英国らしい魅力にあふれたブランドの歴史│高まる市場の関心

アルヴィスは姿を消して久しいメーカーだが、最近はオリジナルモデルを元にした”コンティニュエーション・シリーズ”が相次いで誕生している。この生粋の英国メーカーに市場が高い関心を寄せている証拠だ。

アルヴィスは、ロールスロイスやベントレーには及ばないものの、ジャガーやローバーより上の高級車として認められていた。最後のモデルとなったTD 21、TE21、TF21は、控えめなスポーティーさが、いかにもイギリスらしい。
 
先行のTC108Gは、グラバー製ボディを架装し、高額で少数生産だった。そこでアルヴィスは新たにパークウォードと契約。似たデザインのTD21のボディ製造を1958年から委託して、製造コストの削減に成功した。また、粋なスタイルも好評で(多くがワイヤーホイールを装着)、売れ行きもよかった。引き続きグラバーも特別オーダーのボディを製造した。
 
TD21は、以前から使われてきたアルヴィスの3リッター直列6気筒エンジンを改良して搭載。最初の15 台以降は、出力がわずかに向上して115bhpになった。当初は、オースチン・ヒーレー用4段MT(1960年からオーバードライブが付く)とボルグワーナー製3段ATが用意されていた。ブレーキシステムは1959年にフロントがディスク式になる。さらに1962年の大きなアップデートで、4輪ともダンロップ製ディスクブレーキとなり、ZF製5段トランスミッションに変わった。
 
1963年に後継のTE21が登場。外観とメカニカル面に様々な変更が施された。最も顕著な変化は、ヘッドライトが縦に並ぶ2灯式になったことだ。エンジンは新シリンダーヘッドと吸排気系の改良によって、出力が130bhpに向上。1964年からは、ステアリングシステムが摩擦の低い効率的なボールナット式に変わり、パワーアシストも付けられるようになった。
 
その2年後、アルヴィスの3リッターシリーズの最終形となるTF21が登場する。主な改良点はサスペンションと新ギアボックスだ。また、SU製トリプルキャブレターの採用で、150bhpにパワーアップした。一方で外観には一切変更がなく、計器類がアップデートされるに留まった。
 
TF21は106台が製造され、最後のシャシーは1967年5月にファクトリーを旅立った。3リッターシリーズは、その生産期間を通して、同等クラスの中では比較的に売上が好調だった。しかしアルヴィスの社運を支えていたのは、利益の大きい軍用車部門だった。1965年に会社がローバーに買収されたあとは、ローバーのV8エンジンをミドシップに搭載するBSプロジェクトに力が注がれた。しかし、それもブリティッシュ・レイランドとの合併で打ち切られる。こうしてTF21の生産終了と共に、アルヴィスの市販車部門は幕を閉じた。
 
しかし、腕の立つエンジニアたちの物語は終わらなかった。アルヴィスは引き続き軍用車の製造を続け、数々の興味深いプロジェクトにも携わった。また、1967年に設立されたレッド・トライアングル社がアルヴィスの整備を請け負い、50年以上にわたってオーナーをサポートしてきた。

残ったスペアパーツやオリジナルの設計図、様々な記録を引き継いでおり、それが現在のコンティニュエーション・シリーズにも生かされている。
 
TD21、TE21、TF21は、ブリストルにも匹敵する格式と気品、熟練の技といった遺産を今に伝えている。抑制の効いた英国らしい魅力にあふれ、現在でもこの価格帯で手に入る、極めて貴重な存在だ。