間の注目を集めるとは限らない。今回の投稿が拡散したのも、@sisterofonlineというTwitterユーザーが「ケツから日光を取り入れている人々を発見」という見出し付きでスクリーンショットを投稿したからだ。健康系インフルエンサーのトロイ・ケイシーも、Instagramに似たような投稿をして会陰日光浴を推奨したが、メディアはこれを「肛門日光浴」と謳い、実際に流行っている健康法として紹介した。同時に、ニューヨーク・ポスト紙がこれを「インフルエンサーが勧める最新おバカ健康法」と呼んだように、(バカにされても仕方ない)健康業界を批判する絶好の機会ともなった。

とはいえ、やはり疑問もある。いいねを渇望する少数の健康インフルエンサー以外に、本当にこれを実践している人はいるのだろうか? (白人の)健康インフルエンサーたちが力説するように、本当に伝統的な東洋医学に基づいているのだろうか?

会陰日光浴に治療的効果があるという説は、気研究所の創立者スティーヴン・T・チャン氏が1986年に出版した著書『The Tao of Sexology(原題)』から来ているようだ。Meaganの投稿にも登場するインフルエンサー@ra_of_earthも、この本のスクリーンショットを投稿している。この本が推奨しているのは「太陽崇拝エクササイズ」。「太陽には優れた殺菌効果があり、太陽の光を浴びることで肛門や性器周辺を健康に保ち、細菌から守ることができる。また痔の治療にも優れている」と謳い、前かがみになって臀部をさらけ出す人物の挿絵までついている。

我々のコメント取材依頼に対し、チャン氏と気研究所からまだ返答はないが、このエクササイズを検証して支持する研究者は間違いなく多くはない。婦人科医でイェール大学医学部で教鞭も執っているメアリー・ジェーン・ミンキン医学博士曰く、肛門付近には何十億という細菌がいるものの、「どんなに日光を当てても殺菌されることはありません。人間の多くは細菌類と上手に共存して生活していますから(必ずしも殺菌する必要もありません)」 むしろ、この部分に日光を当てることは危険になり得る、と博士は付け加えた。「人体の中でも、この部分の組織は特にデリケートな組織なんです」と、ローリングストーン誌に語った。「アレルギー反応が出るかもしれない部分にわざわざ何かする理由があるでしょうか?」


専門家たちの反応からわかる信憑性のなさ

さらに、ローリングストーン誌は10人弱の中国医学(TCM)提供者にコンタクトしたが、会陰日光浴の治療効果について知っていた者は誰もいなかった。「ひょっとしたら、そういうこともあるのかもしれませんが、いずれにせよコメントはできません」と、ニューヨーク伝統中国医療大学のモナ・ユアン主任も言う。世界伝統中国医学財団の代表者も「話題にもならなければ、実践してる人もいません。なぜ記事にするのですか?」と電話を切る前にまとめた。

「これをやってみようという人の気持ちがわかりませんね」と、日焼けサロンBeach Bumの運営部長ダンテ・フィッツパトリック氏は言う。「LAの流行りですか? 西海岸っぽい感じですね」