自公連立20年の節目に、太田昭宏議員が語る「公明党の役割」【井上咲楽の政治家 直撃】

「栃木県生まれの眉毛ガール」井上咲楽の政治家対談。今回は、公明党代表や国土交通大臣など名だたる役職を歴任してきた太田昭宏議員が語ってくれた『月刊ENTAME』には掲載しきれなかった、よりディープな政治トークをweb限定版として公開。公明党の役割、そしてイノサクさんが注目する無電柱化や軽減税率の今後とは。
井上 今年は公明党と自民党が連立を組んで20年目だと聞きました。

太田 1999年10月5日に連立政権がスタートしました。

井上 ちょうど私と同じ歳です(笑)。20年。10月2日が誕生日なので。

太田 そうなの! 僕は10月6日だから近いね。それでね、なんで連立を組んだ日を覚えているかと言うと、ちょうど10月5日は僕らの結婚記念日なんだ。

井上 えええ! すごい! それは絶対忘れないですね。

太田 自民党との連立での公明党の役割の1つは、まさに天秤のようにバランスを取ること。我々が連立を組むときに掲げたのは、「政治の安定と改革のリーダーシップ」という言葉。当時は1998年の参院選で自民党が惨敗し、参院で与党が過半数割れする「ねじれ」が生じていました。また、景気も後退。政治が不安定、経済が不安定な中で、政治を安定させるために連立政権に入ったわけです。同時に政治の改革も求め、2000年にあっせん利得処罰法という法律を作りました。

井上 あっせん利得?

太田 あっせん利得とは、政治家や国会議員秘書が公務員に口利きをした見返りに報酬を受け取ること。この法律はそれを禁じるもので、公明党は当時も今も清潔な政治に向けた改革にかなり力を入れています。

井上 自民党との役割分担ははっきりしているんですか?

太田 明確に「こう」という取り決めがあるわけではないです。ただ、自民党が全体的な外交、マクロ経済をやるならば、我々は1人ひとりの生活や雇用を大切にするなど、小さな声に耳を傾ける。現場に行き、ハンディキャップを持っている人の声、子育て世代の声、高齢者の声など、生活者の側に立つ政治をやろうとしてきました。政治の安定と改革のアクセル、国家主義や金権腐敗へのブレーキ。そういったものが公明党の役割だと考え、20年間連立を続けてきたわけです。今は、それがだんだんと成熟し、安定してきたかなと思っています。

井上 先日、私は国土交通省の無電柱化推進イベントに参加させていただきました。

太田 そうなんですね。

井上 景観と安全という面で無電柱化は必要なことだと思います。ただ、実現には大きなお金がかかり、景観を売りにしていない地域だと予算を回すのを渋ってしまうのも分かるんです。元国交大臣として、太田さんはどういうご意見ですか?



太田 山の中まで全部無電柱化というのは、すごく大変でお金もかかること。安全のためにはワイヤーで補強する工法などが安価で、技術的に優れていることが証明されています。ですから、山の中の電柱はコストをかけずに支えていき、都市部の無電柱化を先に進めていくというのが現実的ではないかな。そういうふうに僕は思います。

井上 時間のかかる事業ですよね。

太田 そうだね。私の地元の巣鴨の地蔵通りなんかもね、今、無電柱化の工事をしています。世界から見ると、先進国でこんなに電柱が無電柱化されていない国はめずらしい。また、災害も多いですから、「地震が起きました。電柱が倒れました」「台風が来ました。電柱が倒れました」では困ります。停電の原因になり、倒れた電柱が道路を塞げば避難が困難になるだけでなく、緊急車両も通行できなくなります。そういう意味では、大都市部こそ無電柱化を進めるべきです。ただ、無電柱化のネックはお金がかかること。そして、工事期間も1年、2年とかかりますから、商店にとっては商いに大きな影響が出ます。

井上 確かに、商店街の通りがずっと工事中だと困りますね。

太田 ただ、私が大臣だった頃よりも埋設のための工法の研究が進み、より安く、より早くできる方法が出てきているようです。無電柱化事業は、国のお金、電力会社のお金、地方自治体のお金、3つを合わせて着実に進んでいくと思いますよ。

井上 今年の10月、消費税増税が始まり、同時に公明党が主導した軽減税率もスタートしました。イートインとテイクアウトで税率が異なるなど、軽減税率によって起きている世間の混乱についてはどう感じていますか?

太田 軽減税率は面倒くさいという声、キャッシュレス決済はよく分からないという声は伝わってきています。ただ、それでも増税に対して家計を守るための仕組みが必要です。そのために不可欠なのが、軽減税率で生活に不可欠な食料品などの消費税率を低く抑えたわけです。現状、テイクアウトとイートインでの扱いの違いなど、混乱はあります。しかし、人々の変化への対応は早くすぐに慣れると思います。実際、世論調査でも軽減税率をやってよかったという声の方が多いんですね。

井上 そうなんですか。



太田 ワイドショーなどでの取り上げ方では、どうしても「こんな混乱が起きている」という切り口になります。でも、消費者1人ひとりの感覚としては、軽減税率にしろ、キャッシュレス決済によるポイント還元にしろ、案外、そんなに難しい話ではないなという反応が多いようです。一番問題なのは、消費税を上げて景気が落ちてしまうこと。その対策を打っており、効果が出てくると言えます。

井上 確かに食料品など生活に不可欠な商品が軽減税率の対象となるのは、助かる面が大きいと思います。でも、私の世代では新聞を実際に取って紙面で読んでいる人はあまりいません。そんな新聞が軽減税率の対象となっていて、子育て世代に欠かせない紙おむつが対象外なのはなんでなんだろう? と。対象選びの基準には疑問を感じています。

太田 何を対象にし、何を対象外にするかの取り決めは本当に難しいものでした。例えば、新聞には「思索の食料や栄養源」という考え方があり、海外でも軽減税率の対象となっている経緯があります。飲食料品は誰もが必要とするもので、生活を守るため、軽減税率の対象となりました。では、なぜ紙おむつは対象外なのか。この点については、幼児教育無償化など、異なる政策で家計の負担を減らすよう手を打っていきました。

井上 今後、軽減税率の対象品が変わっていく可能性もあるんですか?

太田 軽減税率がスタートから3カ月ほど統計をとって検証し、景気の動向を注視した上で、時間をかけながら見直していく可能性はあります。ただ、現時点では定着させていくことに力点を起き、対象品を増やす、減らすという話ではありません。いずれにしろ、現場の声をよく聞き、きめ細かく対応していくこと。それが私たち公明党の役割だと考えています。

▽井上咲楽(いのうえ・さくら)
1999年10月2日生まれ、栃木県出身。A型。現在は『アッコにおまかせ』(TBS)などバラエティ番組を中心に活躍。
Twitter:@bling2sakura

▽太田昭宏(おおた・あきひろ)
1945年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了。93年に衆議院議員当選以来、公明党代表、国土交通大臣、水循環政策担当大臣などを歴任。