アイドル10年目、山内鈴蘭のSKE48愛「若い子たちのまっすぐな涙を助けてあげたい」

2014年2月の「大組閣」でAKB48からSKE48に移籍することが発表された山内鈴蘭。デビュー10周年を迎えたばかりだから、もうSKE48人生のほうが長い計算になる。

前回、山内鈴蘭がいかに名古屋で苦しんだか、いかにしてそこから抜け出したかを書いたが、今となっては頭の中身はすっかりSKE48のことで占められるようになった。このインタビューでも、他のテーマのことを話しているのに、自然とSKE48へと話題が移ってしまう。頭の中には後輩たちが住んでいる。

山内「いま気になっているのは、後輩の成長ぶりです。どの点が伸びていて、どの点が至らないのか。いいものはいいと言ってあげるし、よくないと思ったことがあれば注意します。いつか卒業するまでに背中で示していける人になりたいと思うようになったのは、私の所属しているチームSが若いチームだからです」

チームSの平均年齢は18.5歳。現役の中高生を8人も抱えている。最年長は、12月8日で25歳を迎える山内。自覚が芽生えて当然だ。公演終了後の反省会でも熱が入る。

山内「まずはみんなの意見を聞くようにしています。自分の意見を押しつけることだけはしたくないので、メンバーの意見がいくつか出たところで、付け加えるのが私の役割かなと思っています。何を付け加えるかというと、たいていはMCのことです。誰かが次にしゃべる順番だから自分は前に出ないほうがいいのかなとか、自分が話そうと思っていたことを先に話されてしまったとか、若い子にとってMCはいろいろと悩みどころなんです。私が思うのは、みんな周りを見ることには長けているけど、自分という存在を前に押し出すのが苦手なんですよね。世代のせいなのかな? 失敗してもいいと思うんです。『劇場公演は新しいことを試していい場なんだから、もっとガツガツいけばいいんだよ』という話はよくしますね。歌って踊ることはみんなできていると思うから、それ以外のところでいかに楽しませるかが今のチームSの課題です」

SKE48の反省会は他のグループよりも長い。それはまさしく11年以上続いている伝統で、若手にも受け継がれている。チームSは、北川綾巴が9月いっぱいで卒業したため、リーダー不在の状況が続いている。現時点で反省会で中心になっているのは……。

山内「副リーダーの(松本)慈子、おすぎ(杉山愛佳)、(野島)樺乃たちが案を出してくれています。特におすぎは毎回面白いのを持ってきてくれる(笑)。しゃべることが苦手な子もいるじゃないですか。アンダーで入ってくれる研究生とか。そういう子も輪に入れるようなゲームを考えてくれるんです。ただ、それに頼ってしまうとトーク力が身につかなくなってしまうから、『たまににしようね』と私は言っています。でも、チームだけじゃなくて、SKE48を盛り上げようとか、新しいことを見つけようという気持ちがとても強いチームですね」

山内が果たしている役割は、縁の下の力持ち。自分が前に出なくてもいい。チーム力の向上を第一に考えている。悩んでいるメンバーの相談に乗るために、東京から名古屋へと新幹線で出向くこともあるという。そんな行動の裏には、自分を受け入れ、かつ変えてくれたグループに恩返しをしたいという思いが隠されている。

山内「今の自分があるのはAKB48のお陰でもあり、SKE48のお陰でもあります。これからの時間は恩返しのために使っていきたいです。SKE48は11周年を迎えました。これからもグループには存続してほしいから、SKE48のためにお仕事を持ってきたいと思うようになって。ゴルフ関連の番組だったら、私が広告塔になれるから。それくらい好きになっちゃったんですよ、SKE48のこと」

かつては宮澤佐江もそうだった。大場美奈もそう。他のグループからSKE48に移籍したメンバーは、同グループの魅力に触れ、心底好きになってしまう傾向がある。

山内「SKE48はやっぱり熱いグループ。火が出るんじゃないかっていうくらい、ステージ上は熱いんです。人間って熱さに動かされるんですよね。AKB48に熱がなかったわけじゃないんです。なんて伝えたらいいか難しいけど……SKE48にはSKE48にしかない種類の熱や魅力があって、それが人々を巻き込んでいくんです」

SKE48の劇場に集まるのは30代以上の男性ファンが多い。なぜか? 自分の推しメンが、あるいはSKE48が報われてほしいという「応援」の気持ちがあるからだ。この子たちの力だけでは足りない。だったら、微力でもいいから手助けしたい。そんな心理があるのではないか。

メンバーの中では年長の部類に入る山内も、ファンと似たような気持ちになることがある。

山内「若い子たちがまっすぐな涙を流すんですよ。しかも、私の目の前で。そんな姿を見てしまったら、もどかしくなるんです。なんでこんなに若い子たちが、こんなに悩まなければいけないのかって。がむしゃらに踊って、汗を流しているところもすぐそばで見ています。私だってこの子たちを助けてあげたくなりますもん。SKE48じゃなかったら、私は辞めていましたね。続けないと見えないものってあるんです。悔しいとかちょっと心が折れたとか、みんなには一時の感情で辞めてほしくないな。その先に見えるものを掴んでから卒業してほしい」

10年経って見えてきたものは、感謝の念だった。その気持ちを行動に移すことが、今の山内は楽しくて仕方ないのだ。