【漢字トリビア】「人」の成り立ち物語
「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今日の漢字は「人」。(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年12月7日(土)放送より)

「人」という字は立っている人を横から見た形を描いた象形文字。一画目が頭と腕を、二画目が胴体と脚を表しています。古代文字を見ると、この人は少し腰を曲げ、腕を前に出して左を向いて立っているように見えます。

この、たった二画でできた文字からは、「ヒト」の特徴がしっかり見てとれます。二足歩行が出来て、自由に動かせる腕があるということ。さらに、微妙に曲がった線で描かれていることから、身体を曲げたり伸ばしたりできること。漢字は、先人の確かな観察力と工夫の賜物です。

ではここで、改めて「人」という字を感じてみてください。

「人」という字は、人と人とが支え合っている姿。これは、かつて人気のあった学園ドラマの中で、教師役の俳優が生徒たちに教えた「人」という漢字のなりたちです。でも、本来の「人」という字は、人が自分の力でひとり、立つ姿。その人は、自らの意思で決めた方向を向き、自分らしく立っているはずです。

ちなみに、もし、人がみな同じ方向を向き、同じことしか考えられなかったら……その恐ろしさは、想像に難くありません。色々な人がいるからこそ、私たちが立つこの世界は均衡と調和を保ちます。

もちろんときには誰かに助けを求め、手を差し伸べることもある。それこそがこの漢字に刻まれた、人間の健全な姿です。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。その想いを受けとって、感じてみたら……。ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献 『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)
『白川静 文字学入門 なるほど漢字物語』(小山鉄郎/共同通信社)

12月14日(土)の放送では「掃」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。

<番組概要>
番組名:感じて、漢字の世界
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜6:40~6:45(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/kanji/